XAU/USDの30日後見通し【2025-12月】:米利下げ観測と地政学リスクで金相場は高止まりが続く可能性

XAU/USDの30日後見通し【2025-12月】:米利下げ観測と地政学リスクで金相場は高止まりが続く可能性

1 過去半年の価格推移とその要因

過去半年のXAU/USDは 1,900〜2,450ドル 付近で推移しました。金相場の根底には以下の要因が作用しています。

1)米金利の変動と利下げ観測の強弱

金は利息を生まない資産であるため、金利動向に敏感です。米国の利下げ観測が強まった局面では金買いが優勢となり、逆に金利が高止まりする見方が優勢の場面では上値が重い展開がありました。

2)地政学リスクの長期化

中東情勢や国際的な不安定要因が続いたことで、安全資産としての金は買われやすい状況が継続しました。市場心理の悪化時には金相場が急伸する場面も見られました。

3)世界的なインフレ動向

インフレが高止まりする環境では金がインフレヘッジとして選好されやすく、特にエネルギー価格が乱高下した時期には金が比較的堅調な値動きを示しました。

半年間を通じ、金は下落しても押し目買いが入りやすく、高値圏を維持しやすい特徴が継続しています。過去30日前については、こちらの記事をご確認ください。

2 過去1か月の価格推移と要因

直近1か月の金価格は 2,280〜2,350ドル の範囲で推移し、上昇の勢いが戻りつつあります。背景には以下が挙げられます。

1)米景気指標の弱含み

米雇用やISM指数などに弱さが見られたことから、利下げ観測が強まり、金買いにつながりました。

2)実質金利の低下

名目金利が高止まりする一方で、インフレ指標が鈍化した影響により実質金利が低下し、金の相対的な魅力が増しました。

3)地政学リスクの再燃

一時的に落ち着いたと見られた情勢が再び不透明になる場面があり、リスク回避の金買いが入っています。

直近はドルの強弱に加え、市場心理が金価格に直接影響しており、短期的には強含む展開が続いています。

3 直近1か月の金相場

2350 2315 2280 現状 約2335

4 今後30日の金価格を左右する主な要因

今後の金相場には、次の三つのテーマが大きく影響すると考えられます。

1)米国の金融政策動向

米利下げ観測が強まると金買いが入りやすくなり、反対に金利が高止まりする見方が強まると金の上値は重くなります。特に、雇用統計・インフレ指標・FOMCメンバーの発言は重要な材料です。

2)市場心理とリスク回避姿勢

地政学情勢が不透明な状況が続くほど、安全資産としての金は買われやすくなります。株式市場が不安定な局面でも金は買われやすい傾向があります。

3)実質金利の変動

インフレ率と名目金利の差である実質金利の低下は金価格の上昇要因になります。特にエネルギー価格が上昇する場合、金がヘッジとして注目されやすい側面があります。

5 価格予想(上昇シナリオ)

金価格が上昇しやすいシナリオとしては、米国の利下げ観測が強まるケースが挙げられます。
雇用や消費など主要指標が弱い結果となれば、実質金利の低下が進み、金買いが優勢になる可能性があります。

この場合、30日以内に 2,360〜2,420ドル を目指す展開も考えられ、過去の強い上昇局面と類似する値動きとなる可能性があります。

6 価格予想(停滞シナリオ)

米欧の金融政策に目立った変化がなく、地政学リスクも落ち着きを見せた場合には、金価格は 2,300〜2,350ドル のレンジでの推移が予想されます。

材料難となる時期は上下に振れにくく、方向感のない展開となりやすい特徴があります。

7 価格予想(下落シナリオ)

金価格が下落しやすいパターンとしては、米国の経済指標が強く、利下げ後退論が再び強まるケースです。実質金利が上昇すると金売りが優勢となり、金は比較的早く反応しやすい傾向があります。

この場合、金価格は 2,250〜2,280ドル 付近までの調整が見込まれる可能性があります。
また、地政学要因が急速に後退した場合も金の下落圧力につながることがあります。

8 価格予想一覧(テーブル)

シナリオ想定レンジ(30日)背景ポジション判断(未保有の場合)
上昇2,360〜2,420米利下げ観測強化・リスク回避姿勢買い目線で検討
中立(レンジ)2,300〜2,350材料不足・市場心理の安定新規は様子見
下落2,250〜2,280米指標強化・利下げ後退売り目線も選択肢

金は株式や為替よりも地政学要因と心理が反応しやすく、シナリオ間の変動が大きくなる可能性があります。

9 まとめ:金相場は依然として上値余地と下落リスクの両面が共存

金価格(XAU/USD)は、米利下げ観測が後押しする形で比較的強く推移しています。ただし、米指標が改善すれば下落方向の圧力も意識されるため、どちらか一方向に偏った見方はリスクがあります。

今後30日で注目されるのは、米国の経済指標の強弱、インフレ動向、そして地政学リスクが落ち着くかどうかです。安全資産としての金の魅力は続いており、下押ししても押し目買いが入りやすい展開が予想されます。

2025年12月6日 | 2025年12月6日