NCNDAとは、国際取引で使われる「仲介保護」の契約書です。
1. NCNDAの概要
NCNDA(Non-Circumvention and Non-Disclosure Agreement)は、国際取引においてブローカー(仲介者)が取引から外されることなく、正当な報酬を確保するために結ばれる契約です。同時に、情報を受け取る側がその情報を第三者に漏らさないことも約束します。
多くの場合、Past Performance や POF(Proof of Funds)、POP(Proof of Product) の提出前、あるいは SPA締結前 に締結されます。
NCNDAとIMFPAの違いについては、こちらをご覧ください。
2. NCNDAに含まれる主な項目
- 契約当事者の情報(仲介者・買主・売主)
- 仲介者の役割(紹介、交渉支援など)
- 非回避条項(Non-Circumvention):仲介者を回避して直接取引しない約束
- 秘密保持条項(Non-Disclosure):情報の漏洩を禁止
- 独占や地域制限(場合によっては特定エリアでの排他性)
- 契約期間(例:2年間など)
- 紛争解決方法(ICC仲裁を採用するケースが多い)
3. NCNDAを締結するタイミング
- SPA締結以前
売主や買主が相手の情報(過去実績・資金証明・商品証明)を開示する前 - 取引協議開始時
ブローカーが紹介した取引先と初めて接触する際
NCNDAの締結は、SPA締結以後では遅すぎるため、ブローカーが外されるリスクがあります。逆に、ファーストタッチなどブローカーと接触したばかりなどの時点では、早すぎるため相手が不信感を抱く可能性があります。
4. チェックリストNCNDAを結ぶ際に確認すべき項目)
- 契約当事者の名称・住所・代表者名は正確か
- 仲介者の役割(紹介範囲・商流上の立ち位置)が明確に記載されているか
- 契約の有効期間や地域的な範囲が妥当か(過度に広すぎないか)
- 手数料や報酬に関する規定が明確か
- 非回避・秘密保持の範囲が双方にとって現実的か
- 紛争解決条項(仲裁地・適用法)が公平かどうか
5. よくあるNG条項例
NCNDAに記載する条項で、契約当事者にとって不利益になるような条項は不信感等を招くため、注意する必要があります。以下は、主にそういったケースを招きやすい条項になります。
- 期間が無期限
実務的に長すぎる契約期間(10年以上など)は不合理 - 対象範囲が過度に広い
すべての取引やすべての国を対象にすると、実行不能でトラブルの元 - 一方的な義務のみ
仲介者の責任、または買主・売主の責任ばかりを列挙し、相手方の義務がない条項 - 不明確な手数料規定
「利益の一部」とだけ記載されているなど、後で解釈が分かれる表現 - 曖昧な非競合条項
仲介者の通常業務まで制限され、活動を阻害するリスク
6. まとめ
- NCNDAとは:仲介者を排除せず、情報の秘密を守る契約書
- 締結時期:Past PerformanceやPOP・POF提出前、SPA前が基本
- チェックリスト:当事者情報、役割、範囲、期間、報酬条項、紛争解決を確認
- NG条項例:期間無制限、範囲過大、不明確な報酬、片務的な義務
NCNDAは、仲介者を守ると同時に、取引全体の透明性と信頼性を高めるために不可欠です。適切な内容で締結すれば、国際取引における不要なトラブルを防ぐ有効なツールとなります。