株式取引の現物取引と信用取引の違いとは?初心者が知るべき仕組みとリスク

株式取引の現物取引と信用取引の違いとは?初心者が知るべき仕組みとリスク

株式取引の「現物取引」と「信用取引」の違いとは?初心者が最初に知るべき基本

株式投資を始めると、「現物取引」と「信用取引」という言葉をよく見かけます。どちらも株を売買する方法ですが、仕組みとリスクの大きさは別物です。特に初心者の段階で信用取引を何となく使ってしまうと、値動きに振り回されやすく、想定外の損失につながることがあります。

一方で、「信用取引は危ないから絶対にダメ」と決めつけるのも正確ではありません。目的や経験、資金管理の考え方によっては、信用取引が役立つ場面もあります。大切なのは、仕組みを理解した上で、自分に合った方法を選ぶことです。この記事では、現物取引と信用取引の違いを分かりやすく整理し、初心者が迷わない判断軸を作れるように解説します。

現物取引とは?自分の資金で買って保有する基本の取引

現物取引は、自分の資金で株を買い、購入した株式をそのまま保有できる取引です。株は自分の資産として口座に残り、売りたいタイミングで売却できます。投資信託やNISAの感覚に近く、初心者が最初に取り組む取引として一般的です。

現物取引は基本的に「買い」から入ります。値上がりすれば利益、値下がりすれば損失ですが、損失は原則として投資した金額の範囲内に収まります。たとえば10万円分の株を買って値下がりしても、最大の損失はその10万円がゼロに近づくまでです(もちろん実際には上場廃止など極端なケースを除けばゼロになることは稀です)。

信用取引とは?お金や株を借りて取引する仕組み

信用取引は、証券会社に担保(保証金)を預け、証券会社からお金や株を借りて売買する取引です。少ない資金で大きな金額を動かせることが特徴で、その分、利益も損失も大きくなりやすい取引です。

信用取引には大きく2つの入り方があります。

  • 信用買い:お金を借りて株を買う(値上がりで利益)
  • 信用売り:株を借りて売る(値下がりで利益)
信用取引の仕組み(ざっくり図解) 保証金 → レバレッジ取引 → 評価損益 → 追証/維持率 → 決済(反対売買) 投資家(あなた) ・保証金(担保)を差し入れる ・信用買い / 信用売りで建玉を持つ 証券会社 ・お金(または株)を貸す ・担保の状況(維持率)を管理 保証金を預ける お金/株を借りて取引 建玉(ポジション)の持ち方:2パターン 信用買い ・お金を借りて株を買う ・上がれば利益/下がれば損失 信用売り(空売り) ・株を借りて先に売る ・下がれば利益/上がれば損失 評価損益と「維持率」:ここが重要 評価損益(含み益/含み損) 価格変動で担保の余力が増減 維持率(安全度) 下がると追証リスクが上がる 追証(追加保証金) 不足 → 入金 or 建玉を減らす 決済(反対売買):信用買いは「売って返す」/信用売りは「買い戻して返す」 ※期限・金利/貸株料などのコストが発生する場合があります

信用買いは、現物よりも大きな金額の取引ができるため、相場が思惑通りに動けば利益を増やしやすい一方、逆に動けば損失も増えます。信用売りは、下落局面でも利益を狙える可能性がありますが、株価は理論上いくらでも上がり得るため、損失が膨らみやすい点に注意が必要です。

追証(追加証拠金)とは?:信用取引特有の追加負担

追証(おいしょう)とは、信用取引において、相場の変動によって保証金が不足した場合に、追加で差し入れを求められる資金のことです。信用取引では、証券会社に預けた保証金を担保にして、自己資金以上の取引を行いますが、含み損が拡大すると担保としての余力が減少します。

その結果、証券会社が定める一定の基準(維持率)を下回ると、「保証金が不足している状態」と判断され、追証が発生します。追証が発生した場合、定められた期限までに現金を追加で入金するか、保有している建玉を減らすなどの対応が必要になります。

もし期限内に対応できなかった場合、証券会社の判断で建玉が強制的に決済されることがあります。この強制決済は、相場状況によっては不利な価格で行われることもあり、想定以上の損失につながる可能性があります。

追証が発生する理由:レバレッジ構造と価格変動の影響

追証が発生する最大の理由は、信用取引が「レバレッジ構造」になっている点にあります。信用取引では、少ない保証金で大きな金額の取引ができる反面、価格が少し逆に動いただけでも、損失が保証金に対して大きな割合を占めるようになります。

たとえば信用買いの場合、株価が下落すると評価損が増え、保証金に対する余力が急速に減少します。信用売りの場合でも、株価が上昇すると同様に評価損が拡大します。こうした価格変動によって維持率が低下し、証券会社の基準を下回ると追証が発生します。

また、相場が急変した場合や出来高が少ない銘柄では、想定以上のスピードで価格が動くことがあります。その結果、損切りが間に合わず、一気に追証ラインを超えてしまうケースも少なくありません。追証は特別な例ではなく、信用取引の仕組み上、誰にでも起こり得るものだという認識が重要です。

追証が発生する典型フロー(図解) 価格下落 → 評価損拡大 → 維持率低下 → 追証 →(未対応)強制決済 1 価格下落(建玉が逆行) 例:信用買い中に株価が下がる/信用売り中に株価が上がる 2 評価損が拡大(含み損増) 担保(保証金)の余力が削られていくイメージ 3 維持率が低下(安全度が下がる) 一定の基準を下回ると、追証(追加保証金)の対象になりやすい 4 追証の発生(追加保証金が必要) 5 未対応なら強制決済の可能性 追証回避の基本:建玉を減らす/損切りする/保証金を追加する(※ルールと期限は証券会社で異なる) 注意:追証や強制決済の条件・期限は口座や取引区分で異なります。詳細は利用中の証券会社の規定を確認してください。

現物取引と信用取引の違い(比較表)

比較項目現物取引信用取引
資金の扱い自分の資金で買う担保を入れて、お金や株を借りる
取引の方向基本は買い(値上がり益)買いも売りも可能(下落でも狙える)
リスクの大きさ投資額の範囲内になりやすい損失が自己資金を超える可能性がある
追証(追加保証金)原則なし発生する可能性あり(入金が必要になる場合)
保有期限期限なし(長期保有しやすい)期限がある(制度信用など。強制決済リスク)
向いている人初心者、長期投資、配当・優待狙い短期売買、経験者、厳格な資金管理ができる人

信用取引のメリット:効率を上げられる可能性がある

信用取引のメリットは、少ない資金で大きな取引ができる点にあります。相場が思惑通りに動けば、現物よりも効率的に利益を狙える可能性があります。また、信用売りを活用できれば、相場が下落する局面でも利益チャンスが生まれる場合があります。

さらに、短期売買では「売買の回転」を重視するスタイルが多く、信用取引の仕組みがフィットすることがあります。たとえば値幅が小さい銘柄でも、取引量を増やすことで利益を積み上げたい、といった考え方です。ただし、ここに慣れないうちから踏み込むと、利益より損失のほうが膨らみやすい点に注意が必要です。

信用取引のデメリット:損失が拡大しやすく、精神的負担も大きい

信用取引の最大の注意点は、損失が大きくなりやすいことです。借りた資金で取引しているため、少しの値動きでも損益の振れ幅が大きくなります。さらに、相場が急変すると「追証(追加保証金)」が発生し、短期間で入金を求められることがあります。

追証が発生すると、含み損を抱えた状態で資金を追加する必要が出たり、入金できない場合は強制的に決済される可能性があります。相場が荒れているときほど強制決済が不利な価格になりやすく、損失が想定以上に膨らむリスクもあります。

また、信用取引は保有期限があるため、「時間を味方につけて回復を待つ」といった戦略が取りにくい場合があります。初心者ほど損切りを遅らせがちですが、信用取引ではその遅れが致命傷になりやすい点も押さえておきたいポイントです。

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初心者が信用取引で失敗しやすい理由

信用取引の仕組みを理解しないまま始めると、次のような失敗につながりやすくなります。

  • レバレッジの影響で、損益の変動が想像以上に大きくなる
  • 少しの逆行でも焦りやすく、判断が雑になりやすい
  • 損切りが遅れ、追証や強制決済に追い込まれる
  • 短期売買を前提にしたルール作りができていない

特に「含み損があるのに、気持ちの整理がつかず放置する」というパターンは危険です。現物なら時間をかけて回復を待てる場面もありますが、信用取引では期限や保証金の制約があり、相場に居続けること自体が難しくなる場合があります。

結局どちらを選ぶべき?初心者の判断の目安

結論として、投資初心者は現物取引を基本にするのが無難です。現物取引だけでも、投資の基礎である「銘柄選び」「売買タイミング」「リスク管理」は十分に学べます。特に長期投資やNISAを前提にするなら、現物取引が中心になります。

信用取引は、短期売買での武器になり得ますが、そのためには「損切りルール」「建玉管理」「資金管理」「ニュース時の対応」など、準備すべきことが多くあります。よく分からない段階では「使わない」という選択が、結果として資産を守ることにつながります。

よくある誤解:現物は安全、信用は危険、だけではない

現物取引は仕組みがシンプルで、信用取引よりリスクを抑えやすいのは確かです。ただし、現物でも集中投資や無計画なナンピンをすれば、大きな損失になる可能性はあります。信用取引も、理解してルールを徹底できる人にとっては、効率を高める手段になり得ます。

つまり重要なのは、取引手段そのものよりも、「自分が理解できているか」「許容できる損失の範囲に収まる設計になっているか」です。初心者のうちは、まず現物で経験を積み、自分の投資スタイルが固まってから、必要なら信用取引を検討する流れが現実的です。

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まとめ:まずは現物取引で経験を積み、信用は理解してから選ぶ

現物取引は自分の資金で株を買って保有する基本の取引で、初心者に向いています。信用取引はお金や株を借りて取引するため、少ない資金で大きく動かせる一方、損失が拡大しやすく追証などのリスクも伴います。

投資は「一度大きく勝つ」よりも「市場に長く残る」ことが大切です。まずは現物取引で売買の基礎とリスク管理を身につけ、信用取引は仕組みとルールを理解できてから選択するのが、遠回りに見えて最も堅実な道です。

参考外部リンク

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2026年2月11日 | 2026年2月10日