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輸出の該非判定とは?リスト規制・キャッチオール規制と確認手順を解説

輸出の該非判定とは?リスト規制・キャッチオール規制と確認手順を解説
2026年11月2日 | 2026年11月2日

海外へ商品や機械を輸出するとき、「一般的な民生品だから特別な許可は不要」と考えていないでしょうか。

日本では、軍事転用のおそれがある貨物や技術が不適切な相手に渡ることを防ぐため、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく安全保障貿易管理が行われています。

その中心となるのが「該非判定」と「キャッチオール規制」です。

該非判定は、輸出する貨物や提供する技術がリスト規制に該当するかを確認する手続きです。一方、リスト規制に該当しない貨物でも、輸出先や用途、需要者によってはキャッチオール規制による許可が必要になります。

この記事では、経済産業省の公開資料を基に、該非判定の方法、リスト規制とキャッチオール規制の違い、用途・需要者の確認、輸出許可の判断まで、輸出担当者が押さえておきたい基本的な流れを解説します。

輸出の該非判定とは?安全保障貿易管理の基本

該非判定とは、輸出しようとする貨物や海外へ提供する技術が、外為法に基づくリスト規制に該当するかどうかを判定することです。

例えば、産業用機械や測定装置、電子部品などは、一般的な工場や研究施設で使用される製品であっても、その性能や仕様によって規制対象となる場合があります。

これは、民生用途と軍事用途の両方に利用できる「デュアルユース(軍民両用)」の貨物や技術が存在するためです。

日本の安全保障貿易管理では、主に次の2つの規制を確認します。

項目リスト規制キャッチオール規制
基本的な目的規定された貨物・技術を管理リスト規制だけでは対応できない懸念取引を管理
主な判断材料品目・性能・仕様貨物・技術の範囲、仕向地、用途、需要者など
関係する項番輸出令別表第1などの1~15項同16項など
許可が必要な場合原則として規制該当品の輸出等適用される客観要件・インフォーム要件に該当する輸出等

重要なのは、該非判定で「非該当」となっても、輸出管理上の確認がすべて終了するわけではないことです。

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リスト規制とは?輸出品の性能や仕様を確認する制度

リスト規制は、武器や軍事転用の可能性が高い特定の貨物・技術について、輸出や対外提供に際して事前許可を求める制度です。

貨物については輸出貿易管理令別表第1の1~15項、技術については外国為替令別表の1~15項に規制内容が定められています。

代表的な分野には、武器関連、原子力関連、化学兵器・生物兵器関連、ミサイル関連、先端材料、工作機械、電子機器、通信機器、測定装置などがあります。

ただし、これらの分野に関係する製品がすべて規制対象になるわけではありません。実際の判定では、貨物等省令で定められた具体的な性能や仕様を照合します。

輸出先が友好国でも該非判定は必要?

リスト規制では、輸出先がどの国であるかにかかわらず、規制対象の貨物・技術であれば原則として許可が必要です。

ただし、取引の内容や仕向地などによって利用可能な許可の種類や例外規定が異なる場合があります。該当品であっても、必ず個別許可が必要になるとは限りません。

そのため、まず該非判定を行い、その結果に基づいて必要な許可や適用可能な特例を確認します。

HSコードと該非判定は同じもの?

HSコードは国際的な商品の品目分類に用いる番号で、関税率や貿易統計などの確認に利用されます。

一方、安全保障貿易管理の該非判定では、輸出令・外為令・貨物等省令などの規定と、商品の技術仕様を照合します。

キャッチオール規制の対象範囲を調べる際にはHS分類が関係する場合もありますが、HSコードだけでリスト規制の該非を判定することはできません。

HS分類の基本はHSコードとは|初めての輸出入で確認すべき関税・規制・品目分類の基本で解説しています。

該非判定のやり方|輸出前に確認する5つの手順

該非判定は、経済産業省が公表している「貨物・技術のマトリクス表」を利用して進めることができます。

STEP1:輸出する貨物・技術を特定する

最初に、何を輸出し、どのような技術を提供するのか整理します。

製品名だけでなく、型番、用途、構成部品、内蔵ソフトウェア、付属資料なども確認します。

完成品だけを確認し、付属する技術資料やプログラムを見落とさないことが重要です。

STEP2:性能や仕様を確認する

次に、カタログ、仕様書、メーカー資料などから、判定に必要な技術情報を集めます。

規制対象かどうかは、製品名だけでなく性能や精度、材質、機能などによって判断される場合があります。

必要な技術情報が不足している場合には、製造者や技術担当者に確認します。

STEP3:経済産業省のマトリクス表と照合する

経済産業省の貨物・技術のマトリクス表で、製品の名称や関連する技術用語を検索します。

該当する可能性がある規制項番を抽出し、政令・省令・通達の内容と実際の製品仕様を比較します。

単に検索結果に製品名が表示されたという理由だけで該当と判断せず、規制で定められた条件に合致するか確認する必要があります。

STEP4:該非判定書を作成・確認する

判定結果は、該非判定書などの社内記録として整理します。

製造者から判定書を入手できる場合もありますが、その内容を確認し、最終的に責任を持って判定するのは輸出者です。

経済産業省は、個別商品の該非判定を輸出者に代わって実施する機関ではありません。

STEP5:判定結果を承認・管理する

社内の責任者が、判定対象、適用法令、判断根拠などを確認し、組織として結果を決定します。

一度判定した製品でも、仕様変更や法令改正があった場合には、判定内容の見直しが必要になることがあります。

判定書とともに、使用した仕様書、法令の確認日、判定根拠などを記録しておくと管理しやすくなります。

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キャッチオール規制とは?非該当でも輸出許可が必要になる場合

キャッチオール規制は、リスト規制に該当しない貨物や技術であっても、大量破壊兵器等や通常兵器の開発等に用いられるおそれがある場合に、輸出・提供を管理する制度です。

この制度には、大きく分けて「大量破壊兵器キャッチオール規制」と「通常兵器キャッチオール規制」があります。

許可の必要性は、貨物・技術の対象範囲、仕向地、用途、需要者、経済産業大臣からの通知などにより判断します。

客観要件|用途と需要者の確認

客観要件は、輸出する貨物・技術の用途や、最終的に使用する需要者について確認するものです。

例えば、次のような事項を確認します。

  • 輸出する製品が何に使用されるのか
  • 最終需要者はどの企業・研究機関・組織なのか
  • 需要者の事業内容と輸出品の用途が整合しているか
  • 大量破壊兵器等や通常兵器の開発等に関係する懸念がないか
  • 輸出先から第三国へ移転される予定がないか

ただし、確認した事項に不審な点があるだけで、直ちに法律上の許可要件を満たすとは限りません。実際には、対象品目・地域ごとの法令要件に従って判断する必要があります。

インフォーム要件|経済産業省からの通知

インフォーム要件は、経済産業大臣から許可申請を求める通知を受けた場合に適用されるものです。

輸出者自身の確認によって客観要件に該当しないと判断していた場合でも、インフォーム通知を受けたときは、その通知に従った許可手続きが必要になります。

2025年10月の制度改正で何が変わった?

2025年10月9日に施行された制度改正では、通常兵器キャッチオール規制が見直されました。

一般国向けでは、安全保障上の懸念が高い特定品目について、通常兵器の開発等に関する用途要件・需要者要件が追加されました。

また、国連武器禁輸国向けについては、対象となる貨物・技術に関する需要者要件が追加されています。

さらに、グループA国を経由した迂回調達の懸念に対応するため、一定の場合にインフォーム通知を行う仕組みも設けられました。

このため、従来の「グループA国向けならキャッチオール規制は関係しない」という理解は適切ではありません。

もっとも、グループA国向けに通常の客観要件が一律適用されるわけではありません。対象地域ごとに異なる制度を確認する必要があります。

最新の対象品目や適用条件は、経済産業省のキャッチオール規制案内と2025年10月施行の制度改正情報を参照してください。

外国ユーザーリストとは?取引相手の確認に使う資料

キャッチオール規制に関係する重要な資料が、経済産業省の「外国ユーザーリスト」です。

これは、大量破壊兵器等や通常兵器の開発等に関する懸念が払拭されない外国の企業・研究機関などについて、輸出者が取引審査を行う際の参考情報として公表されるものです。

ただし、外国ユーザーリストは掲載団体への輸出を一律に禁止するリストではありません。

掲載の有無や取引内容を確認し、適用される制度に基づいて許可申請の必要性を判断することになります。

また、リストに掲載されていない企業であっても、安全保障上の懸念が存在しないことを保証するものではありません。

輸出実務で起こりやすい3つのケース

ケース1:一般的な産業用測定器を輸出する

海外の製造業者から測定器の購入依頼を受けた場合、最初に製品の機能・性能を確認し、リスト規制の該非判定を行います。

非該当となった場合でも、キャッチオール規制の対象範囲や用途・需要者の確認が必要です。

「一般的な工場で使用する製品」という説明だけでは、具体的な規制の確認を省略する理由にはなりません。

ケース2:海外へソフトウェアや技術資料を送る

輸出管理の対象は、物理的な貨物だけではありません。

規制対象となる技術を海外に提供する行為も管理の対象となります。電子メールによる技術資料の送付や、海外からアクセスできる形での技術情報の提供なども、条件によっては確認が必要です。

また、一定の条件下では国内での技術提供にも「みなし輸出」管理が関係します。

貨物の輸出許可と技術の提供に関する許可は区別して判断する必要があります。

ケース3:輸出先と実際の使用者が異なる

海外の販売代理店を通じて製品を輸出する場合、契約相手と最終需要者が異なることがあります。

この場合、販売代理店の情報だけでなく、最終的な使用者や用途、第三国への移転予定などを確認することが重要です。

取引経路が複雑で必要な情報を確認できない場合は、出荷を急がず、社内の輸出管理責任者や関係機関に相談する対応が考えられます。

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該非判定から輸出許可申請までの実務フロー

実際の輸出管理は、該非判定だけで完結するものではありません。

基本的には、次の順番で確認します。

  1. 輸出する貨物・提供する技術を特定する
  2. 仕様書などを基にリスト規制の該非判定を行う
  3. 該当する場合は許可の種類や例外規定を確認する
  4. 非該当の場合はキャッチオール規制を確認する
  5. 仕向地・用途・需要者・取引経路を審査する
  6. 必要な場合は経済産業省に許可申請を行う
  7. 必要な許可や社内承認を確認してから出荷する

許可が必要な取引については、必要な許可を取得する前に貨物の輸出や規制対象技術の提供を進めないようにします。

なお、安全保障貿易管理の許可は、税関への輸出申告や他法令に基づく手続きを代替するものではありません。

輸出通関の一般的な流れについては、初めての輸出手続き|必要書類・通関・出荷までの流れを参考にしてください。

該非判定・輸出管理で間違えやすいポイント

メーカーの非該当証明書があれば輸出できる?

メーカーが作成した非該当証明書は重要な判断資料になりますが、それだけで輸出可能と確定するわけではありません。

輸出者自身が判定内容を確認し、キャッチオール規制や仕向地に関係する制限なども確認する必要があります。

なお、非該当証明書は、経済産業省が定めた一律の様式による許可証ではありません。

サンプル品や無償提供なら規制されない?

無償のサンプル品でも、安全保障貿易管理の対象になり得ます。

輸出目的や価格などによる例外規定が適用できる場合はありますが、「無償だから許可不要」とは判断できません。

毎回同じ製品なら該非判定をやり直す必要がある?

製品仕様や適用法令に変更がなければ、過去の判定結果を継続して利用できる場合があります。

ただし、法令改正時には見直しが必要です。また、同じ製品でも輸出先や用途、需要者が変われば、取引審査の結果が変わる可能性があります。

輸出担当者が確認したい実務チェックリスト

輸出案件が発生した際は、次の事項を整理しておくと確認漏れを防ぎやすくなります。

  • 輸出貨物の正式名称・型番・仕様が分かる
  • 付属ソフトウェアや提供予定技術を特定した
  • 最新版の法令に基づいて該非判定を行った
  • 該非判定の根拠資料を保存した
  • メーカーの判定書の内容を確認した
  • キャッチオール規制の対象範囲を確認した
  • 最終需要者と最終用途を確認した
  • 外国ユーザーリストなどの関連情報を確認した
  • 必要な輸出許可・役務取引許可を確認した
  • 出荷前に社内の責任者による承認を得た

輸出管理では、営業部門、技術部門、輸出実務担当者が同じ情報を共有することが重要です。

また、判定書、取引審査の記録、用途確認資料、輸出許可に関する資料などを案件ごとに管理しておけば、法令改正時の見直しや社内監査にも対応しやすくなります。

まとめ|該非判定と取引審査はセットで考える

輸出の該非判定は、日本の安全保障貿易管理において重要な手続きです。

リスト規制では貨物や技術の種類・仕様を確認し、キャッチオール規制では対象範囲や仕向地、用途、需要者などを確認します。

特に注意したいのは、リスト規制で非該当となった製品でも、キャッチオール規制などにより許可が必要になる場合があることです。

2025年10月の制度改正によって通常兵器キャッチオール規制の確認事項も見直されているため、従来の社内判断だけに依存せず、最新の法令や経済産業省の資料を確認することが大切です。

輸出管理は、輸出担当者だけでなく、営業担当者や技術担当者にも関係する業務です。該非判定、用途・需要者確認、許可要否の判断、出荷管理を一連の手続きとして運用することで、輸出取引の適切な管理につながります。

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参考外部リンク

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