原産地規則とHSコード改正の関係を整理する なぜセットで確認しなければならないのか

原産地規則とHSコード改正の関係を整理する なぜセットで確認しなければならないのか

原産地規則とHSコード改正の関係を整理する

原産地規則とHSコードはなぜ切り離せないのでしょうか?原産地規則を確認する際、HSコードを別物として扱ってしまうケースは少なくありません。しかし実務上、この二つは密接に結びついており、切り離して考えることはできません。

原産地規則、とくに品目別規則は、HSコードを前提に設計されています。どのHSコードに分類されるかによって、関税分類変更基準や付加価値基準の適用条件が決まり、原産性の判断結果そのものが変わります。

そのため、HSコードが改正されると、原産地規則の読み方や適用範囲も連動して変わる可能性があります。年明けはこの連動を見落としやすい時期であり、2026年も例外ではありません。

HSコード改正の基本をおさらいする

HSコードは国際的な統一分類として運用されており、一定期間ごとに改正が行われます。技術革新や貿易実態の変化に対応するため、コードの新設、統合、細分化が繰り返されています。

改正の際には、単純な番号変更だけでなく、分類の考え方そのものが見直される場合もあります。これにより、従来は同一HSに分類されていた製品が、改正後は別のHSに分かれることもあります。

重要なのは、HSコード改正が関税率だけでなく、原産地規則にも影響を及ぼすという点です。品目別規則はHS番号単位で定義されているため、HSコードが変われば、参照すべき規則条文も変わることになります。

HSコード改正が原産地規則に与える影響

HSコード改正が原産地規則に与える影響は、主に三つあります。

一つ目は、品目別規則の適用対象が変わる点です。HS改正によりコードが分割された場合、それぞれに異なる原産地規則が設定されることがあります。

二つ目は、関税分類変更基準の起点が変わることです。どのレベルで分類変更が求められるかは、HS番号に依存します。番号が変われば、変更前後の判断も変わる可能性があります。

三つ目は、過去の原産性判断がそのまま通用しなくなるリスクです。前年まで問題なく原産とされていた製品でも、HS改正後は再検証が必要になる場合があります。

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図解:HSコード改正と品目別規則への影響

以下は、HSコード改正が原産地規則にどのように影響するかを示した簡易図です。

旧HSコード HSコード改正 分割・統合 新HSコード 対応する品目別規則(PSR)を再確認 原産性判断の前提条件が変わる可能性

このように、HSコード改正は単なる分類変更にとどまらず、原産地規則の再確認を必須とする要因になります。

年明けに多い実務上の勘違い

年明けに多い勘違いとして、関税率改定だけを確認してしまうケースがあります。関税率が変わっていなくても、原産地規則が変わっていれば、特恵関税の適用可否は別問題です。

また、HSコード改正と原産地規則改定を別々に確認してしまうのも典型的なミスです。実務では、この二つをセットで確認しなければ正しい判断に至りません。

前年の原産性計算表や説明資料を流用してしまうケースも注意が必要です。計算方法自体は同じでも、前提となるHS番号や規則条文が変わっている可能性があります。

日本へ輸入する際に注意したいポイント

日本への輸入では、輸入申告時点でのHSコードが基準となります。原産地証明書に記載されたHS番号と、日本側で採用するHS番号に齟齬があると、原産性の説明を求められる可能性があります。

また、事後確認の際には、なぜそのHSコードを採用し、その品目別規則を適用したのかを説明できることが重要です。HS改正前後の違いを理解していないと、説明が困難になる場合があります。

輸入者としては、原産地証明書の取得だけでなく、その内容を理解したうえで申告する姿勢が求められます。

具体例① RCEPにおけるケース

RCEPでは、幅広い品目に対して品目別規則が設定されています。HSコード改正により対象品目が分割された場合、新しいHS番号ごとに規則を確認する必要があります。

たとえば、従来一つのHSにまとめられていた製品が二つに分かれた場合、一方は関税分類変更基準、もう一方は付加価値基準が適用されるといったケースも考えられます。この違いを把握せずに従来の判断を続けると、原産性の否認につながる可能性があります。

具体例② 日EU・EPAにおけるケース

日EU・EPAでは、加工工程基準が細かく定められている品目もあります。HS改正により対象範囲が変更された場合、これまで満たしていた加工工程が、規則上十分でなくなるケースも想定されます。

特に、EU向けの原産地判断は事後確認が行われることもあり、日本側の理解不足が問題になることがあります。HSコード改正後は、日EU・EPAの附属書を改めて確認することが重要です。

原産地規則とHSコードを同時に確認する実務フロー

実務上は、まずHSコードを確定させ、そのうえで対応する品目別規則を確認し、原産性計算を行う流れが基本になります。

HSコードに改正があった場合は、必ずこの流れを最初からやり直すことが望まれます。社内だけでなく、サプライヤーとも情報を共有し、認識のずれを防ぐことが重要です。

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まとめ

原産地規則とHSコードは、実務において必ずセットで確認すべき要素です。HSコード改正は、原産地判断の前提条件を変える可能性があり、年明けはとくに注意が必要な時期と言えます。

2026年に向けては、制度変更を前提とした再確認を習慣化し、日本への輸入実務におけるリスクを着実に減らしていくことが重要です。原産地規則とHSコードを一体として捉える視点が、安定した貿易実務につながるでしょう。

参考外部リンク

・税関
日本の輸入申告における原産地規則、EPA・FTAの運用、事後確認制度について公式情報が掲載されています。
https://www.customs.go.jp/

・財務省
関税制度全般、HSコード改正の国内対応、制度改正の背景を確認する際に参考になります。
https://www.mof.go.jp/

・経済産業省
EPA・FTAの概要、原産地規則の考え方、自己申告制度に関する解説資料が公開されています。
https://www.meti.go.jp/

・JETRO
RCEPや日EU・EPAを含む各協定の実務解説、原産地規則の具体的な適用例を確認できます。
https://www.jetro.go.jp/

・World Customs Organization
HSコード改正の国際的な背景や改正内容を確認する際の基礎資料として有用です。
https://www.wcoomd.org/

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2026年1月6日 | 2026年1月12日