POPとPast Performance

POPとPast Performance

POP・Past Performance・PPOPとは?国際取引における売主の信用を確認することができる書類です。

POP(Proof of Product)とは

POPは Proof of Product(商品の存在証明書) の略で、売主が「実際に商品を保有している、または調達可能である」ことを証明するための書類です。通常、以下のような情報が含まれます。

  • 商品の種類・数量・品質証明
  • 在庫証明(倉庫証明書など)
  • 出荷可能スケジュール
  • 関連ライセンスや許可証
  • 売主の署名

買主がPOPを求めるのは「本当にその商品が存在するのか?」を確認したいときです。ただし契約前に詳細なPOPを要求しすぎると、売主から敬遠される場合もあります。

Past Performanceとは

Past Performanceは、売主の 過去の取引実績を示す書類 で、具体的には以下の内容が含まれることがあります。

  • 過去の輸出入記録
  • 成約した契約や出荷の履行証明
  • 船荷証券(B/L)のコピー
  • 銀行や第三者機関からの確認レター

ある買主は「Past Performanceが出せない相手とは契約しない」というポリシーを持っていました。それほど取引実績は信頼性の裏付けとして重視されます。

PPOP(Partial Proof of Product)とは

PPOPは Partial Proof of Product(部分的な商品証明) の略です。
完全なPOPを提示する前に、買主の安心感を高めるために限定的な情報を提供するものです。

例:

  • 倉庫の写真や在庫証明の一部
  • サンプルの分析証明書
  • 出荷可能数量の概要

多くの売主は「正式契約や銀行保証が出るまでは完全なPOPは出さない」と言います。その代わりにPPOPを示して、取引意欲を見せるケースがよくあります。

PPOP=Past Proof of Product?という誤用

一部のブローカーや小規模取引の現場では、PPOPを Past Proof of Product(過去の商品の証明) と誤って説明するケースがあります。

しかし、正式な国際貿易実務ではこれは誤用です。

  • Past Performance:過去の実績を証明する書類
  • PPOP:部分的なPOP(Partial Proof of Product)

この2つは別物として扱われます。

過去PPOPを「Past Proof of Product」と説明する相手に遭遇しましたが、大手取引や銀行が関与する案件では通用しませんでした。実務的には PPOP=Partial Proof of Product が正しい理解です。

よくあるトラブル事例

  • 偽造POP:存在しない商品を証明したように見せかける。
  • 誇張されたPast Performance:実績を大げさに書き換えて信頼を得ようとする。
  • PPOPの過信:部分的証明を鵜呑みにし、契約後に商品が出てこない。

受け取ったときのチェックリスト

POPやPast Performance、PPOPを提示された際は、次の点を確認しましょう。

  • 発行元が実在する会社・機関か(登記や連絡先の確認)
  • 数量・品質・納期などが具体的に記載されているか
  • 提示内容と相手の実力(供給能力や実績)が一致しているか
  • 曖昧な表現(「up to」「about」など)が使われていないか
  • 過去実績の裏付け(B/Lや銀行レターなど)を第三者で確認できるか

まとめ

  • POP:商品が実在することを示す証明書
  • Past Performance:過去の取引実績を示す書類
  • PPOP:部分的な商品証明(Partial Proof of Product)
  • 誤用注意:「Past Proof of Product」と呼ばれることもあるが、正式な理解ではない

これらは取引の信頼性を判断するうえで不可欠な資料ですが、偽造や誤用も少なくありません。提示された際には必ずチェックリストを使って裏付けを取り、冷静かつ慎重に判断することが成功のカギとなります。

2023年8月29日 | 2025年8月29日