HSコード第5部|鉱物性生産品(第25類〜第27類)の分類と実務上の注意点

HSコード第5部|鉱物性生産品(第25類〜第27類)の分類と実務上の注意点

第5部の概要|鉱物性生産品とは何を指すのか

HSコード第5部は、自然界から採取される鉱物資源および、それを最小限加工した製品を対象とする部です。食品や完成品と異なり、「用途」よりも「素材の状態」「加工度合い」が重視される点が大きな特徴です。

特に第5部では、次のような判断が常に求められます。

・加工が物理的処理にとどまっているか
・化学的性質が変化していないか
・金属として完成していないか
・燃料としての性格を持つか

これらを一つずつ整理していくことが、正確な分類への近道になります。

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第5部に含まれる類一覧(第25類〜第27類)

第25類|塩、硫黄、土石類、石灰およびセメント

第25類は、鉱物性生産品の中でも、建築・土木・工業用途で広く使用される素材を扱います。

主な分類対象

・天然塩、岩塩
・硫黄
・石灰石、石膏
・砂、砂利、花こう岩などの石材
・セメント(未加工または簡易加工)

6桁コード例(第25類)

HSコード品名例補足
25.01.00塩(塩化ナトリウム)食用・工業用を含む
25.03.00硫黄天然硫黄
25.05.10天然砂着色・未着色
25.08.10陶磁器用粘土未焼成
25.23.10ポルトランドセメント粉末状

分類上の注意点

・化学的処理が加わると第6部に移行する可能性がある
・用途(建築用など)は原則として判断基準にならない

第26類|鉱石、スラグおよび灰

第26類は、金属を取り出す前段階の鉱物や、製錬工程で生じる副産物を対象とします。

主な分類対象

・鉄鉱石、銅鉱石、アルミニウム鉱石
・精鉱
・スラグ
・工業由来の灰

6桁コード例(第26類)

HSコード品名例補足
26.01.11鉄鉱石(非焼結)未加工
26.03.00銅鉱石および精鉱金属未抽出
26.06.00アルミニウム鉱石ボーキサイト等
26.19.00スラグ、灰製錬副産物

分類上の注意点

・金属を取り出していないことが前提
・金属含有率が高くても、完成金属ではない点が重要

第27類|鉱物性燃料、鉱物油およびその蒸留物

第27類は、エネルギー資源を扱う極めて重要な類であり、税率・規制の影響が大きい分野です。

主な分類対象

・石炭、褐炭、コークス
・原油
・天然ガス
・ガソリン、軽油、重油
・ビチューメン質物質

6桁コード例(第27類)

HSコード品名例補足
27.01.12石炭非粘結炭
27.09.00原油未精製
27.10.12軽油蒸留物
27.11.11天然ガス気体状
27.13.90ビチューメンその他

分類上の注意点

・精製度合いが分類を左右する
・混合物や添加物の有無を必ず確認する

第5部における分類の基本軸

第5部の分類判断は、次の4点を組み合わせて行います。

  1. 天然物か、化学処理済みか
  2. 物理加工か、化学加工か
  3. 原料用途か、燃料用途か
  4. 金属抽出の前か後か

これらの軸を意識せずに分類すると、誤分類が発生しやすくなります。

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実務でよくある誤分類Q&A

Q1. 精製された鉱物油でも第27類に入りますか

精製の程度によります。化学的性質が大きく変化している場合は、第6部に該当する可能性があります。

Q2. 食用塩は食品なので第4部ですか

いいえ。塩は用途にかかわらず第25類に分類されます。

Q3. 金属含有率が高い鉱石は金属製品ですか

金属が抽出されていない限り、第26類に分類されます。

Q4. 再利用目的のスラグは分類が変わりますか

再利用の有無ではなく、物理的・化学的状態が判断基準になります。

第5部と他部との境界線整理

・第4部との境界:塩など用途では判断しない
・第6部との境界:化学処理の有無が決定的
・第15部との境界:金属として完成しているかどうか

第5部(鉱物性生産品)の規制面で必ず確認しておくポイント

HSコード第5部に該当する鉱物性生産品は、品目そのものがシンプルであっても、輸出入時には各種規制の対象となるケースが少なくありません。
分類を行う際は、関税率だけでなく、以下の規制項目を必ず併せて確認する必要があります。

1. エネルギー資源に関する輸出入規制

第27類に含まれる原油、石炭、天然ガス、石油製品などは、国のエネルギー政策や安全保障と密接に関係しています。

確認すべきポイント
・輸出入の許可・承認が必要か
・数量制限や用途制限が設けられていないか
・特定国向け取引に制限がないか

とくに原油や石油製品は、時期や国際情勢によって規制内容が変更されることがあるため、最新情報の確認が不可欠です。

2. 環境規制・廃棄物規制との関係

第25類・第26類に含まれる鉱石、スラグ、灰などは、環境関連法令の対象となる場合があります。

注意すべき点
・廃棄物に該当しないか
・再資源化目的であっても規制対象にならないか
・有害物質を含有していないか

特にスラグや灰は、取引形態によっては「原料」ではなく「廃棄物」と判断される可能性があり、輸出入の可否が大きく変わることがあります。

3. 危険物・安全規制の対象確認

鉱物性生産品の中には、輸送時に危険物として扱われるものがあります。

確認が必要な例
・可燃性の鉱物油
・粉じん爆発の可能性がある鉱物粉末
・高温・高圧で管理されるガス類

この場合、HSコードとは別に、危険物規制、輸送規則、保管基準などの確認が必要になります。

4. 輸出管理・制裁関連規制

鉱物資源は軍事・産業用途に転用される可能性があるため、輸出管理規制の対象となることがあります。

チェックポイント
・輸出管理リストへの該当有無
・最終用途・最終需要者の確認
・制裁対象国・地域との取引に該当しないか

商品自体に問題がなくても、取引相手や用途によって規制対象となるケースがある点に注意が必要です。

5. 原産地・採取地に関する規制

鉱物性生産品は、採取地や原産国が重要な判断要素になることがあります。

確認すべき事項
・原産地証明の要否
・特定地域産資源に対する規制
・紛争鉱物に該当しないか

原産地の確認が不十分な場合、通関時の追加確認や取引停止につながることもあります。

まとめ|第5部を正しく理解するために

第5部は一見シンプルに見えますが、加工度合いと工程段階の見極めが非常に重要です。
素材の状態を正確に把握し、処理内容を丁寧に確認することで、実務上のトラブルは大きく減らせます。

実務上のポイントまとめ

HSコード第5部の製品では、次の考え方が重要です。

・分類と規制は必ずセットで確認する
・用途や取引形態によって規制判断が変わる
・最新の法令・通達を前提に判断する

HSコード第5部は、塩・鉱石・石炭・原油・天然ガスといった、国際取引において基礎的かつ影響力の大きい鉱物性生産品を扱う部です。一見すると素材が単純に見える反面、加工度合いや工程段階の違いによって分類結果が大きく変わるため、慎重な判断が求められます。

特に重要なのは、用途ではなく「物理的・化学的な状態」を軸に分類するという第5部特有の考え方です。未加工か、簡易加工か、化学処理が施されているか、金属として完成しているかといった点を一つずつ整理することで、誤分類の多くは防ぐことができます。

また、第27類を中心に、エネルギー政策、安全保障、環境規制、危険物規制など、HSコード分類と並行して確認すべき法令や制度が多い点も、第5部の大きな特徴です。HSコードが確定した後に「どの規制が紐づくか」を確認する姿勢が、実務上のリスク管理につながります。

第5部を正しく理解することは、単なるコード付番にとどまらず、通関・契約・物流・コンプライアンス全体の精度を高めることにも直結します。

参考となる外部リンク一覧|HSコード第5部(鉱物性生産品)

HSコード・品目分類の公式資料

・世界税関機構(WCO)HS解説書(概要)
https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/hs-nomenclature-2022-edition.aspx
→ HSコードの国際的な基本構造や分類思想を確認する際の基礎資料です。

・税関 日本関税協会「実行関税率表」
https://www.customs.go.jp/tariff/
→ 日本での正式なHSコード、税率、注釈を確認する際の一次情報です。

・税関 タリフ検索システム
https://www.customs.go.jp/tariff/index.htm
→ 6桁コードの詳細や備考を調べる際に実務で頻繁に使用されます。

鉱物性生産品・エネルギー関連の規制情報

・経済産業省 資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/
→ 原油、石炭、天然ガスなど第27類に関連する政策・規制の確認に有用です。

・経済産業省 貿易管理(安全保障貿易管理)
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/
→ 鉱物資源が輸出管理規制に該当するかを確認する際に参照します。

環境規制・廃棄物関連

・環境省 廃棄物規制・資源循環
https://www.env.go.jp/recycle/
→ スラグ、灰、再資源化鉱物が廃棄物に該当するかの判断材料になります。

・バーゼル条約(環境省ページ)
https://www.env.go.jp/chemi/tmms/basel.html
→ 有害廃棄物や越境移動規制が関係する場合の確認先です。

危険物・輸送関連規制

・国土交通省 危険物輸送に関する情報
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk7_000003.html
→ 可燃性鉱物油やガス類の輸送規制を確認する際に参照します。

・IMO(国際海事機関)
https://www.imo.org/
→ 海上輸送時の危険物規則(IMDGコード)の背景情報として有用です。

原産地・紛争鉱物関連

・経済産業省 原産地規則
https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/
→ 原産地証明や原産国判断の基本情報です。

・OECD 紛争鉱物ガイダンス
https://www.oecd.org/daf/inv/mne/mining.htm
→ 特定鉱物の原産地リスク確認の参考資料として利用されます。

外部リンク利用時の実務上の注意

外部リンクの情報は、制度改正や国際情勢により変更されることがあります。
実務では、必ず最新の告示・通達・公式資料を確認したうえで判断することが重要です。

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2025年12月23日 | 2026年1月13日