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輸入原価の計算方法|FOB・CIF・関税・消費税を含む総コストを実例で解説

輸入原価の計算方法|FOB・CIF・関税・消費税を含む総コストを実例で解説
2026年10月29日 | 2026年10月29日

海外から商品を輸入するとき、商品代金だけを基準に販売価格を決めてしまうと、想定していた利益が残らないことがあります。国際送料や保険料、関税、輸入消費税、通関手数料など、商品が日本国内に到着して販売可能になるまでには、さまざまな費用が発生するためです。

こうした費用を含めた原価は、一般に「着地原価(Landed Cost)」と呼ばれます。

この記事では、日本への商業輸入を想定し、FOB価格からCIF価格を求め、関税・輸入消費税を計算したうえで、1個当たりの原価や販売時の利益率まで算出します。

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輸入原価とは?商品代金だけでは計算できない理由

輸入原価を把握するには、海外の販売業者に支払う商品代金だけでなく、輸送や通関に伴う費用も確認する必要があります。

基本的な考え方は次のとおりです。

輸入原価の基本式

商品代金+国際輸送関連費用+関税+輸入後の国内物流・通関関連費用+その他必要費用

ただし、輸入消費税は注意が必要です。仕入税額控除の対象となる場合、通関時に支払う税額と、会計上の原価として扱う金額が異なることがあります。

そこで、輸入取引では次の2つを分けて計算すると整理しやすくなります。

  • 資金支出額:仕入代金から輸入時の税金、物流費まで、実際に支払う金額
  • 原価計算額:仕入税額控除できる消費税などを区別した、販売価格や利益率の判断に使う金額

商品代金以外に発生する費用の全体像については、貿易でかかる費用一覧|送料・関税・保険・通関費用でも解説しています。

FOB・CIF価格と輸入原価の関係

輸入原価を計算するとき、最初に確認したいのが売買契約のインコタームズです。

FOBやCIFは、売主と買主の間で輸送費用などをどちらが負担するかを定める取引条件です。契約条件によって、商品価格に含まれている費用が異なります。

FOB価格とは

FOB(Free On Board)は、本船渡し条件です。指定された船積港で貨物が本船に積み込まれるまでの費用を、原則として売主が負担します。

買主は、その後の海上運賃や貨物保険料などを負担するため、日本への輸入原価を求めるには、FOB価格に別途発生する費用を加える必要があります。

CIF価格とは

CIF(Cost, Insurance and Freight)は、指定仕向港までの海上運賃と貨物保険料を売主が手配・負担する取引条件です。

単純化すると、次の関係になります。

CIF価格=FOB価格+海上運賃+貨物保険料

ただし、これは基本的な構成を示した式です。実際の関税課税価格は、インボイスの記載価格だけで確定するわけではありません。契約に含まれない別払金や、関税評価上の加算要素なども確認する必要があります。

また、CIF価格に運賃・保険料がすでに含まれている場合、それらを重複して輸入原価に加算しないよう注意してください。

各条件の詳細は、FOB・CIF・DAPの違いと費用負担・リスク移転を参考にしてください。

輸入原価の計算例|100個の商品を輸入する場合

ここからは、海外の取引先から商品を100個輸入するケースを使って計算します。

以下の金額や税率は計算方法を理解するための仮定であり、実際の運賃相場や特定商品の関税率を表すものではありません。

計算条件

項目設定値
輸入数量100個
商品代金(FOB)10,000 USD
国際送料1,800 USD
貨物保険料200 USD
為替レート1 USD=150円
関税率5%(仮定)
輸入消費税率10%(標準税率)
国内物流・通関関連費用50,000円

国内物流・通関関連費用は、説明を簡単にするため50,000円とし、その費用に係る国内消費税の追加計算は省略します。また、関税評価上の追加調整や他の個別消費税がないものとします。

STEP1:CIF価格を計算する

FOB価格に国際送料と貨物保険料を加えます。

10,000+1,800+200=12,000 USD

これを1ドル150円で換算すると、

12,000×150=1,800,000円

この1,800,000円を、今回の関税課税価格とします。

STEP2:関税額を計算する

関税は、原則として品目に対応する関税率と課税価格を基準に計算します。今回は仮に5%とします。

1,800,000×5%=90,000円

実際の関税率は商品によって異なり、無税の品目もあれば、数量や重量を基準とする従量税が適用される品目もあります。

STEP3:輸入消費税を計算する

日本に輸入する貨物には、原則として輸入消費税と地方消費税が課されます。

標準税率10%の場合、その内訳は国の消費税7.8%と地方消費税2.2%です。

今回の消費税課税標準額は、関税課税価格に関税額を加えた1,890,000円です。

国の消費税:

1,890,000×7.8%=147,420円

100円未満を切り捨て、147,400円となります。

地方消費税:

147,400×22÷78=41,574円余り

100円未満を切り捨て、41,500円となります。

したがって、今回の輸入消費税・地方消費税の合計は、188,900円です。

税額計算には、課税標準額の1,000円未満の切り捨てや、税額の端数処理などの規則があります。詳しくは税関「1111 関税、消費税等の税額計算方法」を参照してください。

STEP4:国内費用を含めた資金支出額を計算する

費用項目金額
CIF価格1,800,000円
関税90,000円
輸入消費税147,400円
地方消費税41,500円
国内物流・通関関連費用50,000円
資金支出額の合計2,128,900円

100個で割ると、1個当たりの支出額は21,289円です。

ただし、この金額には輸入消費税が含まれています。販売原価として使用する場合は、仕入税額控除の可否を確認する必要があります。

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輸入消費税は仕入原価に含めるべきか?

輸入原価の計算で間違えやすい点の一つが、輸入消費税の扱いです。

課税事業者が所定の要件を満たして仕入税額控除を受けられる場合、輸入時に納付した消費税は、後の消費税申告で控除対象となることがあります。

このため、通関時の資金支出と利益計算上の原価は区別する必要があります。

今回の例で輸入消費税・地方消費税の全額が控除対象になる場合、原価計算上は次の金額になります。

2,128,900-188,900=1,940,000円

1個当たりでは19,400円です。

比較項目1個当たり
輸入消費税を含む資金支出額21,289円
輸入消費税を除いた原価計算額19,400円

ただし、すべての輸入者が消費税の全額を控除できるわけではありません。免税事業者や簡易課税制度の適用事業者、課税売上割合などによって扱いが異なります。正式な会計処理は自社の課税方式に従って確認してください。

制度の詳細は国税庁「仕入控除税額の計算方法」を参照してください。

輸入原価から販売価格と利益率を求める

輸入原価が分かれば、国内で販売する際にどれくらいの利益が残るのかを計算できます。

例えば、先ほどの商品を税抜24,000円で販売するとします。ここでは仕入税額控除を全額受けられるものとし、販売手数料などは含めません。

項目1個当たり
販売価格(税抜)24,000円
輸入原価19,400円
売上総利益4,600円
売上総利益率約19.2%

売上総利益率は、次の式で求めます。

(販売価格-輸入原価)÷販売価格×100

ただし、この利益率には販売プラットフォームの手数料、国内配送費の追加分、保管費、広告費、人件費、返品・不良品による損失などは反映されていません。

実際の販売価格を決める場合は、こうした費用も見込んでおく必要があります。

輸入原価シミュレーター|関税・消費税・利益率を自動計算

実際の輸入取引では、仕入価格や為替レート、関税率などが変わるたびに輸入原価を計算し直す必要があります。

そこで、FOB・CIF価格を基準に、国際送料、保険料、関税、輸入消費税、国内諸費用をまとめて計算できるシミュレーターを用意しました。

輸入数量と販売予定価格も入力することで、1個当たりの着地原価や概算利益率まで確認できます。

初期値には、この記事で解説した100個の商品を輸入するケースを設定しています。各項目を変更して、輸入条件によってどの程度原価が変動するのかを比較してみてください。

輸入原価シミュレーター

各項目を変更すると計算結果が自動更新されます。入力金額は概算値です。

① 輸入取引の条件

FOBでは商品代金と国際送料・保険料を別々に入力します。

② 為替・税率・その他費用

外貨にはUSD・EURなどの金額を入力できます。支払換算レートと税関換算レートは実際の条件に合わせて設定してください。国内諸費用は入力額をそのまま加算します。

③ 輸入費用の計算結果
CIF相当額(支払レート換算) —
関税課税価格(概算) —
関税額 —
国の輸入消費税 —
地方消費税 —
国内諸費用 —

輸入時の概算資金支出額

—

1個当たりの資金支出額:—

選択条件による概算着地原価

—

1個当たりの着地原価:—

④ 販売時の概算利益
1個当たりの概算利益 —
概算利益率(売価基準) —

※商業輸入の単一税率・従価税を想定した概算です。関税課税価格はCIF相当額と仮定し、税関の端数処理を参考に計算しています。

※輸入消費税の全額控除は、適用要件を満たす場合のみ選択してください。部分控除、簡易課税、国内諸費用に係る消費税の控除、品目別配賦、その他の税・手数料は個別計算していません。

※利益計算には販売手数料、広告費、販売後の配送費、返品損失などを含めていません。表示される着地原価・利益率は正式な税務・会計計算を代替するものではありません。

参考:税関|関税・消費税等の税額計算方法

為替レートが変わると輸入原価はいくら変わる?

外貨建ての輸入取引では、為替相場も原価を左右します。

例えば、今回のCIF価格12,000ドルを150円ではなく155円で円換算すると、次のようになります。

為替レートCIF円換算額
1ドル=150円1,800,000円
1ドル=155円1,860,000円
差額60,000円

5円の円安によって、CIF円換算額は60,000円増加します。100個の輸入であれば、関税等を考慮する前でも1個当たり600円の差です。

税関の換算レートと実際の支払レートは異なる

ここで注意したいのは、輸入代金の支払いに用いる為替レートと、税関が課税価格の換算に用いるレートは必ずしも同じではないことです。

税関の換算では、原則として輸入申告日の属する週の前々週の実勢相場の平均値に基づく、公示レートが使用されます。

一方、仕入代金の支払額は、決済時の銀行レートや為替予約条件などに左右されます。

したがって、原価管理では「税関申告用の換算額」と「実際の決済に必要な円貨額」を分けて記録することが重要です。

詳しくは、為替予約と価格調整条項の仕組みや、INVOICE通貨の選び方も参考にしてください。

実際の輸入原価で見落としやすい5つの費用

1. 港湾関連費用・通関業者への支払い

輸入港では、ターミナル関連費用、書類発行費用、通関業者への報酬などが発生する場合があります。海上運賃に含まれている費用と、別途請求される費用を見積書で確認しましょう。

2. 日本国内の配送費と保管費

港から自社倉庫までの輸送費や、一時保管の倉庫料なども着地原価に影響します。通常、輸入港到着後の国内配送費は関税課税価格と区別して考えますが、その費用が契約価格に一体で含まれる場合などは、関税評価上の確認が必要です。

3. 検査費用や他法令の対応費用

商品によっては食品衛生法、植物防疫、電気用品安全法などの確認が必要です。検査や適合確認の費用が発生するケースもあります。

4. 送金手数料・為替手数料

海外送金手数料、中継銀行手数料、為替交換コストなども見逃せません。特に小ロット輸入では、固定的な手数料が1個当たりの原価を押し上げます。

5. 破損・不良品・数量不足による損失

100個を輸入しても、すべてを販売できるとは限りません。

例えば、原価総額1,940,000円に対して販売可能数量が95個であれば、単純計算の1個当たり原価は約20,421円になります。

実際の会計処理では不良品の処理方法によって異なりますが、販売計画では発注数量だけでなく販売可能数量も確認しておきたいところです。

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関税率はどのように確認する?HSコードとEPAの関係

関税を計算するには、輸入する商品のHSコードを確認する必要があります。

HSコードは商品を分類するための番号で、日本の実行関税率表では、品目の分類や適用される税率を確認できます。

また、日本が締結するEPAなどの経済連携協定によって、通常より低い税率が適用される場合があります。ただし、対象国から輸入するだけで自動的に優遇税率が適用されるわけではありません。

原産地規則を満たしていることや、必要な証明・申告手続きを行うことなどが条件となります。

原価を試算するときには、次の順番で確認するとよいでしょう。

  1. 商品の仕様・材質・用途を整理する
  2. 適切なHSコードを確認する
  3. 日本の実行関税率表から適用税率を調べる
  4. 利用できるEPAなどの協定を確認する
  5. 原産地規則と必要書類を確認する
  6. 適用可能な関税率で再計算する

関連情報として、HSコードとは何か?全21部の分類と基本的な考え方、RCEP・EPA・FTAの違いも掲載しています。

輸入原価を計算する際のチェックリスト

海外の取引先から見積書を受け取ったら、以下の内容を確認してください。

  • 商品代金と取引通貨が明確になっているか
  • FOB・CIF・DAPなどの取引条件を確認したか
  • 運賃・保険料の二重計上がないか
  • HSコードと適用関税率を確認したか
  • 税関公示レートと実際の支払レートを区別したか
  • 輸入消費税の仕入税額控除を考慮したか
  • 通関手数料・港湾費用・国内配送費を含めたか
  • 不良品や数量不足を想定したか
  • 販売価格と利益率を試算したか

複数の品目を一度に輸入する場合には、送料や保険料、通関関連費用を品目ごとにどのように配賦するかも重要になります。重量・容積・価格など、費用の発生原因に合った配賦基準を使用し、税関申告上の按分方法と社内原価計算を混同しないことが大切です。

まとめ|輸入原価は「着地原価」と「資金支出」を分けて判断する

輸入原価を正確に把握するには、商品代金だけでなく、国際送料、保険料、関税、輸入消費税、通関関連費用、国内配送費などをまとめて確認する必要があります。

特に重要なのは、関税の計算に使う課税価格と、実際に国内で販売するまでにかかった着地原価は、同じ金額ではないという点です。

また、輸入消費税については、通関時の資金支出に含めながらも、仕入税額控除の適用関係に応じて原価計算上の扱いを検討する必要があります。

海外からの仕入れを検討する際には、発注前に概算原価を求め、通関・納品後に実際の支出額と照合してみてください。

この作業を繰り返すことで、仕入先や輸送方法の比較、販売価格の設定、為替変動に対する採算管理がしやすくなります。

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参考外部リンク

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