NETとGROSSの意味と違い|価格・重量・給与・会計での使用例

NETとGROSSの意味と違い|価格・重量・給与・会計での使用例

国際取引や会計の現場では、NETとGROSSという表現が頻繁に登場します。一見シンプルな単語ですが、取引の条件や費用計算に直結するため誤解が許されない重要な概念です。この記事では、両者の意味や使われ方を整理していきます。

NETとは

NETとは「純粋な値」「差し引き後の値」を意味します。
取引や契約においては、余分な要素(手数料、税金、重量の梱包分など)を除いた、本来の価値や数量を示す場合に使われます。たとえば「Net Price(ネット価格)」は割引や諸経費を控除した最終的な価格、「Net Weight(正味重量)」は包装や容器を除いた中身そのものの重量を表します。

GROSSとは

GROSSは「総計」「控除前の値」を意味します。
税金・手数料・梱包材などを含んだ合計額や総重量として用いられます。たとえば「Gross Price(グロス価格)」は商品価格に加えて税金・運送費などを含んだ金額、「Gross Weight(総重量)」は梱包材や容器も含めた重量を指します。

使用されるケース

INVOICEの重量

国際取引においては、インボイス(請求書)に「Net Weight」と「Gross Weight」が併記されるのが一般的です。

  • Net Weight:商品本体だけの重量
  • Gross Weight:商品本体+梱包資材を含めた重量

売買契約の価格

売買契約書では、しばしば「Net Price」、「Gross Price」が記載されます。

  • Net Price:割引や控除を行った後の純粋な価格
  • Gross Price:控除や割引を行う前の総額

給与(給与計算)

海外のビジネスや雇用契約では「Net Salary」、「Gross Salary」という表現があります。

  • Gross Salary:源泉徴収や社会保険料控除前の総支給額
  • Net Salary:控除後に従業員が実際に手にする手取り額

船荷証券(B/L)や物流関連

物流では、貨物の輸送書類(船荷証券や航空貨物運送状など)にも「Net Weight」「Gross Weight」が明記されます。これは、積載量や輸送コストの計算、保険の算定基準として必要だからです。

会計・金融取引

財務諸表や取引契約でも「Net」と「Gross」が使われます。

  • Gross Profit(売上総利益)
  • Net Profit(純利益)
    といった形で、利益の算出段階ごとに区別されます。

NET、GROSSが使用される取引

  • 国際貿易:インボイスや船荷証券で重量や価格を明記する際
  • 売買契約:価格条件を明確にするため
  • 労務契約:給与計算において総額と手取り額を区別するため
  • 会計・財務:損益計算書における利益区分
  • 物流取引:輸送費や保険料の算定基準

NETとGROSSの比較表

項目NET(ネット)GROSS(グロス)
意味控除後の純粋な値控除前の総計
価格Net Price=割引・手数料控除後の価格Gross Price=税金・諸経費込みの価格
重量Net Weight=中身だけの重量Gross Weight=梱包を含めた総重量
給与Net Salary=手取り額Gross Salary=総支給額
会計Net Profit=純利益Gross Profit=売上総利益
貿易書類正味重量として表示総重量として表示

NET、GROSSのまとめ

NETは「控除後」「純粋な値」を示し、GROSSは「控除前」「総計」を示します。重量・価格・給与・利益・輸送など、さまざまな分野で登場し、誤解が生じやすいため、契約書や取引文書では必ず明確に区別して記載することが大切です。

2025年8月21日 | 2025年9月17日