B/L draftは、輸出実務の中でも見落としが許されにくい確認工程のひとつです。
船積みそのものは完了していても、B/Lの記載内容に誤りがあると、輸入地で貨物が引き取れない、銀行買取に影響する、訂正費用が発生するなど、後工程で大きな負担につながることがあります。一方で、初めて貿易書類に触れる方にとっては、B/Lそのものが何のための書類なのか分かりにくく、InvoiceやPacking Listとの違いも見えにくいものです。
この記事では、Bill of Ladingとは何かという基礎から整理しながら、B/L draft確認で必ず見るべき5項目を実務目線でわかりやすく解説します。
B/Lとは何か|Bill of Ladingの基本役割
B/Lは Bill of Lading の略で、日本語では船荷証券と呼ばれます。輸出貨物が船会社に引き渡され、船積みされたことを示す代表的な書類です。単なる輸送書類ではなく、国際取引では重要な法的意味を持っています。
B/Lには主に3つの役割があります。
- 船会社が貨物を受け取ったことを示す受領証
- 海上運送契約の内容を示す証明書
- 貨物を引き渡す権利を示す証券
このうち初心者が見落としやすいのは、3つ目の「権利証」としての性質です。InvoiceやPacking Listは貨物内容の説明ですが、B/Lは貨物そのものを受け取る権利に関わるため、記載ミスが起きると輸入側での受け取りに影響することがあります。
特にL/C決済が絡む案件では、銀行がB/L表記を厳密に確認するため、会社名や港名の表記差異でも差し戻しになることがあります。
B/L draftとは何か|正式発行前の確認が重要な理由
B/L draftは、正式なB/Lが発行される前に船会社またはフォワーダーから送られてくる確認用データです。ここで内容を確認し、問題がなければ正式発行へ進みます。
なぜこの段階が重要かというと、B/Lは通常、輸出者が提出したS/I(Shipping Instruction)をもとに作成されるためです。つまり、S/Iに入力した内容のミスがそのままB/Lに反映されます。
正式発行後の訂正は、次のような負担につながることがあります。
- 訂正費用(Correction Fee)が発生する
- Original B/L再発行になる
- 到着地で荷渡し遅延が起きる
そのため、実務では「draftで止める」が基本になります。
B/L draft確認で必ず見る5項目
1. Shipper / Consignee の名称
最優先で確認すべき項目です。Shipperは輸出者、Consigneeは荷受人です。
ここで特に多いミスは次の通りです。
- 会社名のスペル違い
- Ltd. / Inc. の抜け
- 法人名の途中省略
例えば、銀行提出がある案件では「CO., LTD.」の表記差でも差し戻しになることがあります。S/I作成時にコピーしたつもりでも、過去案件の旧社名が残っていることもあるため注意が必要です。
2. Notify Party の記載
Notify Partyは到着通知先です。輸入者本人とは別に通関業者や現地代理店が指定されることがあります。
ここが誤っていると、貨物到着連絡が適切に届かず、現地で処理が遅れることがあります。
- Consigneeと同一指定か
- 代理店名が必要か
- 住所が最新か
特に東南アジア向け案件では、現地通関業者の指定が実務上重要になることがあります。
3. Port of Loading / Port of Discharge
積港・揚港も必ず確認します。
ここは略称で見落としやすく、港コードを知っている人ほど目視確認が甘くなる部分です。
- Port of Loading:積み地
- Port of Discharge:荷揚げ地
例えば Osaka と Kobe は日本国内でも取り違えが起きます。また Busan経由など積替えがある場合は表記が複数になることがあります。
輸入者側が指定した港と一致しているかを必ず確認します。
4. Marks & Numbers / Package数量
これはPacking Listとの一致確認です。
現場では次のような差異が起きます。
- carton と pallet の違い
- 総数量のズレ
- 梱包記号の省略
数量が一致しないと、輸入側で貨物照合時に疑義が出ることがあります。
特に複数パレット案件では、梱包単位の数え方が現場と書類でズレやすいため注意します。
5. Freight Prepaid / Collect
運賃支払条件です。
- Prepaid:輸出側支払い
- Collect:輸入側支払い
これが逆になると請求先トラブルになります。
インコタームズがFOBでも、実際の支払い条件確認は別途必要です。案件によっては過去条件をそのまま流用してしまうケースがあります。
最後に必ず照合する3書類
| 照合書類 | 確認内容 |
|---|---|
| Invoice | 荷主・金額・商品名 |
| Packing List | 数量・重量・梱包数 |
| S/I | 元データとの差異 |
B/Lだけ単独で見ると見落とします。必ず横並びで確認します。
初心者が実務で迷わない確認順
最初から全項目を細かく追う必要はありません。
- Consignee
- 港名
- 数量
- 運賃条件
- 通知先
この順に見るだけでも重大事故はかなり防げます。
まとめ|B/L draft確認は輸出実務の最後の安全装置

B/L draftは単なる確認データではなく、正式発行前の最後の安全確認です。ここでの1文字違いが後工程の大きな負担につながります。特に初めて実務を担当する場合は、Invoice・Packing List・S/Iを横に並べ、順番を固定して確認するとミスが減ります。
次に理解しておきたいのが、近年実務で頻繁に使われる Telex Release と Original B/L の違いです。B/Lの種類が変わると、輸入側で必要な対応も変わるため、ここも早めに整理しておくと実務理解が深まります。
参考外部リンク
- 日本貿易関係手続簡易化協会(JASTPRO)
貿易書類や船積実務の基礎用語を整理する際に参考になる公的情報があります。 - 財務省 税関
輸出通関と船積関連の制度理解に役立つ基礎情報が掲載されています。 - JETRO(日本貿易振興機構)
輸出入実務の全体像や貿易書類の基礎解説が充実しています。 - ICC(International Chamber of Commerce)
国際取引ルールやインコタームズ理解に関連する基準情報です。