HSコード第7部は、プラスチックおよびゴムと、その製品を体系的に整理した部です。
原料段階の樹脂・ゴムから、半製品、最終製品までを幅広くカバーしており、工業製品・日用品・医療用途など、国際取引で非常に使用頻度が高い部といえます。
この部の大きな特徴は、
・素材が「プラスチック」か「ゴム」か
・一次原料か、加工品か
・形状が「原料」「板・シート」「成形品」のどこに該当するか
といった多角的な視点で分類が行われる点にあります。
分類判断を誤ると、関税率の違いや輸入規制、統計誤差につながりやすいため、実務上の注意が特に重要な部でもあります。
第7部に含まれる類一覧(第39類〜第40類)
第7部は、次の2つの類で構成されています。
| 類 | 類名 |
|---|---|
| 第39類 | プラスチックおよびその製品 |
| 第40類 | ゴムおよびその製品 |
構成自体はシンプルですが、各類の内部構造は非常に細かく、6桁レベルでの判断には素材知識が強く求められます。
第39類|プラスチックおよびその製品の分類構造
第39類は、プラスチックに関する分類の中核を担う類です。
分類は大きく次のような流れで構成されています。
第39類の主な分類軸
- 一次形状のプラスチック(原料段階)
- 板・シート・フィルムなどの半製品
- 容器・家庭用品・建材などの成形品
第39類 前半:一次形状のプラスチック(39.01〜39.14)
この範囲は、樹脂メーカー・原料取引で頻出します。
| 6桁コード | 内容 | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 3901.10 | ポリエチレン(比重0.94未満) | HDPEかLDPEかで下位分岐 |
| 3902.10 | ポリプロピレン | 繊維用か成形用かは関係しない |
| 3903.20 | スチレン‐アクリロニトリル共重合体 | 商品名に惑わされやすい |
| 3904.10 | ポリ塩化ビニル(非可塑) | 可塑剤の有無で細分 |
| 3907.40 | ポリカーボネート | 光学用途でも材質優先 |
一次形状とは、ペレット・粉末・液状など、まだ「製品の形」を持たない状態を指します。
第39類 後半:半製品・成形品(39.15〜39.26)
こちらは商社・輸出入実務で最も誤分類が起きやすい領域です。
| 6桁コード | 内容 | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 3920.10 | 非補強のプラスチック製フィルム | 補強材の有無が最重要 |
| 3921.90 | その他のプラスチック製板等 | 他項に該当しない場合のみ |
| 3923.10 | プラスチック製の箱・ケース | 収納用か包装用かを区別 |
| 3924.10 | 食卓用品・台所用品 | 業務用でも家庭用品に該当 |
| 3926.90 | その他のプラスチック製品 | 最終手段として使用 |
39.26(その他)は「分類不能箱」ではありません。
他項に該当しないことを説明できない場合、実務上は危険な選択になります。
実務で多い注意点(第39類)
・化学的名称と商品名が一致しないケースが多い
・用途ではなく「材質と形状」が優先される
・同じ容器でも素材が混合していると別類になる可能性がある
特に39.26(その他のプラスチック製品)は誤分類の温床になりやすく、安易な選択は避けるべき項目です。
第40類|ゴムおよびその製品の分類構造
第40類は、天然ゴム・合成ゴムおよびその製品を対象とします。
タイヤや工業部品など、輸送・製造業で重要な製品群が含まれます。
第40類の主な分類軸
- 天然ゴムか合成ゴムか
- 未加硫か、加硫済みか
- 原料・半製品・最終製品のどこか
第40類 前半:ゴム原料・半製品(40.01〜40.10)
| 6桁コード | 内容 | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 4001.10 | 天然ゴム(ラテックス) | 液状か固形か |
| 4002.20 | 合成ゴム(SBR) | 化学組成が判断基準 |
| 4008.11 | 加硫ゴム製の板・シート | 非多孔か多孔かで分岐 |
第40類 後半:完成品(40.11〜40.17)
| 6桁コード | 内容 | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 4011.10 | 乗用車用タイヤ | 用途別に細分 |
| 4012.20 | 再生タイヤ | 新品との区別が必須 |
| 4016.99 | その他のゴム製品 | 金属付属時は要注意 |
タイヤ類は用途・サイズ・構造で関税率が変わるため、商品説明の精度が重要です。
実務で多い注意点(第40類)
・加硫処理の有無が分類を左右する
・タイヤ関連は用途別に細かく分かれている
・金属や繊維との複合製品は他部に移る可能性がある
分類の考え方|第7部で特に重要な判断基準
第7部の分類判断では、次の順序で確認することが実務的です。
- 主たる素材はプラスチックかゴムか
- 化学的な一次原料か、成形後の製品か
- 製品の形状は「材料」「半製品」「完成品」のどこか
- 他素材との複合かどうか
特に「用途が明確でも、素材が優先される」というHSの原則を意識することが重要です。
実務上の注意点|誤分類が起きやすいケース
・プラスチックとゴムの区別を商品名だけで判断してしまう
・容器類を用途ベースで分類してしまう
・複合素材製品で主素材の判断を誤る
輸入申告時には、製品仕様書やMSDS(安全データシート)を必ず確認し、材質比率まで把握することが望まれます。
誤分類Q&A|実務でよくある判断ミス
Q1. シリコン製キッチン用品はゴム製品(第40類)?
A. 多くの場合、第39類に分類されます。
シリコンは化学的にはプラスチックに分類され、ゴムとは扱われません。
「弾力がある=ゴム」という感覚的判断は誤りです。
Q2. プラスチック製のケース付き金属工具は第39類?
A. 原則として第39類にはなりません。
複合製品の場合、主要な性質を与える素材が判断基準となり、工具が主であれば金属製品の部に分類されます。
Q3. ゴム製パッキンは40.16で問題ない?
A. 条件付きで正解です。
ただし、他の機械部品としての性格が強い場合は、第84部や第85部へ移行する可能性があります。
Q4. プラスチック製包装材と容器の違いは?
A. 内容物の運搬・保存を主目的とする場合は39.23、
使用後も繰り返し使用される容器は別項になる可能性があります。
第7部を扱う際の実務チェックリスト
・素材を商品名ではなく化学的性質で確認しているか
・一次原料か、成形後かを明確に区別しているか
・複合素材の場合、主たる性質を説明できるか
・「その他」に逃げていないか
これらを満たすことで、第7部の分類精度は大きく向上します。
まとめ|第7部は「素材理解」がすべての基礎

HSコード第7部は、知識の浅さがそのまま誤分類につながりやすい部です。
一方で、素材・加工段階・形状という基本軸を押さえれば、判断は体系的に行えます。
第39類と第40類の境界を正確に理解することは、工業製品取引全体の品質向上にも直結します。
参考外部リンク
・World Customs Organization
https://www.wcoomd.org
・税関 日本関税率表・HS解説
https://www.customs.go.jp