コンテナ運賃を複数ルート比較で予測:日本米国・欧州・中東・豪州・アジア(SCFIも解説)

コンテナ運賃を複数ルート比較で予測:日本米国・欧州・中東・豪州・アジア(SCFIも解説)

コンテナ運賃は「全体が上がる・下がる」だけでなく、ルートごとに温度差が出ます。

日本から米国向けは北米内陸の需給や港湾混雑の影響を受けやすく、欧州向けはスエズ迂回や天候・港湾事情、中東・オセアニアはサービス便の供給量や季節性、アジア域内は短距離ゆえの運賃弾力性が特徴です。本記事では、複数ルート比較で現状と今後30日の見通しを整理し、あわせてSCFIなど指数の見方も押さえます。

過去半年の価格推移とその要因

この半年は、指数ベースでみると「ピークアウトと調整」が進みやすい局面でした。代表的なベンチマークとして、DrewryのWorld Container Index(WCI)は週次で公表されており、2026年2月12日時点で1FEU(40ft)あたり1,933ドルまで低下したとされています。WCIは複数主要航路のスポット運賃を合成した指数のため、全体の地合いを掴むのに向きます。

一方、スポット運賃は季節性(旧正月前後)、供給(船腹・欠航)、地政学(スエズ運河回避など)の影響を受けやすく、特定ルートだけ急に上振れ・下振れすることがあります。例えば欠航(blank sailing)が増えると供給が絞られ、短期的に運賃が支えられることがあります。

価格変動となった主な要因

  • 供給要因:欠航・減便、配船の再編(供給が絞られると運賃が上がりやすい)
  • 季節要因:旧正月前後の駆け込み、在庫積み増しの波
  • 地政学要因:紅海・スエズ回避などで航海日数が伸び、実質供給が減る
  • 港湾要因:欧州の天候・混雑、ターミナル作業遅延による滞留
  • コスト要因:燃油・サーチャージ(BAF等)の変動と転嫁

過去1か月の価格推移と要因

直近1か月は、北米向けと欧州向けで「年始の改定(GRI)」「旧正月前の需要」「供給の出し入れ」が交錯しやすい時期です。Freightosの週次アップデートでは、2026年1月中旬時点でアジア→米国西海岸が約2,757ドル/FEU、米国東海岸が約4,033ドル/FEU、アジア→北欧州が約2,978ドル/FEU、アジア→地中海が約4,851ドル/FEUといった水準が示されています(いずれも指数ベースの目安)。

また、Drewryは欠航の公表も行っており、2月上旬時点で今後数週間の欠航数が一定規模あることが示されています。欠航が増える局面では、実荷動きが強くなくても運賃が下げ止まりやすい点に注意が必要です。

価格変動となった主な要因

  • 年始の運賃改定(GRI)の成否:需要が弱いと割引が出て失速しやすい
  • 旧正月前後の前倒し出荷:短期的にスペース需要が増える
  • 欠航・減便:供給が減り、スポット運賃が底堅くなりやすい
  • 欧州側の混雑・天候:遅延が連鎖すると運賃が下がりにくい
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今後30日の価格変動の主な要因

今後30日は、短期の材料が重なりやすい期間です。ポイントは「供給(欠航・配船)」「旧正月後の反動」「迂回継続の度合い」「各地域の需要の濃淡」です。指数で全体像(WCIやSCFI)を掴みつつ、実務では自社の主要ルートに絞って、見積の更新頻度を上げるのが安全です。

  • 供給調整(欠航・減便)の継続:Drewryの欠航トラッカーに示されるように、一定数の欠航が続くと下落が鈍る
  • 旧正月後の需要反動:駆け込みが剥落するとスポットが緩みやすい
  • スエズ回避の継続:回避が続くと実質供給が減り、欧州・地中海向けが底堅くなりやすい
  • 北米向けの需給:西海岸と東海岸で水準差が出やすく、内陸向け需要でブレる
  • 中東・オセアニア:便数が限られるため、供給側の調整で振れやすい(GRIやスペース逼迫の影響が出やすい)
  • アジア域内:DrewryのIACI(域内指数)のように、相対的に低水準になりやすく、調整が早い

価格予想

本記事では「ルート別に温度差が残る」前提で、今後30日を3シナリオで見ます。目安として、北米・欧州の主要航路は指数上も水準が高め(数千ドル/FEU帯)、アジア域内は低め(数百ドル/FEU帯)になりやすいことが示されています。中東・オセアニアはその中間に位置しやすく、供給側の調整で上下に振れやすい航路です。

複数ルート比較:現状と30日予測レンジ(目安)

ルート現状(目安)30日予測レンジ(目安)
日本-米国2,700〜4,000 USD/FEU(北米向け)
西海岸と東海岸で差が出やすい
2,100〜4,600 USD/FEU
欠航が続けば上振れ、反動が出れば下振れ
欧州3,000〜4,900 USD/FEU(欧州・地中海)
迂回・混雑で底堅くなりやすい
2,500〜5,300 USD/FEU
迂回継続・港湾混雑が強いと上振れ
中東中位レンジ(供給調整で振れやすい)
GRI/便数の影響が出やすい
中位で上下(レンジ広め)
供給の出し入れで短期変動が出やすい
オセアニア中位レンジ(季節性・便数で変動)
豪州NZは需給で上下しやすい
中位で推移(季節性で上下)
需要が弱いと値下がりが早い
アジア域内500〜700 USD/FEU(域内指数)
短距離は調整が早い傾向
450〜750 USD/FEU
旧正月後は緩みやすいが、供給調整で下げ止まりも

注:実運賃は契約形態(スポット/長期)・港・内陸輸送・サーチャージで大きく変わります。比較用のレンジとして活用してください。

価格上昇シナリオ

上昇シナリオの中心は「供給が絞られる」「迂回が続く」「局所的な混雑が強まる」です。Drewryは欠航状況を週次で示しており、欠航が一定規模で続く局面では需給がタイトになり、スポット運賃が上振れしやすくなります。さらに紅海・スエズ回避が長引くと、欧州・地中海向けでは航海日数増による実質供給減が残り、下がりにくさが出ます。北米向けは、東海岸が相対的に高くなりやすく、内陸向け需要が強い週は上振れしやすい点が特徴です。

価格停滞シナリオ

停滞シナリオは「需要の山が一巡したが、供給も完全には戻らない」状態です。旧正月前後の駆け込みが剥落しても、欠航や配船の調整が残ると、指数上はじり安でも現場の見積は大きくは下がらないことがあります。欧州向けは港湾側の遅延や天候要因が残ると、運賃は高止まりしやすいです。中東・オセアニアは便数が限られるぶん、下がるとしても段階的になりやすく、見積更新のタイミング差が出やすい航路です。

価格下落シナリオ

下落シナリオは「需要反動が想定以上に強い」「供給が戻る(欠航が減る)」「割引が早く広がる」場合です。Freightosの週次データでも、年始の値上げが需要の強さ次第で割引に転じる可能性が示唆されています。北米向けは値動きが大きいぶん、反動局面では下落も速くなりがちです。アジア域内はそもそも水準が低く、調整が早い傾向があるため、弱含みになりやすい一方で、底値に近い局面では下げ余地が小さくなることもあります。

シナリオ別割合

シナリオ想定割合目安レンジ(北米・欧州の主要航路:USD/FEU)想定される状態
上昇30%北米:2,800〜4,600 / 欧州:3,200〜5,300欠航増、迂回継続、港湾混雑が強まる
停滞45%北米:2,300〜4,200 / 欧州:2,800〜5,000需要は一巡、供給も完全回復せず
下落25%北米:2,100〜3,600 / 欧州:2,500〜4,200需要反動が強く割引拡大、欠航減
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まとめ

コンテナ運賃はルートごとに動きやすさが異なります。全体像の把握にはWCIやSCFIのような指数が有効ですが、実務では自社の主要航路に絞って、供給(欠航・配船)と季節性(旧正月前後)を中心に見積更新頻度を上げるのが安全です。北米・欧州は数千ドル/FEU帯で振れやすく、中東・オセアニアは便数が限られるぶん短期の供給調整で上下しやすい航路です。アジア域内は水準が低めで調整が早い傾向があるため、交渉余地が出やすい局面もあります。次の契約更改やコスト見直しでは、指数で地合いを確認しつつ、条件(港・内陸・サーチャージ)を分解して比較するのがポイントです。

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参考外部リンク

2026年2月14日 | 2026年2月13日