① 第10部の概要
HSコード第10部は、紙および紙製品を対象とする部です。
原料となるパルプ類から、紙・板紙、さらに印刷物までを含む点が特徴であり、製造工程や用途の違いが分類判断に大きく影響します。
紙製品は外観が似通っているものが多く、加工の有無や使用目的を正しく把握しないと、誤分類につながりやすい分野です。そのため、第10部では製品の性格を段階的に見極める視点が重要となります。
② 第10部の構成(類一覧)
第10部は、以下の3つの類で構成されています。
| 類番号 | 類の概要 |
|---|---|
| 第47類 | パルプ、古紙 |
| 第48類 | 紙、板紙および紙製品 |
| 第49類 | 印刷した書籍、新聞、印刷物 |
③ 各類の概要と特徴
第47類:パルプ、古紙
第47類は、紙に加工される前段階の原料を対象とします。
木材パルプや再生用の古紙などが該当し、すでに紙として成形されているものは含まれません。
代表例としては、化学木材パルプや回収古紙などがあります。
第48類:紙、板紙および紙製品
第48類は第10部の中心となる類で、紙・板紙およびそれらから作られた製品を幅広く含みます。
加工の程度や完成品か否か、用途の違いによって細かく分類されています。
実務上、最も分類判断に迷いやすい類でもあります。
第49類:印刷物
第49類は、印刷された書籍、新聞、パンフレット、広告物などが対象です。
紙そのものではなく、情報伝達を目的とした印刷物である点が特徴です。
印刷が主たる性格かどうかが、第48類との重要な分岐点になります。
④ 第48類の詳細コード表(6桁)
原紙・基本紙(48.01〜48.05)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 4801.00 | 新聞用紙 |
| 4802.10 | 印刷用・筆記用紙 |
| 4802.20 | セルロース繊維紙 |
| 4803.00 | トイレットペーパー原紙 |
| 4804.11 | クラフト紙(未漂白) |
| 4804.19 | その他のクラフト紙 |
加工・特殊紙(48.06〜48.10)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 4806.10 | ベジタブルパーチメント紙 |
| 4807.00 | 複層紙・積層紙 |
| 4808.10 | 波形紙、段ボール用紙 |
| 4809.20 | 複写用紙 |
| 4810.13 | 塗工紙 |
被覆・処理紙(48.11〜48.14)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 4811.10 | 粘着性紙 |
| 4811.51 | プラスチック被覆紙 |
| 4812.00 | フィルター用紙 |
| 4813.10 | シガレットペーパー |
| 4814.20 | 壁紙 |
完成品(48.18〜48.23)
| HSコード | 内容 |
|---|---|
| 4818.10 | トイレットペーパー |
| 4818.20 | ティッシュペーパー |
| 4819.10 | 段ボール箱 |
| 4820.10 | ノート、帳簿 |
| 4821.10 | 紙製ラベル |
| 4823.90 | その他の紙製品 |
⑤ 分類の考え方(第48類)
第48類の分類判断では、以下の視点が重要です。
・原紙か完成品か
・加工の有無とその内容
・用途が確定しているか
・紙が主たる性格を持つか
これらを総合的に確認することで、適切なコード選定につながります。
⑥ よくある誤分類Q&A
印刷された紙はすべて第49類になるのですか
印刷が付随的で、紙そのものの用途が主である場合は第48類に分類されます。
段ボール原紙と段ボール箱の違いは何ですか
原紙は48.08などに分類され、組み立てられた箱は48.19に分類されます。
プラスチック貼りの紙は第39類になりますか
紙が主たる性格を持つ場合は、第48類に分類されます。
トイレットペーパー原紙と製品の違いは
原紙は48.03、裁断・成形された製品は48.18に分類されます。
用途が不明な場合はどう判断しますか
製品仕様書や取引条件を確認し、一般的な用途に基づいて判断します。
⑦ 実務上の注意点
紙製品は見た目が似ていても、
加工度、用途、完成形かどうかで分類が変わります。
特に第48類と第49類の境界は、輸出入実務でトラブルになりやすいため、慎重な確認が必要です。
⑧ まとめ

HSコード第10部は、原料から印刷物までを網羅する幅広い分類体系です。
第47類から第49類までの役割を理解し、特に第48類では加工度と用途を軸に判断することが、正確な分類につながります。
参考となる外部リンク(第10部・第47〜49類)
・税関(https://www.customs.go.jp/)
日本の関税制度・HSコード解説の公式サイトです。輸入統計品目表や分類に関する基本資料が公開されており、第48類・第49類の国内実務確認に必須です。
・日本関税協会(https://www.kanzei.or.jp/)
HS解説書や関税率表の出版元です。紙製品・印刷物の詳細な分類解説を確認する際の実務向け資料が充実しています。
・World Customs Organization(https://www.wcoomd.org/)
HS条約を管理する国際機関です。HS Explanatory Notes(HS品目表解説)の基礎情報や改正動向を確認できます。
・European Commission TAXUD(https://taxation-customs.ec.europa.eu/)
EUの関税・品目分類に関する公式情報です。第48類と第49類の境界判断など、国際比較の参考になります。
・United Nations Statistics Division(https://unstats.un.org/unsd/trade/)
HSを基礎とした国際貿易統計を確認できます。紙・板紙・印刷物の国際的な取引動向把握に有用です。
実務利用時の補足メモ
・最終的なHSコード判断は、通関地税関の解釈が優先されます
・迷う場合は、日本税関の事前教示制度の活用が有効です
・海外取引では、相手国税関の解釈差にも注意が必要です