HSコード第17部とは|車両・航空機・船舶(第86類〜第89類)の分類と実務判断

HSコード第17部とは|車両・航空機・船舶(第86類〜第89類)の分類と実務判断

HSコード第17部とは|車両・航空機・船舶など輸送機器の分類体系

HSコード第17部は、陸・空・海の輸送機器を対象とする部です。自動車、鉄道車両、航空機、船舶といった完成品に加え、それらの部分品も含まれます。第16部(機械類・電気機器)と近接しますが、第17部の分類思想は明確に異なります。

・「移動・輸送」を主目的とするか
・車体・機体・船体として完成しているか
・輸送機器に専用の部分品か

といった 用途と完成度 が判断軸になります。

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第17部に含まれる類一覧(第86類〜第89類)

第17部は、以下の4類で構成されています。

概要
第86類鉄道用または軌道用の機関車・車両およびその部分品
第87類自動車、トラクター、自転車およびその部分品
第88類航空機、宇宙機器およびその部分品
第89類船舶、浮標構造物および浮きドック

第17部の分類思想|「輸送機器かどうか」が最優先

1. 移動・輸送が主目的か

第17部に該当する最大の条件は、人または物を移動・輸送することを主目的としているかです。同じエンジンやモーターでも、

・輸送機器に搭載 → 第17部
・産業機械用 → 第16部

となる場合があります。

2. 完成車両と部分品の区別

完成した輸送機器と、その部分品は明確に区別されます。

・完成車両・機体・船体 → 本体項
・輸送機器に専用の部品 → 部分品項

汎用部品は第16部や第15部に戻るケースもあり、専用性の有無が重要な判断材料になります。

第86類|鉄道用・軌道用車両

第86類は、鉄道・路面電車・モノレールなど、軌道上を走行する輸送機器が対象です。

・機関車
・客車、貨車
・台車、ブレーキ装置

などが含まれます。

第86類の代表的な6桁コード例

HSコード内容
8601.10電気機関車
8603.10自走式鉄道車両
8607.21車輪および車軸

第87類|自動車・トラクター・自転車

第87類は、道路走行用の車両を中心とした最重要類の一つです。

・乗用車
・トラック、バス
・トラクター
・自転車、オートバイ

および、それらの部分品が含まれます。

第87類の代表的な6桁コード例

HSコード内容
8703.23乗用自動車
8704.22貨物自動車
8711.60オートバイ
8708.29自動車用部分品

第88類|航空機・宇宙機器

第88類は、航空機および宇宙関連機器を対象とします。

・航空機
・ヘリコプター
・人工衛星
・航空機用部分品

高額品が多く、分類だけでなく規制・安全保障面の確認も重要な類です。

第88類の代表的な6桁コード例

HSコード内容
8802.11ヘリコプター
8802.40飛行機
8803.30航空機用部分品

第89類|船舶・浮標構造物

第89類は、海上・水上輸送用の構造物を扱います。

・船舶
・はしけ
・浮きドック
・灯浮標

完成した船体だけでなく、浮遊構造物も含まれる点が特徴です。

第89類の代表的な6桁コード例

HSコード内容
8901.10クルーズ船
8901.20タンカー
8907.90その他の浮標構造物
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実務で多い誤分類Q&A(第17部)

エンジンは第17部ですか

いいえ。エンジン単体は原則として第16部に分類されます。
輸送機器として完成していないためです。

自動車用の汎用ボルトは第87類ですか

原則として違います。汎用性がある場合は、第15部(金属製品)に分類されます。

電動自転車は第87類ですか

走行補助の仕組みや最高速度などにより、自転車として第87類に分類されるのが一般的です。

船舶用の部品はすべて第89類ですか

専用性がある場合は第89類ですが、汎用機械部品は第16部に戻ることがあります。

第16部〜第17部の境界の考え方

・機械として機能を果たす → 第16部
・輸送・移動が主目的 → 第17部

「何をするための機械か」を明確に説明できるかが、境界判断の最大のポイントです。

第17部の実務上の注意点

・完成車両か部分品かを明確にする
・輸送専用性の有無を確認する
・第16部・第15部との境界を意識する
・高額品・大型品は規制や制度も併せて確認する

まとめ|HSコード第17部(輸送機器)整理

HSコード第17部は、人や物を移動させることを目的とした輸送機器を体系的に分類する部です。

分類の核心は、

・輸送目的かどうか
・完成品か部分品か
・専用性があるか

にあります。

参考外部リンク(HSコード第17部)

税関|実行関税率表(第86類〜第89類)
https://www.customs.go.jp/tariff/index.htm
鉄道車両、自動車、航空機、船舶およびその部分品の関税率・統計品目番号を確認できる日本公式資料です。第87類(自動車関連)は特に税率差が大きく、申告前の確認が必須です。

税関|品目分類の考え方(輸送機器・部分品)
https://www.customs.go.jp/tariff/kaisetsu/index.htm
完成車両と部分品の線引き、第16部(機械類)との境界判断など、第17部特有の分類ロジックを確認できます。誤分類防止の一次資料です。

世界税関機構(WCO)|HS解説書(Explanatory Notes)
https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/hs-nomenclature-2022-edition.aspx
輸送機器およびその部分品に関する国際的な公式解釈資料です。第86類〜第89類の除外規定や専用性判断の根拠確認に不可欠です。

経済産業省|自動車・航空機分野の貿易管理制度
https://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/index.html
自動車、航空機、船舶は輸出管理や安全保障貿易管理の対象となる場合があります。HSコードと制度確認をセットで行う際に有用です。

JETRO|輸送機器分野の国別貿易制度情報
https://www.jetro.go.jp/world/
国・地域別に、自動車・航空機・船舶の関税、輸入規制、技術基準を確認できます。完成車両や高額部品を扱う際の事前調査に役立ちます。

日本自動車工業会|自動車・部品に関する基礎資料
https://www.jama.or.jp/
自動車および自動車部品の構成、用語、技術的背景が整理されています。第87類の分類理解を補完する業界資料として参考になります。

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2026年1月7日 | 2026年1月12日