SWIFT国際送金の着金が遅い理由とは?よくある原因と実務対応を解説【事例付き】

SWIFT国際送金の着金が遅い理由とは?よくある原因と実務対応を解説【事例付き】

国際送金は、海外の取引先への支払い、個人の海外口座への送金、留学費用の支払いなど、日常のビジネスや生活の中で広く利用されています。一般的には1〜3営業日で着金すると案内されることが多いものの、実際には5営業日以上かかることがあり、時には1週間を超えることもあります。とくにSWIFTネットワークを利用した国際送金は複数の銀行を経由する仕組みのため、送金と着金のタイムラグが生じやすい特徴があります。

この記事では、SWIFT国際送金の着金が遅れる理由を、実務で実際に起こりやすいシナリオを交えながら詳しく整理します。また、確認すべきポイントや銀行への問い合わせ方法、遅延を防ぐための対策も紹介し、読者が日常の国際取引でトラブルに備えられるよう丁寧に解説します。

1. SWIFT送金が遅れる背景にある構造

SWIFTネットワークは国際銀行間通信のための仕組みであり、送金データを銀行間で安全にやり取りするために使われています。しかし、このネットワークは「送金ルートを決める仕組み」ではなく、「通信を行うためのネットワーク」です。つまり、送金は次のようにいくつもの金融機関を経由して流れていくことが一般的です。

送金銀行 → 中継銀行 → 受取銀行 → 受取人の口座

経由する銀行が多いほど、チェック項目や確認作業が増え、そのたびに小さな遅れが積み重なります。特に異なる国の銀行をまたぐ場合は、祝日、決済ルール、コンプライアンス基準が国ごとに異なるため、時間差が生じやすくなります。

こうした構造的な特徴があるため、どれだけ送金側が正確に処理しても、受取までに時間がかかるケースはどうしても発生します。

2. 着金が遅れる主な原因

2-1. 中継銀行での確認作業や保留

海外送金の遅延理由で最も多いのが、中継銀行での確認作業です。中継銀行では、送金データに不備がないか、法令に抵触していないか、制裁対象者との取引ではないかをチェックします。

よくあるチェック保留の例
・送金名義人または受取人の住所が短すぎる
・法人名の表記が略称で記載されている
・受取人名の姓と名の順番が逆
・支店名や口座番号の記載に抜けがある
・SWIFTコードが古いものや誤りの疑いがある

SWIFT国際送金における中継銀行での確認・保留イメージ 送金銀行 (送金人の口座) 中継銀行 コンプライアンスチェック・情報確認 名義や住所の不備、高額送金などで 「保留」されるとここで時間がかかる 受取銀行 内部チェック後に入金処理 受取人の口座 ここで保留されると着金まで数営業日遅延することがある

これらの項目に何か違和感があると、中継銀行は送金を保留し、送金銀行へ照会を返すことがあります。回答のやり取りに1〜2営業日かかるため、結果として着金が遅れることがあります。

2-2. 受取銀行側でのコンプライアンス審査

受取銀行は、着金した送金データをもとに口座へ反映する前に独自の審査を行います。審査の基準は国や銀行ごとに異なり、同じ金額でも初回取引や高額決済では通常より慎重な対応が求められることがあります。

例として、以下のようなケースで審査が長引くことがあります。

・受取人が個人口座で、普段より大幅に大きな金額が送金されてきた
・企業の英語名称が商業登記の表記と微妙に異なる
・取引先が新規であり、初めての送金である
AML(マネーロンダリング防止)の対象国から送金された

受取銀行側でのコンプライアンス審査の流れ SWIFTメッセージ到着 送金データが受取銀行に到着 自動チェック(スクリーニング) 制裁リスト・名寄せなどの自動判定 問題なし 通常どおり口座へ反映 手動コンプライアンス審査 高額・初回取引・情報不一致などで 担当者の目視確認に回される 手動審査に回ると、通常より1〜3営業日ほど着金が遅れることがある

審査が手動対応に切り替わった場合、通常は1〜3営業日の追加遅延が発生します。

2-3. 国や地域の休日・時差の影響

送金銀行が土日休みであっても、受取側の国では祝日であることがあります。ヨーロッパ、アメリカ、中東、東南アジアの休暇スケジュールは日本と大きく異なるため、連休を挟むと3〜4日の遅延につながります。

例えば、
・中東諸国は金曜が休業日の場合がある
・欧州の夏季休暇は長期にわたる
・旧正月期間のアジア圏では送金が集中しやすい

時差も影響し、送金の処理が一日ずつ後ろ倒しになることもあります。

2-4. 送金手数料区分(OUR / SHA / BEN)の誤認

国際送金の手数料区分にはOUR、SHA、BENがありますが、実務ではOUR指定であっても中継銀行が独自に手数料を差し引くことがあります。結果として受取金額と送金データが一致せず、受取銀行の内部チェックで処理が止まるケースがあります。

特にヨーロッパやアジアの一部銀行ではこの傾向が強く、送金側の意図とは異なる差引が発生することがあります。

2-5. 世界情勢やシステム障害

国際情勢の変化や、SWIFTネットワークの一時的障害によって遅延することもあります。制裁対象国への送金は厳しい審査が求められるため、通常より長い時間がかかる傾向にあります。

この種の遅延は発生しても送金側には事前に伝わらないことが多く、調査依頼を行って初めて判明する場合があります。

3. 実務で起きやすいトラブル事例

3-1. 「送金して5日経っても着金しない」と取引先から連絡が来た

このケースで最も多いのは、受取銀行内部での保留です。企業名の英字表記が商業登記と一致していない場合や、住所欄の省略によって手動審査に回ることがあります。特に、ビル名や番地が抜けていると不正取引のリスクがあると判断されることがあります。

3-2. 中継銀行で止まっていると言われた

送金銀行に問い合わせた結果、「中継銀行で確認中」と案内されることがあります。中継銀行は送金者が直接問い合わせできないため、送金銀行を通して照会依頼(トレーサー)を行う必要があります。

原因としては、
・送金目的の説明不足
・高額送金である
・送金内容と取引実態の整合性が取れない
などが挙げられます。

3-3. 受取銀行側で入金が拒否され、送金が返金された

受取銀行によっては、
・法人専用口座に個人名義の送金が届いた
・受付通貨と異なる通貨で送金された
・規制上、受け取ることができない国からの送金だった
といった理由で入金を拒否することがあります。

返金には2〜3週間かかることがあり、返金額が手数料分だけ減額されることもあるため注意が必要です。

4. 遅延が起きたときに確認するべきポイント

送金が遅れていると感じたら、次の順に確認すると原因がはっきりしやすくなります。

  1. 送金銀行にMT103の発行を依頼する
     送金ルート、日付、金額、中継銀行の情報などが記載されており、どこで止まっているか推測できます。
  2. 受取銀行にMT103を提示し、着金していないか確認する
     実際は着金しているものの、内部チェックで反映されていない場合があります。
  3. 必要に応じてSWIFTトレーサーを依頼する
     中継銀行でのステータスが把握できます。
  4. 名義・住所などの誤記を再確認する
     誤記があると審査が中断され、いったん保留になることがあります。

5. 遅延を未然に防ぐための実務的対策

5-1. 送金前の正確な情報確認

受取人名・企業名・英語住所・SWIFTコード・IBAN(必要国のみ)を必ず事前確認します。企業の英文名称は登記簿の表記と一致させることが重要です。

5-2. 初回送金は少額でテストする

初めての取引先には、少額のテスト送金を行い、ルートや着金に問題がないか確認するのが安全です。

5-3. 手数料区分を明確に伝える

OUR指定であっても中継銀行が手数料を差し引くことがあるため、送金先企業へ事前に説明しておくと誤解が避けられます。

5-4. 支払い期限の数日前に余裕をもって送金する

国際送金には予期しない遅延がつきものです。納期がある支払いは、締切の数日前に送金するのが実務的には最善です。

6. まとめ

SWIFT国際送金の着金遅延は、多くの場合、中継銀行での審査、受取銀行での内部チェック、送金情報の誤記、国の休日の違いなどによって発生します。送金者側ができる対策としては、情報の正確な入力、初回のテスト送金、期限に余裕をもたせたスケジュール設定が挙げられます。

国際送金は便利ですが、複数の銀行や国を介する以上、一定の遅延リスクは避けられません。正しい対処手順を理解しておくことで、不必要な混乱を防ぎ、取引先との信頼関係を保ちながら安全に送金を行うことができます。

2025年11月28日 | 2025年11月27日