日経平均の下落はいつまで続く?半導体株急落の5つの原因と底打ちサイン
投資・相場関連記事に関するご注意
- 本記事は、公開時点で確認できる市場情報や一般的な相場材料をもとにした情報提供を目的とした内容です。
- 特定の金融商品、銘柄、売買時期、投資行動を推奨するものではありません。
- 投資判断は、最新情報をご確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。必要に応じて、金融商品取引業者や専門家へご相談ください。
日経平均株価は、2026年6月25日の7万2,366.34円から、7月28日には6万2,364.92円まで下落しました。終値ベースの下落幅は1万1.42円、率にすると約13.8%です。上昇局面で指数を押し上げていたキオクシア、アドバンテスト、東京エレクトロンなどのAI・半導体関連株が、今度は日経平均を強く押し下げています。
では、この下落はいつまで続くのでしょうか。結論からいえば、日付で底を予測するよりも、信用取引の整理、米国半導体株の安定、AI設備投資の回収可能性、日経平均の需給改善という4つの条件を確認することが重要です。
※本記事は市場環境を整理するための情報提供を目的としており、特定銘柄の売買や投資成果を保証するものではありません。
日経平均はなぜ約1か月で1万円下落したのか
| 確認項目 | 2026年6月25日 | 2026年7月28日 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 日経平均株価 | 72,366.34円 | 62,364.92円 | -10,001.42円、約-13.8% |
今回の下落は、日本経済全体の急激な悪化だけで説明できるものではありません。高値圏まで買われたAI・半導体株に、期待の修正とポジション解消が集中し、値がさ株の影響を受けやすい日経平均が増幅して下げた面があります。
AI・半導体株を急落させた5つの要因
1.信用買いとレバレッジの巻き戻しが売りを増幅した
韓国市場では、半導体株の上昇を前提に信用取引やレバレッジ型商品へ資金が集中していました。株価が急落すると、追加保証金への対応や強制決済が発生し、価格下落がさらに売りを呼ぶ連鎖が起こります。
ただし、日本市場の下落をすべて「日本の個人投資家による強制ロスカット」と断定するのは適切ではありません。韓国のKOSPI、米国のSOX指数、半導体関連ETF、海外投資家の先物売買が連動し、その影響がキオクシアや半導体製造装置株へ波及したと見るほうが実態に近いでしょう。
2.AI設備投資が「成長材料」から「回収リスク」へ変化した
これまで米ビッグテックによるAIデータセンター投資は、GPU、メモリー、半導体製造装置の需要を支える好材料として評価されてきました。しかし、投資額が急拡大するにつれて、市場の関心は「どれだけ投資するか」から「いつ利益として回収できるか」へ移っています。
Alphabetは2026年4~6月期の設備投資額を449億ドルとし、2026年通期の設備投資見通しを1,950億~2,050億ドルへ引き上げました。クラウド事業が伸びていても、巨額投資によるフリーキャッシュフローや資金調達への負担が警戒されれば、AI関連企業全体の評価が引き下げられます。
3.好決算でも「高すぎる期待」を超えなければ売られる
半導体株では、業績が良いか悪いかだけではなく、市場が事前にどこまで期待していたかが重要です。TSMCは2026年4~6月期に売上高402億ドル、1ADR当たり利益4.31ドルという高成長を示しました。それでも決算後に株価が安定しなかったのは、強いAI需要がすでに株価へ相当織り込まれていたためです。
Intelも売上高161億ドルと前年同期比25%増を記録し、次四半期の見通しを示しましたが、半導体セクター全体への売りが強い局面では、個別の好材料だけで株価を支えにくくなります。
一方、キヤノンは全社の利益が改善したものの、産業機器部門では売上高が前年同期比15.3%減、営業利益が28.7%減でした。「決算はすべて良かったのに売られた」と一括りにせず、半導体露光装置を含む事業別の数字まで確認する必要があります。
4.日経平均は値がさ半導体株の下落を受けやすい
日経平均は時価総額加重ではなく、株価の高い銘柄の影響が大きい株価平均型の指数です。アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループなどが同時に下落すると、東証全体では上昇銘柄が残っていても、日経平均だけが大きく下げることがあります。
そのため、日経平均の下落をそのまま「日本企業全体が同じ割合で悪化した」と受け取らず、TOPIX、業種別指数、値上がり銘柄数も併せて確認することが重要です。
5.半導体から内需・バリュー株へ資金が移動している
AI・半導体株から抜けた資金の一部は、銀行、鉄道、医薬品、消費関連などへ移動しています。これは市場から資金が完全に消えたというより、割高感の強い成長株から、業績の見通しや資産価値を評価しやすい銘柄へ資金が移るセクターローテーションです。
なお、銀行株や自動車株をすべてディフェンシブ株と呼ぶのは正確ではありません。銀行は金利敏感株、自動車は外需・景気敏感株です。今回注目すべきなのは「ディフェンシブへの一方向の逃避」ではなく、半導体一極集中からTOPIX型・バリュー型へ物色が広がるかどうかです。
為替動向も、セクターローテーションを考えるうえで重要な補助線です。一般に円高が急速に進むと、海外売上高の大きい半導体株や輸出企業では、外貨建て利益の円換算額が減少するとの警戒が強まり、内需株の相対的な優位性が高まりやすくなります。
ただし、今回の日経平均下落局面ではドル円が円安方向で推移しているため、円高が半導体株安の直接的な原因になったとはいえません。今後、株安と円高が同時進行する局面へ変化した場合には、半導体・外需株から内需株への資金移動がさらに強まる可能性があります。
半導体株の下落はいつまで続くのか
下落の終了時期を特定の日付で断言することはできません。短期的には急落後の自律反発が起こり得ますが、反発と底打ちは同じではありません。今回の調整が終わるには、次の3段階を確認する必要があります。
第1段階:強制的な売りが一巡する
出来高を伴う急落、寄り付き直後の投げ売り、連続したストップ安が減り、悪材料が出ても安値を更新しにくくなることが最初の条件です。信用買い残が高水準のままでは、株価が少し戻るたびに「戻り売り」が出やすくなります。
第2段階:米国と韓国の半導体株が安定する
日本の半導体株だけが先に本格反転する可能性は高くありません。SOX指数、NVIDIA、Micron、SanDisk、Samsung Electronics、SK hynixなどが安値更新を止め、決算後も売り込まれない状態へ変わる必要があります。
第3段階:AI投資の回収経路が見える
クラウド売上高、AIサービスの有料化、データセンター稼働率、受注残、フリーキャッシュフローが改善し、設備投資が利益成長につながる証拠が増えると、半導体需要への疑念は後退します。単に設備投資額が増えるだけでなく、投資利益率を説明できるかが次の焦点です。
底打ちを判断するために確認したい6つの指標
| 指標 | 確認するポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| 日経平均VI・VIX | 急上昇後にピークアウトし、株価下落時にも再上昇しにくくなる | VIXは米国株の指標なので、日経平均VIと併用します |
| RSI | 30以下の売られすぎ圏から30を回復する | 強い下落相場では低水準に張り付くため、単独判断は避けます |
| 移動平均線 | 5日線の上抜け、25日線との乖離縮小、安値の切り上げ | 一度上抜けただけではだましになることがあります |
| チャート形状 | ダブルボトム、逆三尊、直近戻り高値の突破 | 形だけでなく出来高の増加も確認します |
| 信用需給 | 信用買い残の減少、信用評価損益率の改善、追証売りの一巡 | 買い残が減っても業績悪化が続けば反転材料にはなりません |
| 市場の広がり | 値上がり銘柄数の増加、TOPIXの相対的な底堅さ、半導体以外への資金循環 | 指数だけでなく市場内部の強さを確認します |
| 日経平均VI・VIX | 急上昇後にピークアウトし、株価下落時にも再上昇しにくくなる。VIXは12~20程度が通常の範囲、20超で警戒感が強まり、30~40台では市場の不安が極めて強い局面と判断する目安になります。日経平均VIは平時でも20~30程度で推移し、30や40が重要な節目として注目されます | 絶対的な売買基準ではありません。VIXは米国株、日経平均VIは日本株の予想変動率を示すため、対象市場を分けて確認します |
なお、VIXや日経平均VIが高いこと自体は、株価がすでに底を打ったことを意味しません。指数が急上昇した後に低下へ転じ、株価が安値を更新しなくなる動きまで確認することが重要です。
今後の投資スタンスをどう考えるか
短期トレード
値幅が大きい局面では、底値を一点で当てにいくより、寄り付き直後の急変を避け、安値更新が止まった後の戻り高値突破を確認する考え方があります。投入資金を小さくし、損失許容額を先に決めることが重要です。
スイング
日足RSIの回復、5日線の上向き転換、SOX指数の安定、信用買い残の整理を複数確認してから段階的に判断します。最初の反発だけで全額を投入せず、二番底の可能性を残した資金配分が現実的です。
中長期
AI需要そのものが消えたのか、期待が高すぎたため株価だけが調整しているのかを分けて考えます。売上成長、営業キャッシュフロー、設備投資負担、顧客集中、競争力を確認し、価格ではなく企業価値を基準に分散を検討します。
まとめ|底を当てるより、売りが止まる条件を確認する

日経平均が約1か月で1万円下落した最大の特徴は、AI・半導体株へ集中していた期待と資金が逆回転したことです。信用取引の巻き戻し、米ビッグテックの設備投資負担、高すぎる決算期待、値がさ株の指数寄与度が重なり、下落幅が拡大しました。
「恐怖の中で買う」という考え方はありますが、恐怖が強いだけでは底打ちの証拠になりません。日経平均VI、RSI、移動平均線、信用残、出来高、SOX指数、市場の値上がり銘柄数を組み合わせ、悪材料が出ても安値を更新しない状態を待つことが重要です。底値を正確に当てることより、反転条件を確認して資金管理を徹底するほうが、再現性のある判断につながります。