CIS(Company Information Sheet)とは、簡単に述べると、国際取引で用いられる会社の情報が記載された書類です。
1. CISの位置づけ
国際取引においては、信頼できる相手と取引を進めることが何より重要です。その際に活用されるのが CIS(Company Information Sheet:会社情報書類) です。CISは、自社の存在を証明し、相手に安心感を与えるための「会社の名刺」のような役割を果たします。
2. CISに記載される主な内容
CISは単なる会社概要にとどまらず、信頼性を裏付ける複数の書類を添付するのが特徴です。代表的な内容は以下の通りです。
- 会社名、所在地、連絡先
- 登記簿謄本(会社の登記情報)
- 事業ライセンスや許可証
- 代表者の身分証(パスポートコピーなど)
- 銀行情報(口座名義、所在銀行など)
- 会社ロゴや印章
- 代表者の署名
CISを受け取ることで「本当にこの会社が存在しているのか」「架空のブローカーではないか」を確認でき、安心感につながります。
3. CISを提出するタイミング
CISは常に提出する書類ではありません。以下のような場面で求められるのが一般的です。
- 買主から LOI(購入意向書) や ICPO(撤回不可能注文書) を提出する際に添付
- 相手方(売主・買主)から「会社の信頼性を示してほしい」と要請された場合
- 初めての取引や、大口契約を進める前の段階
当然ですが、新規の海外パートナーと取引を始める際には、CISが要求されることが多いです。逆にこれを出し渋ると「透明性がない」と見られて取引が進まないこともあります。
4. 実務で注意すべきポイント
CISは会社の基本情報をまとめた書類ですが、提出にあたっては以下の点に注意が必要です。
- 虚偽情報は絶対に避ける(後に信用失墜につながる)
- 個人情報の取り扱いに注意(代表者パスポートのコピーなどは厳重に管理)
- 銀行情報は必要最小限にとどめる(詐欺利用防止の観点から)
- 署名・社印は必ず代表権者が行う(信頼性を担保するため)
過去にあったケースでは提出したCISに誤った銀行情報が記載されており、送金直前に慌てて修正するトラブルがありました。CISは小さなミスでも相手の信頼を大きく損なうため、細心の注意が求められます。
5. よくあるトラブル事例
- 偽造CISの提出
実在しない会社や、他社の情報をコピーしたCISを提示して取引を装うケースがあります。代表者パスポートが偽造されていた事例も報告されています。 - 情報流出リスク
銀行情報やパスポートコピーを含むため、相手が信頼できるかどうか確認せずに提出すると、詐欺に悪用される危険性があります。 - 記載内容の矛盾
登記情報と銀行口座の名義が一致していないなど、CIS内で不整合があると即座に信用を失い、交渉が中断することもあります。
実際に「CISを出してきたが、会社の登記情報が存在しなかった」というケースでは、提出されたパスポート番号も不自然で、結局その相手とは連絡が途絶えました。CISを受け取る側も、必ず裏取りが必要になってきます。
6. まとめ
CIS(Company Information Sheet)は、会社の存在と信頼性を示す重要な書類です。
- 会社の名刺代わりとしての役割を持つ
- LOIやICPOとセットで提出されることが多い
- 登記簿・許可証・代表者パスポートなどを含む
- 偽造や情報流出のリスクもあるため慎重な扱いが必要
国際取引の現場では、CISの信頼性がその後の交渉や契約の進展を左右します。正確かつ透明性のあるCISを用意することが、成功するための第一歩なのです。