自分の車を海外輸出すると高く売れる?国内買取・輸出代行と比較
今乗っている車を売却するとき、多くの人が最初に思い浮かべるのは、ディーラーへの下取りや中古車買取店への売却ではないでしょうか。
しかし、日本で使われてきた中古車には海外にも市場があります。車種や年式によっては、国内査定とは異なる評価を受けることもあり、「自分で海外へ輸出した方が高く売れるのでは?」と考える余地があります。
そこで本記事では、現在自分が所有している車を売却する場合に、ディーラー下取り、国内中古車買取、輸出向け買取業者、輸出代行、自力での海外輸出を比較します。
結論として、海外輸出は高値を狙える可能性がある一方、「海外での販売価格=自分の手取り」ではありません。まず国内査定と輸出向け査定を比較し、それでも十分な価格差が見込める場合に輸出代行や自力輸出を検討する順番が現実的です。
自分が現在乗っている車を海外へ輸出して売ることはできる?
現在自分が所有している中古車も、必要な手続きを行えば日本から海外へ輸出できます。
登録中の普通自動車を輸出する場合は輸出抹消仮登録を行い、その後、税関への輸出申告や船積みを進めます。つまり制度上は、個人が今乗っている愛車を海外の買主へ直接販売することも可能です。
ただし、国内買取店へ売る場合とは異なり、自力輸出では海外バイヤー探し、輸入規制の確認、契約、代金回収、通関、船便予約、B/Lなどの船積書類まで自分で管理する必要があります。
中古車輸出の最初から最後までの流れは「個人で中古車を海外輸出する全手順|顧客探しから通関・船積み・納車まで」で詳しく解説しています。
車を売却する方法は大きく5つある
| 売却方法 | 価格への期待 | 売却スピード | 自分の手間 |
|---|---|---|---|
| ディーラー下取り | △ | ◎ | 非常に少ない |
| 国内中古車買取 | ○ | ◎ | 少ない |
| 輸出向け買取業者 | ○〜◎ | ○〜◎ | 少ない |
| 輸出代行サービス | ◎の可能性 | △ | 中程度 |
| 完全自力輸出 | 最大化の可能性 | × | 非常に多い |
重要なのは、最も高い「販売価格」と、最も多くお金が残る「最終手取り」は違うということです。
海外へ輸出すると本当に車は高く売れる?
日本国内と海外では、中古車に対する需要が異なります。国内では年式や走行距離によって査定額が下がった車でも、海外では耐久性、部品供給、用途などから需要が残っている場合があります。
実際に、海外への輸出を前提として査定を行う中古車買取サービスもあります。ただし、輸出向けだから必ず高く買い取ってもらえるわけではありません。
海外需要は、車種、年式、グレード、排気量、ハンドル位置、輸入国の規制などで変わります。そのため、国内査定を取らずに最初から輸出だけに絞るのではなく、複数の売却方法を同じ時期に比較することが重要です。
海外販売価格と自分の手取りは違う
例えば海外の中古車販売サイトで、自分と同じ車が200万円で販売されていても、自分が200万円を受け取れるわけではありません。
実質手取り = 海外での販売価格 − 輸出・販売に必要な費用
自力輸出で発生する可能性がある費用
- 港までの国内陸送費
- 登録・輸出抹消関係の費用
- 船積前検査費用
- 通関費用
- 港湾・ヤード費用
- フォワーダー費用
- RoRo船・コンテナ船の海上運賃
- 海上保険
- 国際送金手数料
- 為替変動による差額
- 輸出代行を利用する場合の手数料
詳しくは「貿易でかかる費用一覧|商品代金以外に必要な送料・関税・保険・通関費用」も参考になります。
輸出抹消したときの税金はどうなる?
売却方法を比較するときは、支出だけでなく、抹消登録後に戻る可能性がある税金も確認しておきましょう。
| 項目 | 輸出時の扱い |
|---|---|
| 普通自動車の自動車税(種別割) | 年度途中で抹消登録した場合、原則として翌月から年度末までの月割分が還付される場合があります |
| 軽自動車税(種別割) | 月割還付制度はありません |
| 自動車重量税 | 中古車として輸出しただけでは還付されません |
自動車重量税の還付は、自動車リサイクル法に基づいて車両が適正に解体され、永久抹消登録などを行った場合の制度です。中古車として海外へ輸出する場合とは異なります。
そのため、輸出による手取りを計算するときに「車検残の重量税がすべて戻る」と見込まないよう注意してください。
国内売却・輸出買取・自力輸出を手取りで比較する
次は、比較方法を理解するための仮想的なモデルケースです。実際の査定額や海上運賃を示すものではありません。
| 売却方法 | 提示価格・売価 | 自己負担費用 | 想定手取り | 手間 |
|---|---|---|---|---|
| ディーラー下取り | 120万円 | ほぼなし | 120万円 | 非常に少ない |
| 国内買取 | 135万円 | ほぼなし | 135万円 | 少ない |
| 輸出向け買取 | 150万円 | ほぼなし | 150万円 | 少ない |
| 輸出代行 | 海外売価190万円 | 約25万円 | 約165万円 | 中程度 |
| 完全自力輸出 | 海外売価190万円 | 約18万円 | 約172万円 | 非常に多い |
この例では、自力輸出と輸出向け買取の差は22万円です。この22万円のために、買主探し、契約、代金回収、輸出抹消、通関、船積み、書類作成まで行う価値があるかを考えることになります。
比較するときは税金の還付なども含め、最終的に自分の手元へ残る金額で判断してください。
輸出サービスを利用するとどこまで楽になる?
「海外へ直接売ってみたいが、通関や船積みまではできない」という場合には、輸出代行サービスがあります。
ここで、「輸出向け買取」と「輸出代行」を分けて考えることが重要です。
| サービス | 仕組み | 特徴 |
|---|---|---|
| 輸出向け買取 | 自分の車を業者へ売る | 海外販売や輸出実務は業者側が担当 |
| 輸出代行 | 自分が海外買主へ売り、輸出部分を依頼 | 代行・輸送費を負担する代わりに海外売価へ近づける可能性がある |
公開されている料金例を見ると、五精総業では現在所有している車の輸出代行について、船代7万円から、手数料11万円(税込)からと案内しています。また輸出.comでは、輸出代行手数料44,000円、国内輸送費10,000円から、通関費用18,000円からなど、項目別の料金例を公開しています。
ただし、サービスごとに含まれる作業が異なるため、「手数料が安い会社=最終費用も安い」とは限りません。国内陸送、通関、B/L、港湾費用、海上運賃、検査などを含めた総額で比較してください。
自力輸出は本当に現実的?

自分が所有する車を自力で輸出すること自体は可能ですが、一般的な車売却に比べると実務量は大きく増えます。
- 海外バイヤーを探す
- 輸入可能な車か確認する
- 価格・インコタームズを交渉する
- 売買契約を締結する
- 前金を回収する
- 輸出抹消を行う
- 船積前検査を手配する
- フォワーダー・船会社を手配する
- インボイスなどを作成する
- 輸出通関を行う
- B/Lを確認する
- 残金を回収する
特に難しいのは、輸出抹消そのものより「海外で買主を確保し、代金を安全に回収すること」です。
海外顧客との契約については「個人で中古車を輸出する始め方|海外バイヤーの探し方と契約手順」、輸出実務は「個人で中古車を輸出する手続き|必要書類・輸出抹消・通関・船積みを解説」をご覧ください。
どんな車なら海外輸出を比較する価値がある?
輸出を比較する価値が出やすいのは、国内だけでなく海外にも中古車市場が存在する車です。
- 海外でも流通しやすい日本車
- 耐久性や悪路性能が評価されやすいSUV・四輪駆動車(例:ランドクルーザー、ハリアーなど)
- バン・商用車(例:ハイエース、プロボックスなど)
- 国内では年式が古いと評価されにくい車
- 走行距離が多くても実用需要が残る車
- 特定国で人気のグレード・エンジンを持つ車
ランドクルーザー、ハリアー、ハイエース、プロボックスなどは海外向け中古車市場でも確認しやすい車種ですが、これらの車であれば必ず国内査定より高く売れるという意味ではありません。
輸出できる年式、ハンドル位置、安全基準、排ガス規制は国によって違います。「海外で人気があるか」だけではなく、「現在の自分の車を輸入できる市場があるか」を確認する必要があります。
価格だけでなく売却までの時間も比較する
| 方法 | 売却スピード | 向いている人 |
|---|---|---|
| ディーラー下取り | 速い | 買い替えと同時に処理したい |
| 国内買取 | 速い | 早く現金化したい |
| 輸出向け買取 | 比較的速い | 手間を増やさず海外市場も比較したい |
| 輸出代行 | 時間がかかる場合がある | 販売価格を狙いつつ輸出実務を任せたい |
| 自力輸出 | 買主探し次第 | 時間より手取りを重視できる |
自力輸出で20万円多く残るとしても、買主が決まるまで長期間かかれば、駐車場代、保険、車検などの維持費や相場変動も発生します。
車を高く売るときは、「いくら高いか」だけでなく、「その金額を得るまで何日かかるか」も比較してください。
結局どの方法を選べばいい?
| 優先したいこと | 検討しやすい方法 |
|---|---|
| 手間を最小限にしたい | ディーラー下取り |
| 国内で高く売りたい | 複数の国内買取業者 |
| 海外需要も査定へ反映したい | 輸出向け買取業者 |
| 海外販売価格を狙いたいが実務は任せたい | 輸出代行 |
| 海外買主がいて貿易実務もできる | 自力輸出 |
一般の個人が「少しでも高く売りたい」という目的なら、最初から自力輸出へ進む必要はありません。
まず国内査定と輸出向け査定を比較し、その価格差を確認します。そのうえで、海外で直接販売した場合の想定手取りとの差が十分大きければ、輸出代行や自力輸出を検討します。
車を売る前に実際にやる8ステップ
- ディーラーの下取り査定を取る
- 国内買取業者から複数の査定を取る
- 輸出に強い買取業者にも査定を依頼する
- 自分の車が海外市場で流通しているか調べる
- 輸出代行から総額見積りを取る
- 自力輸出した場合の費用を計算する
- 税金なども含めた最終手取りを比較する
- 売却までの時間とリスクを加えて決定する
見るべき数字は最高査定額や海外での表示価格ではありません。最終的に手元へ残る金額と、そのために必要な時間・手間を比較しましょう。
自分で海外輸出したい場合は4つの記事で確認する
- 個人で中古車を海外輸出する全手順|顧客探しから通関・船積み・納車まで
中古車輸出の最初から最後までを確認できます。 - 個人で中古車を輸出する始め方|海外バイヤーの探し方と契約手順
買主探し、信用確認、見積り、契約、前金を解説しています。 - 個人で中古車を輸出する手続き|必要書類・輸出抹消・通関・船積みを解説
輸出抹消、必要書類、通関、船積みを解説しています。 - 中古車輸出の決済と納車手順|B/L・代金回収・現地通関を解説
B/L、残金回収、現地通関、車両引取りまでを解説しています。
まとめ|海外輸出は高く売るための比較対象として考える
今乗っている車を売却するとき、海外輸出も選択肢のひとつです。国内では低く評価される車でも、海外需要があれば輸出向け査定で違う価格が提示される可能性があります。
ただし、自力輸出では海外販売価格をそのまま受け取れるわけではありません。輸送、通関、船積み、決済、時間、為替、代行手数料などを差し引いて比較する必要があります。
まずは「ディーラー下取り」「国内買取」「輸出向け買取」の3つを比較し、その差を確認する方法が現実的です。そのうえで十分な価格差がある場合に、輸出代行や完全自力輸出を検討しましょう。
高く売るために見るべきなのは、「海外でいくらで売れるか」ではなく、「自分の手元に最終的にいくら残るか」です。
参考外部リンク
- 税関|中古自動車の輸出通関手続
中古自動車を海外へ輸出する際の登録・通関手続きを確認できます。 - 国税庁|使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度
中古車を輸出した場合は自動車重量税の還付対象にならないことを確認できます。 - 東京都主税局|自動車税
普通自動車を抹消登録した際の自動車税の月割還付について確認できます。 - 横浜市|軽自動車税の年度途中の廃車
軽自動車税には月割還付がないことを確認できます。 - ENG|輸出を活用した中古車買取
海外市場を前提とした中古車買取サービスの一例です。 - BE FORWARD|日本中古車の海外販売
海外で流通している日本車や車種を確認する参考になります。 - 五精総業|自動車の個人輸出代行
現在所有している車の輸出代行と料金例を確認できます。 - 輸出.com|中古車輸出サービス料金
輸出代行、国内輸送、通関、海上運賃などの料金例を確認できます。