2026年3月9日から始まる週の金価格(XAUUSD)は、現在およそ5,080ドル付近で推移しています。中東情勢の緊張により安全資産としての需要は存在するものの、米ドルの上昇と金利上昇が金価格の上値を抑える構図になっています。
今週の金価格は4,950ドル〜5,250ドルのレンジ推移を想定します。地政学リスクによる買いと、ドル高による売り圧力が拮抗するため、方向感の出にくい相場になる可能性があります。
今週の主な材料は次の通りです。
- 中東情勢(イランと米国の軍事衝突)
- 米ドル指数の動向
- 米国金利(10年債利回り)
- 原油価格の上昇
過去半年の価格推移とその要因
金価格は2025年後半から強い上昇トレンドを形成してきました。主な要因は世界的なインフレ懸念、中央銀行による金購入の増加、そして地政学リスクの高まりです。2026年初頭には史上最高値付近まで上昇し、金市場は非常に強いトレンドを形成しました。
しかしその後は米国金利の高止まりとドル高の影響を受け、上昇ペースはやや鈍化しています。金は利息を生まない資産であるため、金利が高い環境では資金が債券へ移動しやすくなります。
価格変動となった主な要因
- 中央銀行による金購入
- 地政学リスク
- インフレ懸念
- 米国金利上昇
過去1か月の価格推移と要因
直近1か月の金価格は大きく上昇した後、やや調整局面に入っています。中東情勢の緊張により安全資産需要は存在していますが、米ドルが強く上昇したことで金価格の上昇は限定的となっています。
通常、戦争や地政学リスクが発生すると金は強く買われます。しかし今回の市場ではドルが安全資産として強く買われており、その結果として金価格は方向感を失いやすい状況になっています。
価格変動となった主な要因
- 中東情勢
- ドル高
- 米金利上昇
- 原油価格上昇
今後30日の価格変動の主な要因
今後1か月の金価格を考える上で最も重要なのは、米国金利とドル指数です。金は利息を生まない資産であるため、金利が上昇すると投資資金が債券へ移動しやすくなります。その結果として金価格は下落しやすくなります。
またドルが強くなると、ドル建てで取引される金は相対的に割高となり、海外投資家からの需要が減少する可能性があります。現在の市場では、地政学リスクによる買いとドル高による売り圧力が同時に存在しています。
- 米金利
- ドル指数
- 中東情勢
- 中央銀行の金購入
価格予想
2026年3月9日週の金価格は、現在値約5,080ドルを基準に4,950ドル〜5,250ドルのレンジ推移を想定します。
価格上昇シナリオ
金価格が上昇するシナリオとしては、中東情勢のさらなる悪化が考えられます。戦争が拡大すると金融市場ではリスク回避の動きが強まり、安全資産として金が買われやすくなります。特に原油供給への影響が大きくなる場合、インフレ懸念が強まり、金価格は5,200ドル以上を試す可能性があります。
価格停滞シナリオ
現在の市場ではドル高と安全資産需要が拮抗しており、金価格はレンジ相場になりやすい状況です。この場合、5,000ドル付近を中心とした値動きが続く可能性があります。
価格下落シナリオ
米国金利がさらに上昇した場合、投資資金が債券市場へ移動し、金価格は調整する可能性があります。またドル高が続いた場合、金は相対的に割高となり、4,950ドル付近まで下落する可能性があります。
シナリオ別割合
| トレンド | 確率 | 価格帯 | 要因 |
|---|---|---|---|
| 上昇 | 35% | 5,150〜5,250 | 地政学リスク |
| 停滞 | 40% | 5,000〜5,150 | ドル高との均衡 |
| 下落 | 25% | 4,950〜5,000 | 金利上昇 |
なぜ今回は戦争でも金が一方向に上がらないのか
通常、戦争や軍事衝突が発生すると、安全資産として金が買われやすくなります。しかし今回の市場では、金価格が強く上昇し続ける状況にはなっていません。
最大の理由は米ドルの強さです。現在は中東情勢の悪化によって、金と同時にドルにも安全資産として資金が流れています。しかもドルは金利を伴う米国債と組み合わせて保有できるため、流動性の高いドルが優先されやすい局面があります。
さらに、米国金利が高止まりしていることも金には逆風です。金は利息を生まない資産であるため、金利が高い環境では債券との比較で魅力が相対的に低下します。
加えて、ここまで金価格が高値圏にあることで、短期筋による利益確定売りも入りやすくなっています。そのため、地政学リスクによる買い材料があっても、一方向に上昇しにくい構造になっています。
なお、戦争時に市場全体でどの資産へ資金が向かいやすいかを整理したい場合は、 戦争時に資金が向かう投資先とは|ドル・金・原油と日本円の安全資産性を整理 もあわせて確認すると、今回の値動きの背景が理解しやすくなります。
中央銀行は今も金を買っているのか?
金価格を支える中長期要因として、各国中央銀行による金購入は現在も重要な材料です。近年は外貨準備の分散を目的として、米ドル以外の資産を増やす動きが続いています。
特に新興国では、為替準備の一部を金に振り向ける動きが継続しており、世界的に見ても中央銀行の金購入量は高水準を維持しています。
この背景には、地政学リスクの高まりや、ドル依存を抑えたいという各国の戦略があります。金は発行体リスクがない実物資産であるため、国際情勢が不安定な局面では準備資産としての価値が再評価されやすくなります。
短期的にはドル高や金利上昇で価格が抑えられることがありますが、中央銀行の継続的な買いは金価格の下値を支える要因として意識されています。
短期トレーダーは何を見ればよいか
短期的に金価格を追う場合は、単に金そのものを見るよりも、同時に動いている関連市場を確認する方が流れを把握しやすくなります。
米10年債利回り
米国10年債利回りは金価格と逆方向に動きやすい代表的な指標です。利回りが上昇すると債券の魅力が増し、金には売り圧力がかかりやすくなります。
ドル指数(DXY)
ドル指数が上昇すると、ドル建てで取引される金は相対的に割高になりやすく、上値が抑えられる傾向があります。特に今回のようにドルが安全資産として買われている局面では重要です。
原油価格
原油価格は地政学リスクとインフレ期待を映しやすい指標です。原油が急騰する場合、インフレ懸念から金に買いが入りやすくなる場面があります。
まとめ

2026年3月9日週の金価格は、現在値5,080ドル付近を起点に4,950ドル〜5,250ドルのレンジ推移を想定します。地政学リスクによる安全資産需要は存在するものの、ドル高と金利上昇が金の上値を抑える可能性があります。
今週の金市場では、米国金利とドル指数、そして中東情勢が最大の注目材料となります。これらの動向によって短期的な価格方向が決まる可能性があります。
参考外部リンク
- Investing.com
金価格(XAUUSD)のリアルタイム推移 - Trading Economics
国際金価格のマクロ推移確認 - Reuters
商品市場ニュースと地政学リスクの影響