HSコード第6部|化学工業および関連工業製品の分類体系と規制や制限

HSコード第6部|化学工業および関連工業製品の分類体系と規制や制限

概要(第6部の位置づけと特徴)

HSコード第6部は、化学反応または化学的加工を経て製造される製品群を対象とする部です。
天然由来か合成かを問わず、「化学的性質が製品価値の本質となっているか」が分類上の重要な判断軸になります。

本部は第28類から第38類までの11類で構成され、医薬品・肥料・染料・洗剤・プラスチック原料など、
各国の安全規制・環境規制・用途制限と強く結びついた品目が集中しています。

そのため第6部は、HSコードの中でも
・誤分類時のリスクが高い
・税関照会や事後調査が発生しやすい
・成分資料の提出を求められやすい
という実務的特徴を持ちます。

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第6部に含まれる類一覧と6桁コード例

第28類|無機化学品、貴金属化合物

コード内容例
28.01フッ素、塩素、臭素
28.04水素、希ガス
28.17酸化亜鉛、過酸化亜鉛
28.36炭酸塩

判断ポイント
・単一無機化合物か
・混合物でないか
・工業用途が明確か

第29類|有機化学品

コード内容例
29.01非環式炭化水素
29.06非環式アルコール
29.33複素環式化合物

判断ポイント
・炭素化合物であること
・医薬用途に特化していないか(第30類との境界)

第30類|医薬品

コード内容例
30.03混合された医薬品(未小売)
30.04小売用に調製された医薬品

判断ポイント
・治療・予防用途の明示
・有効成分の存在
・用量・投与形態

第31類|肥料

コード内容例
31.02窒素質肥料
31.03りん酸質肥料
31.05複合肥料

判断ポイント
・農業用途限定か
・化学肥料か有機肥料か

第32類|染料・顔料・塗料

コード内容例
32.04合成有機染料
32.08塗料・ワニス

第33類|精油・香料・化粧品

コード内容例
33.01精油
33.04化粧品

第34類|石鹸・洗剤・潤滑剤

コード内容例
34.01石鹸
34.02有機界面活性剤

第35類|たん白系物質・酵素

コード内容例
35.04ペプトン、酵素

第36類|火薬類

コード内容例
36.01火薬
36.05マッチ

第37類|写真用材料

コード内容例
37.01感光板・フィルム

第38類|各種化学工業生産品(その他)

コード内容例
38.08農薬、消毒剤
38.24調製化学品(他類非該当)

注意
第38類は「最後の受け皿」ですが、安易な選択は誤分類の典型例となりがちです。

HSコード第6部 分類判断フロー(縦型) 対象:化学工業または関連工業の生産品(第28類〜第38類) 実務では、用途説明・成分表・製造工程・SDSの確認が重要です。 スタート:製品情報を整理 (成分・用途・製造工程・SDS) 化学反応または 化学的加工を経ている? NO 第6部以外を検討 (第1〜5部など) YES 化学的に定義された 単一物質(単体)? YES 無機? YES 第28類(無機化学品) 分類確定(必要に応じ税関確認) NO 第29類(有機化学品) 分類確定(必要に応じ税関確認) NO 医療(治療・予防)目的? YES 第30類(医薬品) 分類確定(必要に応じ税関確認) NO 農業用の肥料として調製? YES 第31類(肥料) 分類確定(必要に応じ税関確認) NO 染色・着色・塗装用途? YES 第32類(染料・塗料等) 分類確定(必要に応じ税関確認) NO 香料・化粧用途(精油含む)? YES 第33類(香料・化粧品) 分類確定(必要に応じ税関確認) NO 洗浄・潤滑用途(界面活性剤等)? YES 第34類(石鹸・洗剤等) 分類確定(必要に応じ税関確認) NO たん白系物質・酵素(工業用途)? YES 第35類(たん白・酵素) 分類確定(必要に応じ税関確認) NO 火薬・発火性物質(マッチ等)? YES 第36類(火薬・マッチ) 分類確定(必要に応じ税関確認) NO 写真用の感光材料? YES 第37類(写真用材料) 分類確定(必要に応じ税関確認) NO 第38類(各種化学工業生産品) (他類に該当しない調製化学品・農薬等) 注意 本SVGは分類検討の参考フローです。最終的なHSコードは、成分・用途・製造工程等を踏まえ税関の判断が優先されます。 HSコードは法令適合を保証しません。危険物・毒劇物・化審法・薬機法等の規制は別途確認してください。

規制・法令チェックリスト(独立節)

第6部に該当する可能性がある場合、以下を事前確認することが推奨されます。

・SDS(安全データシート)の有無
・化学物質管理法(化審法)該当性
・薬機法対象か否か
・肥料取締法対象か否か
・毒物及び劇物取締法該当性
・危険物(航空・海上輸送規則)該当性
・輸入国側の成分規制

HSコードは通関分類であり、国内法令の適合を保証するものではない点に注意が必要です。

よくある誤分類例(実務向け)

・天然由来=第6部外と誤認
・医薬成分を含むだけで第30類に分類
・第38類を万能類として使用
・最終製品ではなく原料用途で判断

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各類ごとの誤分類Q&A(第6部・実務向け深掘り)

第28類|無機化学品

Q. 複数の無機成分が含まれているが、第28類でよいか
A. 原則として第28類は単一の化学的に定義された物質が対象です。複数成分が混合されている場合は、第38類や用途別類の検討が必要になります。

Q. 工業用途の無機化合物であれば必ず第28類か
A. 用途ではなく化学的性状が優先されます。反応生成物や調製品は第28類から外れる場合があります。

第29類|有機化学品

Q. 炭素を含む製品はすべて第29類か
A. 炭素を含んでいても、用途が医薬・化粧品・洗剤などに特化している場合は他類が優先されます。第29類はあくまで有機化学品そのものが対象です。

Q. 医薬原料は第29類か第30類か
A. 治療・予防用途として特定されていない原料段階であれば第29類になる可能性がありますが、表示・用途説明が医薬目的であれば第30類を検討します。

第30類|医薬品

Q. 有効成分を含んでいれば第30類になるか
A. 有効成分の存在だけでは不十分です。治療または予防目的が明確であり、用量・投与方法が特定されている必要があります。

Q. 工業用試薬でも医薬成分が含まれている場合は
A. 用途が医療行為に直接結びつかない場合、第29類や第38類となることがあります。

第31類|肥料

Q. 農業用途と説明すれば第31類になるか
A. 単なる栄養補給目的でない場合や、成分が肥料として一般的でない場合は他類を検討します。用途説明だけでなく成分構成が重要です。

Q. 有機肥料は化学品に該当しないのでは
A. 化学的処理を経ていれば第31類に含まれる可能性があります。天然由来か否かは決定要因ではありません。

第32類|染料・顔料・塗料

Q. 着色目的であればすべて第32類か
A. 化粧用途や食品用途の場合は別類が優先されます。最終用途の確認が不可欠です。

第33類|精油・香料・化粧品

Q. 香りがする製品は第33類か
A. 香料成分を含んでいても、洗剤や工業用途が主であれば第34類や第38類が優先されます。

第34類|石鹸・洗剤・潤滑剤

Q. 界面活性剤を含む製品は第34類か
A. 洗浄目的で調製されていなければ第29類または第38類になることがあります。

第35類|たん白系物質・酵素

Q. 食品由来の酵素でも第35類か
A. 食品用途として調製されている場合は第21類などが優先されます。工業用途か否かが判断軸です。

第36類|火薬類

Q. 発火性が低くても第36類になるか
A. 化学的性質と用途により判断されます。輸送規制との混同に注意が必要です。

第37類|写真用材料

Q. デジタル用途の材料も該当するか
A. 原則として感光性材料が対象であり、デジタル記録媒体は別類になります。

第38類|各種化学工業生産品

Q. 判断が難しい場合は第38類でよいか
A. 第38類は最後の手段です。他類の検討を尽くしたうえでのみ選択します。安易な選択は税関照会の原因になります。

まとめ

HSコード第6部は、成分・用途・製造工程・法規制が複雑に絡む高難度部です。
分類の正確性は、関税だけでなく輸入可否・規制遵守にも直結します。

実務では
「用途説明」+「成分資料」+「製造工程」
をセットで整理したうえで分類検討を行うことが重要です。

参考外部リンクまとめ

【公式・一次情報(HSの原典/解釈)】

1) WCO(世界税関機構)|HS解説書(Explanatory Notes:分類解釈の最重要資料)
https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/tools-to-assist-with-the-classification-in-the-hs/explanatory-notes.aspx

2) WCO|HS Nomenclature 2022(HS条文テキスト、改正体系の参照)
https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/hs-nomenclature-2022-edition.aspx

3) WCO|HS Convention(HS条約:制度の法的基盤)
https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/hs_convention.aspx

4) WCO|Compendium of Classification Opinions(分類意見集:具体的製品の判断事例)
https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/tools-to-assist-with-the-classification-in-the-hs/compendium.aspx

5) 税関(Japan Customs)|日本の関税率表(2025/1/1版:SECTION VIが明示)
https://www.customs.go.jp/english/tariff/2025_01_01/index.htm
(第6部=Section VI、Chapter 28〜38をそのまま辿れる)

6) 税関|事前教示(分類)制度の概要(輸入前に分類照会できる)
https://www.customs.go.jp/english/advance/classification.htm

7) 税関|事前教示(分類)の公表情報検索(公開されている裁決・照会結果を検索)
https://www.customs.go.jp/english/tetsuzuki/bunrui/index.htm

8) 国連統計部(UNSD)|HS分類の概要(HSが国際統計の基盤である説明)
https://unstats.un.org/unsd/classifications/

9) UN Comtrade(国連貿易統計)|品目別の貿易統計(HSベースで検索可能)
https://comtrade.un.org/

10) WTO|HS Tracker(HS改正で見出し/号がどう変わったか追跡)
https://hstracker.wto.org/

11) 欧州委員会(EU)|Harmonized System general information(HS制度・解釈文書の位置づけ)
https://taxation-customs.ec.europa.eu/customs/calculation-customs-duties/customs-tariff/harmonized-system-general-information_en

免責・注意

本記事は、HSコード第6部に関する一般的な分類の考え方および参考情報を整理したものです。
実際のHSコードの確定は、製品の成分、用途、製造工程、契約条件等を踏まえ、税関の判断が優先されます。

また、HSコードは通関分類であり、各国の法令や規制への適合性を保証するものではありません。
輸出入に際しては、関係法令および所轄機関の指示をご確認ください。

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2025年12月24日 | 2026年1月13日