1.2024〜2025年、デジタル銀行が注目される背景
近年、海外送金や海外決済の分野では、従来の銀行よりもスピードと透明性を重視したサービスが求められています。2024年から2025年にかけて特に利用者が増えているのが、Revolut、Wise、N26などのデジタル銀行です。いずれもスマートフォン完結で使える利便性を持ち、多通貨に対応した口座や海外送金機能を標準で備えている点が評価されています。
背景として、海外で働く日本人の増加、フリーランスの越境案件の増加、暗号資産や海外投資の裾野拡大が挙げられます。さらに、従来の銀行が抱える手数料の不透明さや国際送金の遅延などに不満を持つ利用者が増えたことも影響しています。こうした状況のなかで、コストの透明性やアプリの分かりやすさを前面に出しているデジタル銀行は大きな支持を得ています。
2024年後半からは、ヨーロッパを中心に規制整備が進み、デジタル銀行がより安全に運営される体制が整いました。この流れは2025年にも継続しており、新規ユーザーの増加を後押ししています。
2.Revolut・Wise・N26の基本特徴
ここでは、三つの主要サービスの特徴を整理します。それぞれ得意分野が異なるため、利用目的に応じて選ぶことが大切です。
Revolut
Revolutは、イギリス発のデジタル銀行で、マルチカレンシーのウォレット機能が充実しています。100通貨以上の保有と両替が可能で、旅行や海外出張に強く、多機能アプリが魅力です。さらに、地域によっては暗号資産取引や株式投資がアプリ内で行えるため、金融サービスを一つにまとめたいユーザーに向いています。為替レートも市場レートに近い価格が採用されることが多く、明確な手数料設定が好評です。
ただし、無料プランでは両替に上限があり、混雑時間帯には追加手数料がかかることがあります。プランの違いによる手数料の差があるため、使い方に合わせたプラン選択が必要です。
Wise
Wise(旧TransferWise)は、海外送金の低コスト化と透明性を最重要視しているサービスです。最大の特徴は、為替のミッドマーケットレート(実勢レート)がそのまま反映される点で、為替マージンがほぼ発生しません。従来の銀行では、レートに数パーセントの上乗せがされるケースが一般的ですが、Wiseではそれが明確に排除されています。
送金のスピードも速く、主要通貨への送金では数分〜数時間以内の到着が珍しくありません。海外クライアントへ報酬を受け取るフリーランスや、海外在住家族への仕送りなど、実務利用にも向いています。法人向けアカウントが強いため、海外企業との取引が多い小規模事業者にも役立ちます。
N26
N26は、ドイツを拠点とする欧州向けのデジタル銀行です。IBAN口座が付与され、ユーロ圏での利用に強く、日常のカード決済やオンライン決済が非常にスムーズです。欧州居住者の間では、シンプルで分かりやすい料金体系と、使いやすいアプリが高く評価されています。
ただし、N26は地域制限が多く、日本から口座を開設することはできません。EU圏に居住している場合には最適な選択肢となりますが、居住証明が必要な点に注意が必要です。
3.国際決済の比較で重視されるポイント
国際送金サービスを選ぶ際には、以下の項目が特に重要です。
1.為替レート
両替レートが実勢レートに近いほど、総コストが低くなります。
・Revolut:市場レートにかなり近い
・Wise:実勢レートそのまま
・N26:ユーロ中心でレートは安定
2.手数料
固定の送金手数料と、為替マージンの両方を合計して比較する必要があります。Wiseはこの点で透明性が高いので比較がしやすい特徴があります。
3.送金スピード
Wiseが圧倒的に速く、RevolutやN26はやや遅くなります。ただし、送金方法(SWIFT経由かローカル決済か)によっても変動します。
4.対応通貨・エリア
RevolutとWiseは世界的に対応通貨が多く、N26は欧州圏に特化しています。
5.アプリの使いやすさ
デジタル銀行の価値はアプリで決まるとも言われます。利用者のレビューではRevolutが最も多機能、Wiseが最もシンプルという評価が多いです。
4.三つのサービスの比較表(詳細版)
| 項目 | Revolut | Wise | N26 |
|---|---|---|---|
| 為替レート | 市場レートに近いがプランで変動 | 実勢レートそのまま | ユーロ圏では安定 |
| 手数料の透明性 | 中程度 | 非常に高い | 通常レベル |
| 送金スピード | 1〜3日 | 数分〜数時間 | 1〜2日 |
| 対応通貨数 | 非常に多い | 多い | 限定的 |
| カード決済 | アプリと連動して強力 | 強い | EU圏で最適 |
| 投資機能 | 一部地域で利用可 | 無し | 無し |
| 日本から利用 | 一部制限あり | 利用可 | 不可 |
5.ケース別のおすすめ選択
デジタル銀行は目的ごとに得意分野が異なるので、自分がどのような使い方をしたいかによって選択は大きく変わります。この章では、利用者のタイプや目的別に、向いているサービスを分かりやすく整理しました。普段の支払い方法、送金の頻度、対応通貨、海外利用の有無などの基準に照らし合わせながら、自分のケースに合うサービスを探してみてください。
5-1.海外フリーランス・個人事業主・輸出入取引が多い人
結論:Wiseが最適
海外クライアントや海外サービスとのやりとりが多い場合は、Wiseを選ぶメリットが最も大きいです。Wiseは実勢レートに基づいて両替が行われるため、為替コストが非常に低いという特徴があります。従来の銀行では数パーセントの上乗せがあることも珍しくありませんが、Wiseでは固定手数料と少額の変動手数料のみで完結するため、送金コストが読みやすく、経費管理にも適しています。
また、送金の着金スピードが速いので、クライアントへの支払い期日が厳しい仕事でも安心して利用できます。法人アカウントを開設すれば、同じシステムで複数通貨を扱えるため、越境ECや海外との継続取引を行う事業者にとって強力な選択肢になります。
5-2.海外旅行が多い、複数通貨を一つのアプリで管理したい人
結論:Revolutがおすすめ
海外渡航の頻度が高い場合や、複数通貨をまとめて保持したい場合はRevolutが便利です。Revolutは100通貨以上に対応しており、旅行先で両替せずにそのまま現地通貨で決済できるため、両替所を探す必要がありません。アプリ内でレートを確認しながら必要な通貨だけ両替できるので、無駄な現金を持たずに旅の準備ができます。
また、仮想カードを複数発行できるため、セキュリティ面でも安心です。オンライン決済専用の一時的なカード番号を使えば、不正利用対策にもなります。海外ATMからの現地通貨引き出しも対応しており、旅行や短期出張が多い人には使い勝手が良いサービスです。
Revolutは両替のタイミングに注意が必要ですが、平日に利用すればレートも比較的有利です。
5-3.ヨーロッパに住んでいる、またはEU圏で生活基盤がある人
結論:N26が最適
N26は欧州の生活者にとって非常に使いやすい構造になっています。IBAN口座が標準付与されるため、給与受取りや家賃支払い、公共料金支払いなど、日常のさまざまな場面に対応できます。日本の銀行でいう普通口座と同じ扱いで、EU圏では銀行としての利便性がとても高いです。
さらに、カード決済はマークアップなしで行える方針のため、他国へ移動しても余計な決済手数料がかかりません。欧州内を頻繁に移動する人や、留学・ワーホリ・移住などのケースでは、生活口座として最もスムーズに使えるのがN26です。
ただし、日本居住者は口座開設できないため、EU圏で住所登録を済ませてから利用する必要があります。
5-4.日本から海外企業のサービスをよく利用している人
例:海外のソフトウェア、クラウド、広告、海外マーケットプレイスなど
結論:Wiseが扱いやすい
海外サービスを頻繁に決済する人は、Wiseで国際送金を行うとコストが安く、支払いトラブルも少なく済みます。海外サービスはドル決済が多いため、日本の銀行経由の送金手数料は割高になりがちですが、Wiseなら少額の固定手数料で利用できます。
また、相手側にWiseの受取口座を持ってもらうと、国内送金と同じ扱いで到着が早い場合もあります。広告代理店への支払い、海外取引所への入金、クラウドサービスの利用料などに向いています。
5-5.クレジットカード利用が中心で、海外旅行も時々行く人
結論:Revolutがバランス良い
カード決済中心の人はRevolutの利便性が光ります。仮想カード・物理カードの使い分けができ、海外決済時のレートも比較的良好です。カード管理や月額支出の可視化機能もあり、日本の家計簿アプリよりも細かく分類できることがあります。
また、カードのロック解除がアプリで1秒ですむため、紛失時のリスクも抑えられます。カード決済をスマホで完結させたい人や、オンラインショッピングのセキュリティを重視する人には向いています。
5-6.海外移住予定だが、まだ日本に住んでいる段階の人
結論:Wiseが移行の準備に適している
海外移住前に日本で使えるデジタル銀行を確保しておきたい場合、Wiseが最も実用的です。理由は以下です。
・日本居住者でも普通に口座開設できる
・移住後も同じアカウントを継続利用できる
・複数通貨を保持できるため、移住直後の生活費準備に役立つ
・現地銀行が整うまでのつなぎとして使いやすい
Revolutは国によって提供内容が変わるため、移住先地域によってはスムーズでない場合があります。N26は居住国選択が必要なため、日本からは準備ができません。
5-7.副業・越境EC・海外プライベート送金がたまにある人
結論:Wiseがコスト面で無難。Revolutは頻度次第
越境ECや海外の知人への送金が「たまに」ある程度なら、Wiseが最も事故が少なく済みます。何度も送金しない場合こそ、低コストと透明性が大切になるためです。
一方、複数通貨の管理をしたい、旅行でも使いたい、カード機能をまとめたいといったニーズがある場合はRevolutが向くことがあります。ただし、週末レートや両替枠の制約を理解しておかないと、思わぬコストになる可能性があります。
5-8.結論:どんな人にどのサービスが向くのか(ひと目でわかる要約)
| 利用者タイプ | 最適サービス |
|---|---|
| 海外フリーランス・越境EC | Wise |
| 海外旅行頻度が高い・多通貨管理 | Revolut |
| 欧州生活・EU圏の居住者 | N26 |
| 海外サービスの支払いが多い | Wise |
| カード決済中心で安全性重視 | Revolut |
| 海外移住予定だが現在は日本在住 | Wise |
| たまの海外送金・副業 | Wise(あるいはRevolut) |
6.日本から利用する際の注意点
日本からデジタル銀行を利用する場合は、各サービスごとに利用可能な機能や規制の違いがあります。とくに本人確認の基準、認証方法、提供エリアの制限などは地域ごとに異なるため、口座開設前に理解しておきたいポイントが多いです。ここでは、日本在住者がRevolut、Wise、N26を利用するときに注意する点を整理して説明します。
6-1.Wiseを日本から利用する際の注意点
Wiseは日本居住者が問題なく利用できるサービスですが、いくつか実務的に知っておくべき点があります。
● 日本円の入金方法に制限がある
日本円をWiseに入金する場合、銀行振込が中心になります。クレジットカードの入金は手数料が高くなる傾向があり、VisaやMastercardによって制限がかかるケースもあります。コストを抑えるなら、日本の銀行口座からWise指定口座への振込が最も適しています。
● 本人確認が厳格
Wiseは不正利用防止の観点から本人確認が非常に厳しく、パスポートまたは運転免許証の提出に加えて、追加書類の提出を求められることがあります。住所確認が必要な場合は、公共料金領収書や住民票が有効で、海外送金額が増えるほど確認要求が細かくなることもあります。
● 高額送金では送金目的を求められる
たとえば、100万円を超えるような海外送金を行う場合、送金理由、受取人の関係性、請求書などの提出が必要になることがあります。送金目的が明確であれば問題ありませんが、急いで送金したい場合には事前準備をしておくとスムーズです。
● 法人アカウントはメリット大
日本法人もWiseアカウントを開設できますが、審査に時間がかかることがあります。海外企業との取引が多い場合、Wiseの法人アカウントは大きな節税効果やコスト削減につながる可能性があるため、利用目的に応じて早めの準備が必要です。
6-2.Revolutを日本から利用する際の注意点
Revolutは日本でもアカウント開設ができますが、ヨーロッパ版のRevolutと比較すると、使える機能が限定されています。ここでは、日本版Revolut特有の制約を整理します。
● 投資機能や暗号資産機能は日本では利用不可
ヨーロッパではRevolutのアプリ内で株式投資や暗号資産の売買ができますが、日本では提供されていません。金融サービスは国ごとの規制に合わせて構成されているため、日本版Revolutは決済寄りの機能に限定されています。
● 国際送金は他国版より制限がある
Revolutの国際送金は無料の場合が多いとされますが、日本版では送金ルートや受取側の金融機関によって手数料が発生するケースがあります。また、欧州版のように超高速で着金するパターンは限られています。
● 両替時の週末レートに注意
Revolutは平日の両替レートは有利ですが、週末に両替すると1〜2%程度の上乗せが発生することがあります。日本ユーザーの場合、時差の影響で平日扱いのタイミングが異なることもあり、両替のタイミングは意識しておくと良いです。
● 本人確認で追加書類が必要なケースがある
本人確認の途中で、セルフィー動画や追加の書類の提出を求められることがあります。Revolut側で不審な取引が検知された場合や高額取引を行う場合に発生するケースが多いです。
6-3.N26を日本から利用する際の注意点
N26は日本居住者は口座開設ができません。ここでは、なぜ利用できないのか、またEU圏で利用したい場合の注意点を説明します。
● 日本は提供エリア外
N26はEU圏と一部の欧州諸国に限定してサービスを提供しています。N26の口座開設にはEU圏の居住証明(住所登録)と、現地での本人確認が必要です。VPNを使った登録などは禁止されており、本人確認の段階で必ず弾かれます。
● 日本からはアプリをインストールできても口座開設は不可
アプリストアからN26のアプリそのものは入手できますが、ログイン画面の時点で居住国の選択が必須で、日本を選ぶと進めません。
● 海外移住予定者は準備が必要
EUへの移住を予定している場合は、現地で住所登録を済ませてから口座開設が必要です。N26はIBANを付与してくれるため、EU圏での給与受取りや公共料金支払いに役立ちますが、日本に住んでいるうちは利用できません。
6-4.共通して注意したいポイント
三つのサービスに共通する注意点もあります。
● アカウントロックのリスク
不審な取引が検知された場合、アプリが突然ロックされることがあります。特に初回送金が高額であったり、入金元が特殊である場合は審査強化が行われます。
● サポート対応が遅い場合がある
デジタル銀行はサポート体制が従来銀行より簡素なため、チャット対応が中心です。混雑時は返信まで時間がかかることがあります。
● 海外送金の証明書類を求められる
資金洗浄防止の理由から、送金理由や請求書、受取人との関係の説明を求められる場合があります。ビジネス利用の場合は書類を常に整理しておくとスムーズです。
7.利用時のリスクと注意点
デジタル銀行には利便性がある一方で、いくつかの注意点があります。
・KYC(本人確認)が厳しく、アカウントがロックされるケースがSNSで報告されることがある
・収入源や送金理由の提示が求められる場合がある
・カード紛失時はアプリ操作で簡単に凍結できる反面、サポート対応に時間がかかることもある
・地域規制によって提供サービスが変更される可能性がある
特に事業利用の場合は、送金履歴を明確に保管しておくことが重要です。
8.まとめ

Revolut、Wise、N26はいずれも海外決済の利便性を大きく高めるサービスですが、目的によって選択肢が変わります。低コストで海外送金を行いたいならWise、マルチカレンシーを一つにまとめたいならRevolut、欧州で日常的に利用するならN26が適しています。
2024〜2025年はこれらのデジタル銀行の利用者がさらに増えると見込まれます。日本語での専門的な比較記事はまだ少ないため、実務に合わせた選び方を整理することで大きな価値を提供できます。