HSコード第11部とは|繊維およびその製品の分類体系
HSコード第11部は、繊維原料から糸、織物、衣類、その他の繊維製品までを網羅する部です。
素材・構造・加工段階・用途が複雑に絡み合うため、HS分類の中でも特に誤分類が多い分野とされています。
本部では、原料段階から最終製品までを工程順に分類しており、実務では「どこまで加工されているか」「衣類として完成しているか」が判断の要となります。
第11部に含まれる類一覧(第50類〜第63類)
第11部は、以下の14類で構成されています。
原料・糸・織物関連(第50類〜第60類)
| 類 | 内容概要 |
|---|---|
| 第50類 | 絹 |
| 第51類 | 羊毛、動物の粗毛、馬毛 |
| 第52類 | 綿 |
| 第53類 | その他の植物性繊維 |
| 第54類 | 人造フィラメント繊維 |
| 第55類 | 人造ステープル繊維 |
| 第56類 | フェルト、不織布、紡績くず |
| 第57類 | カーペット、床用繊維製品 |
| 第58類 | 特殊織物、レース、刺しゅう |
| 第59類 | 被覆・含浸繊維製品 |
| 第60類 | メリヤス編物、かぎ針編物 |
製品(衣類・その他)(第61類〜第63類)
| 類 | 内容概要 |
|---|---|
| 第61類 | 衣類および衣類附属品(メリヤス編) |
| 第62類 | 衣類および衣類附属品(織物) |
| 第63類 | その他の繊維製品 |
各類の代表的な6桁コード例
第50類(絹)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 5001.00 | 生糸 |
| 5007.20 | 絹織物 |
第51類(羊毛・動物毛)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 5101.11 | 羊毛(未加工) |
| 5111.19 | 羊毛織物 |
第52類(綿)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 5201.00 | 綿(未加工) |
| 5205.12 | 綿糸 |
| 5208.52 | 綿織物 |
第53類(植物性繊維)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 5301.10 | 亜麻 |
| 5309.21 | その他植物性繊維織物 |
第54類(人造フィラメント)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 5402.33 | ポリエステルフィラメント糸 |
| 5407.52 | 合成繊維フィラメント織物 |
第55類(人造ステープル)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 5503.20 | ポリエステルステープル |
| 5513.11 | 合成短繊維織物 |
第56類(不織布等)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 5603.12 | 不織布 |
| 5607.50 | ロープ、綱 |
第57類(カーペット)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 5702.31 | 手織りカーペット |
| 5703.30 | タフテッドカーペット |
第58類(特殊織物)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 5801.37 | パイル織物 |
| 5810.92 | 刺しゅう布 |
第59類(被覆繊維)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 5903.10 | プラスチック被覆織物 |
| 5907.00 | 含浸繊維製品 |
第60類(編物)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 6004.10 | メリヤス編物 |
| 6006.90 | その他編物 |
第61類(衣類・編物)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 6103.42 | 男性用ズボン(編物) |
| 6109.10 | Tシャツ |
第62類(衣類・織物)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 6203.42 | 男性用ズボン(織物) |
| 6205.20 | 綿製シャツ |
第63類(その他繊維製品)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 6302.31 | 綿製寝具 |
| 6307.90 | その他繊維製品 |
編物か、織物か|分類判断フロー
以下は、第61類と第62類を判断するための基本フローです。
第61類/第62類 よくある誤分類Q&A
Q1. Tシャツはすべて第61類ですか
いいえ。基本的には編物であるため第61類ですが、
織物素材の場合は第62類に分類されます。
Q2. ストレッチ性があれば編物ですか
必ずしもそうではありません。
織物でもストレッチ加工が施されている場合があります。
構造の確認が必要です。
Q3. 見た目で判断してよいですか
見た目のみでの判断は危険です。
生地構造、製造工程、仕様書の確認が推奨されます。
Q4. 第63類に入れておけば無難ですか
無難ではありません。
第63類は限定列挙型であり、該当しない衣類や織物は含まれません。
実務上の注意点と第11部の位置づけ
第11部は、関税率差が大きく、原産地規則や数量制限の影響も受けやすい分野です。
素材表示とHSコードの整合性が取れていないケースも多く、
輸入申告時の差し戻し要因になりやすい部といえます。
まとめ

HSコード第11部は、「素材」「構造」「加工段階」「用途」を同時に判断する必要がある、実務難易度の高い分類領域です。特に第61類と第62類の線引きは、繊維製品取引における最重要ポイントの一つといえます。
参考外部リンク(HSコード第11部)
・税関|実行関税率表(品目分類)
https://www.customs.go.jp/tariff/index.htm
日本の輸入申告実務で必須となる公式資料です。第50類〜第63類の関税率、品目分類、統計品目番号を確認できます。
・税関|品目分類の考え方・繊維製品
https://www.customs.go.jp/tariff/kaisetsu/index.htm
繊維製品の分類判断に関する基本的な考え方が整理されています。編物・織物の判断や加工段階の考え方の裏付けとして有用です。
・世界税関機構(WCO)|Harmonized System Explanatory Notes
https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/hs-nomenclature-2022-edition.aspx
HSコードの国際的な公式解説です。第11部の類・項の解釈根拠を確認する際の一次資料となります。
・経済産業省|繊維製品の原産地規則(EPA・FTA)
https://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/index.html
衣類・繊維製品は原産地規則が厳格になりやすい分野です。HSコードと原産地判定をセットで確認する際に役立ちます。
・日本繊維輸入組合|繊維製品の輸入実務情報
https://www.jtia.or.jp/
アパレル・繊維製品の輸入に関する実務情報、注意喚起、制度解説が掲載されています。
・JETRO|繊維・アパレル分野の貿易制度情報
https://www.jetro.go.jp/world/
各国の関税制度、輸入規制、アパレル関連の貿易情報を国・地域別に確認できます。