C条件とは?
インコタームズにおける「C条件」とは、売主が運賃を負担して貨物を指定地まで輸送することを前提とする取引条件群を指します。特徴的なのは、売主が輸送費を負担する一方で、リスク移転のタイミングは比較的早い段階(本船積込み時や最初の運送業者への引渡し時)に設定される点です。
C条件には、海上輸送限定の CFR(Cost and Freight)・CIF(Cost, Insurance and Freight) と、すべての輸送モードで使える CPT(Carriage Paid To)・CIP(Carriage and Insurance Paid To) の4種類があります。それぞれ費用とリスク、保険の扱いが異なるため、貨物の種類や輸送形態、取引当事者のニーズに応じて適切な条件を選ぶことが重要です。
運送手段と、売主の負担区分

運送コスト
CFR→目的港まで運賃:売主負担
CIF→目的港まで運賃+最低保険:売主負担
CPT→指定仕向地まで運賃:売主負担
CIP→指定仕向地まで運賃+保険:売主負担
保険の有無
条件 | 運送手段 | 売主の費用負担 | 保険 |
---|---|---|---|
CFR(Cost and Freight) | 海上輸送限定 | 目的港までの運賃 | 含まれない |
CIF(Cost, Insurance and Freight) | 海上輸送限定 | 目的港までの運賃+最低限の保険料 | 売主が付保(最低補償) |
CPT(Carriage Paid To) | すべての輸送モード対応 | 指定仕向地までの運賃 | 含まれない |
CIP(Carriage and Insurance Paid To) | すべての輸送モード対応 | 指定仕向地までの運賃+保険料 | 売主が付保(ICC A基準 全危険担保推奨) |
C条件のリスク移転と利用シーン
CFR/CIF → 「本船積込時」に移転(海上輸送限定)
CPT/CIP → 「最初の運送業者引渡し時」に移転(全輸送モード対応)
条件 | リスク移転のタイミング | 実務での利用シーン | 実務ラベル |
---|---|---|---|
CFR(Cost and Freight) | 本船に積込んだ時点 | バルク貨物など海上取引で、保険は買主が自前で手配 | バルク貨物向け |
CIF(Cost, Insurance and Freight) | 本船に積込んだ時点 | 初めての輸入やバルク貨物、伝統的商習慣で利用 | 初心者・バルク貨物向け |
CPT(Carriage Paid To) | 最初の運送業者に引渡した時点 | 複合輸送や長距離輸送で運賃だけ売主に任せたい場合 | 複合輸送向け |
CIP(Carriage and Insurance Paid To) | 最初の運送業者に引渡した時点 | 高額貨物や複合輸送で、買主の負担軽減と保険確保を重視 | 高額貨物・複合輸送向け |
C条件のポイント
- CFR/CIF は 海上輸送専用。特にバルク貨物に向いている。
- CIF は初心者が安心しやすいが、保険は限定的なので追加が必要。
- CPT/CIP は 全輸送モード対応。グローバル物流や複合輸送に強い。
- CIP は保険が手厚いため、高額貨物の安全確保に適している。
その他の条件
インコタームズにおける、その他の条件はこちらからご確認ください。