IMFPAとは?

IMFPAとは?

IMFPA(Irrevocable Master Fee Protection Agreement)とは、一言でいうとブローカーが受け取る仲介手数料を守る契約書のことです。

IMFPAとNCNDAの違いについてはこちらをご覧ください。

IMFPAの概要

IMFPA(Irrevocable Master Fee Protection Agreement)は、国際取引においてブローカーへ支払う仲介手数料の支払い履行を保護する契約書です。買主や売主の間に介在して商流をつないだブローカーが正当に報酬を受け取れるよう、買主または売主(場合によっては双方)が手数料支払いを約束します。

通常の売買契約(SPAFCOなど)とは異なり、IMFPAはブローカーが存在する取引に用いられます。買主と売主が直接取引する場合には使用されません。

過去の事例では、国際取引において「買主と売主がブローカーを商流から飛ばして直接つながり、ブローカーに手数料を支払わない」ケースがまれに発生します。IMFPAはそれを防ぐための防御策です。

IMFPAの記載内容

IMFPA(Irrevocable Master Fee Protection Agreement)には、ブローカーへの支払いを担保するための具体的な条件が盛り込まれます。代表的な項目は以下です。

  • 契約当事者の情報(買主・売主・ブローカー)
  • ブローカーの役割(引き合いの補助、交渉の仲介など)
  • 手数料の金額・計算方法(取引金額の◯%、または固定額など)
  • 支払い条件(主取引の決済後◯日以内、銀行送金など)
  • 不払い防止条項(買主と売主が直接取引しても手数料支払い義務を免れない)
  • 守秘義務条項(商流や当事者情報の秘匿)
  • 仲裁条項(紛争発生時の解決方法)
  • ブローカーの個人情報(支払先銀行口座、パスポートナンバーやパスポート写しなどを含む場合もある)

ブローカー情報には銀行口座や身分証まで含まれるため、信頼できる相手との間でのみ共有することが重要です。情報管理を誤ると、逆にリスクを負うこともあります。

IMFPAの締結時期

IMFPA(Irrevocable Master Fee Protection Agreement)は、通常 SPA締結の直前または並行して締結 されます。

  • 早すぎる段階(LOIやICPO直後) → 相手が警戒してサインを拒むケースが多い
  • 遅すぎる段階(契約成立後) → ブローカーが権利を主張しづらくなる

最も妥当なのは、FCOやSPAで条件が固まり、契約が成立する直前にIMFPAを結ぶことです。

ただし中には、売主または買主の要求をそのまま伝えるにとどまり、要求に代替できるプランが用意できない場合は基本的にその案件は終了する可能性が高くなります。このケースは非常に多く、100の案件があった場合90近くが該当するのではないでしょうか。

ブローカーが交渉の仲介業務をしっかり調整できず、スムーズに案件が進行しない場合は、売主または買主から直接交渉させてほしいという要求が出てくることもあります。この場合は稀に、仲介手数料の支払い義務者とIMFPAを締結して直接交渉を認めるケースもあります。

よくあるトラブル事例

  • IMFPAを結ばずに手数料未払い
    売買契約成立後、買主と売主が直接取引に移行してしまい、仲介したブローカーに報酬が支払われなかったケース
  • 不明確な手数料条件
    IMFPAに「取引金額の一部」とだけ書かれ、金額や割合が曖昧だったため、後に解釈違いで紛争に発展したケース
  • 個人情報の悪用
    IMFPAに記載したブローカーのパスポートコピーや銀行口座情報が流出し、第三者に不正利用されたケース

海外でブローカーは優れた交渉役であり、様々なルートとの経験から契約締結に至るための潤滑油となるため、買主および売主にとって貴重な存在であるため、基本的にその業務遂行能力を認められるため、仲介手数料の支払いを基本的に約束されますが、ときには「直接取引に切り替えられてブローカーが外される」事例が稀に発生します。

IMFPAがなければ泣き寝入りになるため、ブローカー保護のためIMFPAの存在は非常に大きいものとなります。

5. まとめ

  • IMFPAとは:ブローカー手数料を守る契約書
  • 記載内容:当事者情報、手数料額と支払い条件、不払い防止条項、守秘義務、仲裁条項、場合によってはブローカーの銀行口座やパスポート情報も含まれる
  • 締結時期:SPA締結の直前が妥当
  • 実務上の注意:未締結や条件不明確だと手数料トラブルが発生しやすい

国際取引におけるIMFPAは、仲介者の正当な報酬を守り、取引の公平性を担保するために欠かせない仕組みです。

2023年8月30日 | 2025年9月9日