1 過去半年の価格推移とその原因
過去半年のXAUUSDは 2,250〜2,430ドル の範囲で推移し、比較的広めのレンジで動きつつも、明確なトレンドが出にくい相場となっていました。
1-1 米金融政策の影響
金価格に最も大きな影響を与えたのは、米国の金融政策に対する市場の織り込みの変動です。特に、利下げがいつ実施されるのかという点は市場の最重要テーマであり、インフレ指標の強弱によって期待が上下しました。利下げ期待が高まれば金は買われ、反対に強いインフレ指数が出れば金利上昇観測から売られています。
1-2 地政学リスクの高止まり
中東情勢や欧州の不安定化は半年を通して継続しており、安全資産である金への需要は一定の強さを保っていました。特に地政学リスクが急拡大した局面では、短期的に金が急騰する動きも確認されています。
1-3 中央銀行の金購入
新興国を中心に金購入量が増加していることも、金価格の下支え要因として評価されています。世界的に外貨準備の多様化が進み、金の保有比率が高まる傾向にあるため、需給面での支援材料となっています。
2 直近1か月の価格推移とその原因
直近1か月では 2,330〜2,380ドル の狭いレンジで推移しており、明確な方向性に欠ける展開が続いています。
2-1 米経済指標の強弱混在
消費者物価指数(CPI)や個人消費支出(PCE)は月を追うごとに強弱が分かれ、インフレ鈍化が進んだかどうか判断が難しい状況が続いています。このため市場は積極的にポジションをとりにくく、金価格も大きなトレンドが出にくい環境となっていました。
2-2 米債利回りの上下動
金は金利を生まない資産であるため、債券利回りが上昇した局面では下落しやすく、反対に利回りが低下した場合には買われやすい傾向が見られました。この影響により、金の短期的な値動きはやや不規則になっています。
2-3 材料不足による様子見
大きなイベントが少なかったことから、市場全体が方向感をつかみづらい状態となり、値幅の狭いレンジを形成する背景となっています。
3 価格動向の図解(SVG・最終調整済み)
以下は、現状を 2360ドル付近 とし、今後30日の値動きを3つのシナリオに分けた図解です。
4 今後30日の価格変動要因
ここからの30日間は複数の材料が重なり、金価格に強い影響を与えると考えられます。
4-1 米インフレ指標の動向
CPIやPCEの結果は特に注目されています。
インフレが鈍化すれば金価格に追い風となりますが、もし高止まりが続けば利下げ観測が後退し、金にとって逆風となります。
4-2 FOMCメンバーのコメント
最近はFOMCメンバーの発言が市場の期待感を大きく動かすケースが増えています。方向性が定まらない状況では、発言内容によって金価格も敏感に反応しやすくなります。
4-3 地政学リスク
中東情勢や欧州の緊張は継続しており、不安定要素が残る限り、金は安全資産として需要が発生しやすくなります。
4-4 ドル指数の影響
ドル高は金の下落要因、ドル安は金の上昇要因となるため、ドル指数の変動は注視が必要です。
4-5 中央銀行の金購入動向
継続的な購入が確認される場合、金価格は下支えされる可能性があります。
5 上昇要因(2430〜2480ドル)
上昇シナリオでは次のような条件がそろうと考えられます。
- 米国のCPIが鈍化し、利下げ観測が高まる
- 米債利回りが低下し、金の相対的な魅力が高まる
- 中東や欧州の緊張が再燃し、安全資産需要が増える
- 中央銀行の金購入が強まる
強い上昇には新規材料が必要ですが、突発的に起こりうるため無視できません。
6 停滞要因(2330〜2380ドル)
停滞シナリオでは以下のような市場環境が続くと予想されます。
- 経済指標が強弱入り混じり、市場が方向性を判断できない
- リスクイベントが限定的で、安全資産需要が増減しにくい
- 米債利回りが小幅なレンジで推移し、金への影響が弱い
この結果、金価格は30日程度の短期では方向感を失い、横ばい推移になりやすいと考えられます。
7 下落要因(2260〜2310ドル)
下落シナリオは以下のようなケースが該当します。
- インフレが予想以上に高止まりし、利下げ観測が後退
- 米債利回りが上昇し、金が売られる
- ドル高が進行し、相対的に金の価値が低下
- リスクオン相場が強まり、安全資産の金への需要が減少
過去にも同じ状況から下落に転じた例があるため、注意が必要なシナリオです。
8 シナリオ別の想定レンジまとめ
| シナリオ | 想定レンジ | 確率 | 主な理由 |
|---|---|---|---|
| 上昇 | 2430〜2480ドル | 30% | 利下げ期待、安全資産需要、米債利回り低下 |
| 停滞 | 2330〜2380ドル | 45% | 材料の強弱が混在し方向感が出にくい、レンジ相場継続 |
| 下落 | 2260〜2310ドル | 25% | インフレ高止まり、利下げ後ずれ、ドル高・利回り上昇 |
なぜ「停滞」が一番高いのか
- 米CPIやPCEなどの指標は、強弱が混在しつつも「急変」までは想定しづらい状態
- FOMCも大きな方針転換というより、「データ次第」で揺れながら進むイメージ
- 地政学リスクも高止まりはしているものの、「常に新しい悪材料が出続ける」とまでは言えない
この結果、「明確なトレンドよりも、レンジでの持ち合いが続きやすい」と考え、停滞シナリオを一番高い確率に置いています。
上昇シナリオが30%の理由
- 想定より早いインフレ鈍化や、利下げ期待の再浮上が起きると、金には追い風
- 地政学リスクの再燃も、短期的には大きな押し上げ要因になり得る
- ただし、それが「30日以内にドンと起こる」とまでは言い切れないため、最頻ではなく30%程度
下落シナリオが25%の理由
- インフレ高止まり → 利下げ後ずれ → 債利回り上昇 → 金に逆風
- 同時にドル高が進行すれば、金は売られやすくなる
- とはいえ、中央銀行の買い需要や安全資産需要が一定あるため、「強烈な下落トレンド」に発展する確率はやや抑えめ
9 価格予想まとめ

今後30日の金市場は、米インフレ指標とFOMC関連の発言が中心的なテーマとなると考えられます。金価格は方向感をつかみにくい状況が続いていますが、状況次第では上昇シナリオにも下落シナリオにも振れやすい環境が整っています。
安全資産としての需要が継続する一方で、利回りやドル指数の変動によって相場の見通しは変わりやすい点に注意が必要です。特に突発的なニュースや地政学リスクは金価格に短期で大きく影響するため、定期的な情報アップデートが欠かせません。