SWIFT カテゴリ3(MT 3xx):財務市場・外国為替・デリバティブ関連メッセージ

SWIFT カテゴリ3(MT 3xx):財務市場・外国為替・デリバティブ関連メッセージ

SWIFTCODEのタイプ指定、カテゴリ3(MT 3xx)のメッセージには財務市場、外国為替、金融市場、デリバティブがリストされています。

MT3xxの概要

カテゴリ3(MT3xx)のメッセージは、金融市場取引(外国為替・マネーマーケット・デリバティブ等)における約定確認や指図を中心に使用されます。実際の取引では、フロント(約定)→ミドル(確認)→バック(決済)の各部門をつなぐポストトレード電文として機能し、取引の完全性・透明性を確保する重要な役割を担います。

MT3xxの主なメッセージ種別と用途、およびフロー

カウンターパーティ間で照合され、誤認や決済リスクの軽減に直結します。

メッセージ種別内容 / 用途
MT300外国為替取引の約定確認(スポット・フォワード)
MT305 / 306通貨オプション取引の確認
MT340 / 341FRA(フォワードレートアグリーメント)の確認・修正
MT360 / 361IRS(利率スワップ)関連の約定確認
MT362再設定通知(リセット通知)

MT3xxの主要なメッセージと解説

MT300とは?

MT300は、外国為替(FX)取引の約定確認に使用されるSWIFTメッセージです。スポット(直物取引)やフォワード(先物取引)といった通貨売買の約定内容を、取引相手(カウンターパーティ)間で確認・照合する役割を持ちます。

MT300の主な用途
  • FX取引の確認
    スポット取引(T+2決済など)やフォワード取引の詳細を記録。
  • カウンターパーティとの照合
    通貨ペア、金額、レート、決済日、決済口座などを双方で確認。
  • 誤認リスクの防止
    フロント(約定部門)で成立した取引を、バックオフィスで再確認し、誤約定や決済リスクを軽減。
MT300の電文に含まれる代表的な情報
  • 取引日
  • 通貨ペア(例:USD/JPY)
  • 売買方向(買い or 売り)
  • 取引金額
  • 約定レート
  • 決済日(スポット/フォワード)
  • 決済銀行・口座情報
MT300の運用上のポイント
  • 標準化された形式で送受信することで、双方の記録が一致しやすい。
  • フロントオフィスで入力された取引内容を、バックオフィスが再度確認する仕組みを支援。
  • 大量の取引を行う金融機関にとって、決済リスクの軽減と効率化に不可欠な電文。
MT300まとめ

MT300は、FX市場で最も基本的かつ頻繁に利用される約定確認メッセージです。取引の透明性を確保し、誤約定を防ぎ、国際金融取引の信頼性を支える基盤となっています。

MT305とは?(通貨オプション取引確認)

MT305は、通貨オプション取引の約定確認に使用されるSWIFTメッセージです。オプション取引の内容をカウンターパーティ間で照合し、将来の権利行使や決済に備えます。

MT305の主な用途
  • 通貨オプションの確認:権利行使日、行使レート、プレミアムなどを明記
  • 照合の効率化:オプション条件の誤認を防止
  • リスク管理:決済前の取引記録を正確に保持
MT305の電文に含まれる代表的な情報
  • オプションのタイプ(コール / プット)
  • 通貨ペア(例:EUR/USD)
  • 権利行使日と決済日
  • 行使レート(Strike Price)
  • プレミアム支払額と支払期日
  • 取引金額
MT305の運用上のポイント

オプション取引は派生商品で条件が複雑なため、MT305による標準化された確認は、取引双方の認識を一致させるうえで極めて重要です。

MT360とは?(利率スワップ:IRS取引確認)

MT360は、インタレスト・レート・スワップ(IRS:利率スワップ)の約定確認に使用されるSWIFTメッセージです。固定金利と変動金利を交換する契約をカウンターパーティ間で確認します。

MT360の主な用途
  • IRS契約の確認:固定金利・変動金利の条件を明記
  • 決済条件の共有:支払通貨、支払期日、算出基準(LIBORやSOFRなど)を確認
  • 長期取引のリスク低減:スワップ期間中のキャッシュフローを正確に管理
MT360の電文に含まれる代表的な情報
  • 固定金利の利率と支払条件
  • 変動金利の基準(例:SOFR、TIBORなど)
  • 名目元本(Notional Amount)
  • 支払頻度(例:年1回、半年ごと)
  • 開始日・満期日
  • 通貨と支払日程
MT360の運用上のポイント

IRSは数年〜数十年にわたる長期契約が多いため、MT360で正確に約定内容を記録し、バックオフィスが決済を円滑に処理できるようにすることが必須です。誤差や照合漏れは大きなリスクに直結します。

MT362とは?(リセット通知 / Reset Advice)

MT362は、金利スワップや通貨スワップ等の変動金利取引における「リセット通知」に使用されるSWIFTメッセージです。変動金利部分の算出基準が更新されるたびに、支払利息やキャッシュフローを確定させるために送信されます。

MT362の主な用途
  • 変動金利の更新通知
    利息算定期間ごとに適用される金利を通知。
  • キャッシュフローの確定
    支払金額や受取金額を相手方と照合。
  • 契約の継続的な管理
    長期契約における定期的なリスク管理を支援。
MT362の電文に含まれる代表的な情報
  • 名目元本(Notional Amount)
  • 適用される変動金利(例:SOFR、EURIBOR、TIBORなど)
  • 利率決定日(Reset Date)
  • 利息計算期間(Interest Period)
  • 支払日と支払通貨
  • 計算された利払額
MT362の運用上のポイント
  • 長期契約における反復通知:数年にわたるスワップ契約では、利率更新のたびにMT362が発行される。
  • バックオフィスでの必須確認:誤差が生じるとキャッシュフロー全体に影響するため、迅速かつ正確な照合が不可欠。
  • リスク軽減:適用金利を公式に記録・共有することで、将来の紛争や決済トラブルを回避。
MT362のまとめ

MT362(リセット通知)は、変動金利スワップにおいて金利条件を定期的に更新・通知するための重要なメッセージです。MT360(IRS取引確認)と連動し、長期的なキャッシュフローを正しく管理する仕組みを支えています。

カテゴリ3 MT 3xxのフロー

  1. フロント(約定)
    • トレーダーがFXやデリバティブ取引を実行例:USD/JPYのスポット取引、EUR/USDのオプション取引、IRS契約締結約定情報がシステムに入力される
    関連メッセージ:
    • MT300(FX取引の約定確認)
    • MT305(通貨オプション取引の確認)
    • MT360(IRS取引確認)
  1. ミドル(確認・照合)
    • カウンターパーティ間で取引条件を照合レート、金額、期日、利率などの整合性を確認誤認や入力ミスを早期に発見
    関連メッセージ:
    • MT300/305/360による照合・確認のやり取り
    • 照合後に「合意済み」として記録
  1. バック(決済・管理)
    • 決済やキャッシュフローを実行変動金利契約の場合、定期的に金利条件を更新決済銀行との資金移動を手配
    関連メッセージ:
    • MT362(リセット通知)による金利更新
    • 確定した利息や元本支払額を通知
    • 銀行の勘定系システムに連携し、決済処理へ

カテゴリ3 MT 3xxフローまとめ

フロント(約定) → ミドル(確認・照合) → バック(決済・リセット通知)

  • 約定時:MT300/305/360で条件を記録・照合
  • 定期更新時:MT362で変動金利や支払額を通知
  • 最終的に、決済処理まで一貫して取引をサポート

カテゴリ3 MT 3xxの全メッセージ

メッセージの種類Description説明
MT 300 Foreign Exchange Confirmation外国為替確認
MT 303 Forex/Currency Option Allocation Instruction外国為替/通貨オプションの割り当て命令
MT 304 Advice/Instruction of a Third Party Deal第三者取引のアドバイス/指導
MT 305 Foreign Currency Option Confirmation外貨オプションの確認
MT 306 Foreign Currency Option Confirmation外貨オプションの確認
MT 307 Advice/Instruction of a Third Party FX Deal第三者FX取引に関するアドバイス・指導
MT 308 Instruction for Gross/Net Settlement of Third Party FX Deals第三者FX取引の総額/純決済に関する指示
MT 320 Fixed Loan/Deposit Confirmation固定ローン/預金確認
MT 321 Instruction to Settle a Third Party Loan/Deposit第三者のローン/預金を決済するための指示
MT 330 Call/Notice Loan/Deposit Confirmationコール/通知ローン/預金確認
MT 340 Forward Rate Agreement Confirmation転送レート契約の確認
MT 341 Forward Rate Agreement Settlement Confirmation転送レート契約の決済確認
MT 350 Advice of Loan/Deposit Interest Paymentローン・預金利払いのアドバイス
MT 360 Single Currency Interest Rate Derivative Confirmation単一通貨金利の派生確認
MT 361 Cross Currency Interest Rate Swap Confirmationクロス通貨金利スワップ確認
MT 362 Interest Rate Reset/Advice of Payment利率リセット/支払いのアドバイス
MT 364 Single Currency Interest Rate Derivative Termination/Recouponing Confirmation単一通貨金利スワップ終了/再応答確認
MT 365 Single Currency Interest Rate Swap Termination/Recouponing Confirmationクロス通貨金利スワップ終了/再応答確認
MT 380 Foreign Exchange Order外国為替注文
MT 381 Foreign Exchange Order Confirmation外国為替注文の確認
MT 390 Advice of Charges, Interest and Other Adjustments料金、利息、その他の調整に関するアドバイス
MT 391 Request for Payment of Charges, Interest and Other Expenses料金、利息、その他の経費の支払いの依頼
MT 392 Request for Cancellationキャンセルの要求
MT 395 Queriesクエリ
MT 396 Answers回答
MT 398 Proprietary Message独自のメッセージ
MT 399 Free Format Message自由書式メッセージ

カテゴリ3 MT 3xxのSWIFTメッセージカテゴリ比較表

国際金融取引で利用されるSWIFTメッセージは、用途ごとに0〜9のカテゴリに分類されています。カテゴリ1~3で比較すると以下のような違いがあります。

顧客送金、銀行間決済、FX・デリバティブ、信用状、証券決済、キャッシュマネジメントなど、取引のあらゆる局面を網羅しており、各カテゴリには代表的な電文が割り当てられています。以下の表では、カテゴリごとの分野と代表的メッセージを比較し、役割を整理してみました。

カテゴリ主な対象分野代表的メッセージ例主な役割
カテゴリ1(MT1xx)顧客の支払・小切手MT103(単発送金)、MT102(複数送金)、MT199(自由書式)顧客名義の資金移動や小切手処理。貿易決済にも頻繁に利用される。
カテゴリ2(MT2xx)金融機関間振替MT202(一般振替)、MT205(相手先銀行振替)ノストロ/ヴォストロ勘定管理、カバー支払、チェーン支払など銀行間決済の中核。
カテゴリ3(MT3xx)財務市場・外国為替・デリバティブMT300(FX確認)、MT305/306(オプション)、MT360/361(IRS確認)、MT362(再設定通知)FX・金利/通貨デリバティブの約定確認や再設定通知。ポストトレード処理でフロント→ミドル→バックを連携。

運用上のポイント

  • カウンターパーティ照合:双方の取引内容を一致させ、誤約定を未然に防止。
  • 再設定通知(MT362):変動金利や通貨スワップにおける利率・支払額を更新し、決済条件を最新化。
  • 内部管理連携:フロントでの取引成立後、ミドルでの確認、バックでの決済まで一連の流れを支援。

まとめ

MT3xxは、金融市場取引のポストトレード処理を支える中核メッセージ群です。FXやデリバティブ取引において、約定内容の確認・再設定・決済連携を担うことで、国際金融の信頼性と効率性を確保しています。

2025年8月10日 | 2025年10月29日