紛争や戦争、制裁が続く国との貿易では、「取引を完全に避けるべき国」がある一方で、 状況や条件次第では取引が成立する国・地域も存在します。 しかし、これらの国は判断を誤ると一気に高リスク取引へ転じるため、新規取引では明確な判断軸が欠かせません。 本記事では、2026年時点の国際情勢を踏まえ、「条件付きで検討される国・地域」の考え方と、実務での注意点を整理します。
「条件付きで検討される国・地域」とは何か
条件付きで検討される国・地域とは、国全体が全面的に制裁対象となっているわけではなく、 一定の貿易や決済が継続しているものの、政治・治安・金融・物流のいずれかに不安定要素を抱える国を指します。 取引自体が違法ではない場合でも、状況次第で送金停止や物流遅延が発生する可能性があり、 新規取引では慎重な設計が求められます。
条件付きで検討されやすい国・地域の例
| 地域 | 国名 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 東アジア | 中国 | 輸出管理強化、地政学リスク、銀行審査の厳格化 |
| 中東 | イスラエル | 周辺地域の戦闘による物流・保険リスク |
| 中東 | トルコ | 通貨不安、金融政策リスク、送金条件の変動 |
| 南アジア | パキスタン | 政情不安、外貨規制、決済遅延の可能性 |
| 東欧 | ジョージア | 周辺国情勢の影響、物流ルート依存 |
| 中南米 | アルゼンチン | 為替・外貨規制、送金制限 |
| アフリカ | ナイジェリア | 治安問題、外貨管理、港湾混雑 |
条件付き国で起きやすい実務上の問題
- 送金条件が突然変更され、入金が遅延する
- 銀行のコンプライアンス審査で書類追加を求められる
- 為替・外貨規制により、代金回収が分割・保留される
- 紛争の拡大で航路変更や保険料上昇が発生する
- 地域限定の規制により、特定港湾・都市が使えなくなる
新規取引で必ず確認すべき判断ポイント
- 国全体ではなく「取引先の所在地域」が安全か
- 決済銀行が制裁・規制の影響を受けていないか
- 第三国経由の送金・物流になっていないか
- 為替・外貨規制の最新状況
- 短期間で条件変更が起きた場合の代替案があるか
条件付きで取引する場合の基本スタンス
条件付き国との新規取引では、「通常取引と同じ条件で始めない」ことが最も重要です。 前受比率を高める、段階払いを採用する、契約条項に不可抗力や制裁対応を明記するなど、 最初からトラブルを前提とした設計が求められます。 また、情勢が悪化した場合には速やかに取引を停止できる判断基準を社内で共有しておくことも欠かせません。
まとめ

条件付きで検討される国・地域は、「今は取引できるが、いつ状況が変わってもおかしくない」という不安定さを抱えています。 新規取引では、可能かどうかだけで判断するのではなく、 問題が起きた場合に自社が対応できるかという視点で慎重に判断することが重要です。 本記事を参考に、避ける国・条件付き国・比較的安定した国を切り分け、 段階的なリスク管理を行うことが、実務上の現実的な対応と言えるでしょう。