年が明けて1月になると、貿易実務や物流の現場では特有の混乱や遅延が発生しやすくなります。年末年始の休暇明けによる業務再開の遅れ、各国の祝日差、通関・倉庫・輸送の再調整などが重なり、思わぬ物流トラブルにつながることも少なくありません。この記事では、1月に特に起きやすい物流面での事例を整理し、なぜ発生するのか、実務上どのような点に注意すべきかを解説します。
1月に物流トラブルが起きやすい背景
1月は「通常月」と思われがちですが、実際には世界的に見ると完全な平常運転とは言えません。日本の年末年始休暇に加え、中国や欧米では異なる祝日体系が存在し、サプライチェーン全体の稼働タイミングがずれやすくなります。また、前年からの貨物繰り越しや在庫調整が集中しやすく、港湾・倉庫・輸送網の一部に負荷がかかる傾向があります。
事例1:年末積み残し貨物による港湾・倉庫の滞留
12月後半に積み切れなかった貨物が1月に一気に流れ込むことで、港湾や保税倉庫の滞留が発生しやすくなります。特に船社の減便やスケジュール調整が重なった場合、コンテナの引き取り遅延やデマレージ発生につながるケースも見られます。
- 年末のブッキング集中による積み残し
- 年始のヤード混雑・搬出制限
- 倉庫スペース不足による保管日数増加
事例2:通関業務の再開遅れと書類不備の顕在化
年末年始をまたいだ輸入案件では、通関書類の最終確認や修正対応が1月に持ち越されることが多くなります。担当者変更や確認漏れが表面化しやすく、結果として通関許可までに通常より時間を要する事例が見られます。
- インボイス・パッキングリストの記載不備
- HSコード確認の差し戻し
- 原産地証明書の有効期限切れ
事例3:海外拠点との稼働差による輸送遅延
日本では業務が再開していても、海外ではまだ休暇期間中、あるいは祝日直前というケースがあります。その結果、出荷準備や書類発行が進まず、想定していたスケジュールから大きく遅れることがあります。
- 海外工場の稼働開始遅れ
- 現地フォワーダーの業務再開遅延
- 輸出通関未完了による船積み延期
事例4:輸送費・付帯費用の一時的な不安定化
1月は新年度の契約見直しや燃料サーチャージの改定が行われやすい時期です。運賃そのものは落ち着いていても、付帯費用が予想外に変動し、コスト管理に影響を及ぼすことがあります。
- 燃料サーチャージの改定
- 港湾雑費・保管料の増加
- 緊急対応による追加費用発生
1月の貿易物流のフローは?
1月の物流トラブルを防ぐための実務上の注意点
1月特有の物流リスクを完全に避けることは難しいですが、事前の情報共有と余裕を持ったスケジュール設計によって影響を抑えることは可能です。特に年末から年始にかけての案件については、通常月以上に確認と調整が重要になります。
- 年末時点での積み残し有無を事前確認する
- 通関書類は休暇前に最終チェックを完了させる
- 海外拠点の稼働日カレンダーを共有する
- コスト増加の可能性を見込んだ予算管理を行う
まとめ

1月の貿易物流では、年末年始という特殊な時間軸が影響し、港湾滞留、通関遅延、海外拠点とのズレ、コスト変動といった事例が発生しやすくなります。これらは突発的なトラブルに見えますが、多くは事前に予測可能な要素でもあります。1月を「平常月」と捉えず、調整期間として意識することで、物流リスクを最小限に抑えることができます。
参考外部リンク
- 財務省 税関 公式サイト | https://www.customs.go.jp/
日本の輸出入通関手続き、通関制度、年末年始の業務案内などを確認できる公式情報。 - 国土交通省 | https://www.mlit.go.jp/
港湾物流、国際海上輸送、港湾混雑や物流政策に関する基礎情報。 - 日本貿易振興機構(JETRO) | https://www.jetro.go.jp/
各国の貿易・物流動向、年末年始や旧正月前後の注意点に関する解説が充実。 - 日本港運協会 | https://www.jhta.or.jp/
港湾荷役、ヤード混雑、港湾労働に関する日本国内の物流情報。 - World Shipping Council | https://www.worldshipping.org/
世界的なコンテナ輸送、船社動向、スケジュール調整など国際物流全体の背景理解に有用。 - 中国海関総署 | http://www.customs.gov.cn/
中国側の通関制度や行政動向を確認する際の公式情報(中国語)。