HSコード第8部とは|原皮、皮革、毛皮およびこれらの製品の分類体系
HSコード第8部は、動物由来の原皮・皮革・毛皮および、それらを原材料として製造された製品を対象とする部です。
畜産・食肉産業の副産物として発生する原皮から、なめし加工を経た皮革、さらにバッグ・衣類・装飾品といった完成品まで、加工段階の幅が非常に広いことが特徴です。
第8部の分類は、単に「革製品かどうか」で判断できるものではなく、次のような要素を総合的に確認する必要があります。
・動物由来であるか
・原皮か、なめし皮か
・毛を保持しているか
・素材段階か、完成品か
・他素材との複合状況
・製品の用途と主たる性質
このため、第8部は実務上、誤分類が発生しやすい部のひとつとされています。
第8部に含まれる類一覧(第41類〜第43類)
第8部は、次の3類で構成されています。
・第41類 原皮およびなめし皮(毛皮を除く)
・第42類 革製品、馬具、旅行用品、ハンドバッグ等
・第43類 毛皮および人造毛皮ならびにこれらの製品
これらは「加工段階の進行」に沿って並んでおり、原皮から完成品へと流れる構造を持っています。
第41類|原皮およびなめし皮(毛皮を除く)
第41類は、皮革が素材段階にある物品を対象とする類です。
バッグや衣類といった完成品は含まれず、原皮またはなめし皮の状態にとどまるものが分類されます。
第41類 主な6桁コード一覧
| HSコード(6桁) | 品名例 | 分類の考え方 |
|---|---|---|
| 4101.20 | 牛・馬の原皮(乾燥) | なめし前、保存処理のみ |
| 4102.10 | 羊・山羊の原皮 | 毛付きでも原皮段階 |
| 4103.90 | その他動物の原皮 | 動物種別で細分 |
| 4104.41 | なめした牛皮(分割) | クロムなめし等 |
| 4105.30 | なめした羊皮 | 毛を除去した皮革 |
| 4107.99 | その他のなめし皮 | 用途未確定素材 |
第41類の分類実務ポイント
・なめし処理の有無が最大の分岐点
・裁断・カットされていても用途が未確定なら素材扱い
・バッグ用、靴用と説明があっても完成品でなければ第41類
特に、半裁皮革やシート状皮革を第42類と誤分類しないよう注意が必要です。
第42類|革製品、馬具、旅行用品、ハンドバッグ等
第42類は、皮革を主材料とする用途が明確な完成品を扱う類です。
日常的に流通する革製品の多くが、この類に分類されます。
第42類 主な6桁コード一覧
| HSコード(6桁) | 品名例 | 分類の考え方 |
|---|---|---|
| 4201.00 | 馬具、ハーネス | 動物用装具 |
| 4202.21 | 革製ハンドバッグ | 携帯用容器 |
| 4202.31 | 革製財布 | 小型携帯品 |
| 4202.91 | 革製旅行用品 | 収納・運搬目的 |
| 4203.10 | 革製衣類 | 被服用途 |
| 4205.00 | その他革製品 | 他に属さない完成品 |
第42類の分類実務ポイント
・用途が確定した時点で素材ではなく製品扱い
・金属金具や繊維裏地があっても、主たる性質が革なら第42類
・同じ革製品でも、バッグ・衣類・馬具でコードが大きく異なる
とくに42.02は細分が多く、形状と用途の確認が重要です。
第43類|毛皮および人造毛皮ならびにこれらの製品
第43類は、毛を保持した状態の皮革、または毛皮用途の製品を対象とする類です。
天然毛皮だけでなく、人造毛皮も含まれます。
第43類 主な6桁コード一覧
| HSコード(6桁) | 品名例 | 分類の考え方 |
|---|---|---|
| 4301.80 | 生毛皮 | なめし前でも毛皮用途 |
| 4302.20 | なめし毛皮 | 毛を保持 |
| 4303.10 | 毛皮製衣類 | 防寒・装飾目的 |
| 4304.00 | 人造毛皮製品 | 繊維製でも毛皮扱い |
第43類の分類実務ポイント
・毛を保持しているかどうかが最大の判断基準
・防寒性・装飾性を目的とする製品は毛皮扱い
・人造毛皮は繊維製品ではなく第43類
加えて、ワシントン条約(CITES)対象動物が含まれる可能性があるため、分類と同時に規制確認が不可欠です。
加工段階で整理する第8部の全体像
第8部は、加工の進行に沿って整理すると次の流れになります。
・原皮(保存処理のみ) → 第41類
・なめし皮(素材) → 第41類
・革製完成品 → 第42類
・毛皮・毛皮製品 → 第43類
この加工段階の把握が、誤分類防止の最も有効な方法です。
実務上の注意点|6桁コードだけでは不十分な理由
HSコード6桁は国際共通ですが、実務では各国独自の細分(9桁・10桁)が適用されます。
同一の6桁コードであっても、国によって関税率や規制が異なるため、
・輸出入国の関税率表確認
・国内細分コードの確認
・過去の通関事例の参照
を行うことが重要です。
まとめ|HSコード第8部で押さえるべき分類の軸

HSコード第8部は、素材・加工度・用途の三点を常に意識する必要があります。
・原皮か、なめし皮か、毛皮か
・素材段階か、完成品か
・主たる性質を与える素材は何か
これらを順に整理すれば、第41類〜第43類の分類判断は安定します。
参考外部リンク|税関・WCO・CITES
日本の税関・関税関連(一次確認用)
・税関|実行関税率表
https://www.customs.go.jp/tariff/
HSコード6桁〜国内細分まで確認可能。第41類〜第43類の国内分類確認に必須。
・税関|関税分類例規(分類事例)
https://www.customs.go.jp/tariff/bunrui.htm
過去の通関事例を確認でき、革製品・毛皮製品の誤分類防止に有効。
・財務省|関税定率法・関税率表
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tariff/index.html
法令ベースでの位置付け確認用。
WCO(HSコードの国際的根拠)
・World Customs Organization|HS Nomenclature
https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature.aspx
HSコードの国際的な定義元。各部・各類の公式解釈の基礎資料。
・World Customs Organization|Explanatory Notes(HS解説書)
https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/hs_explanatory_notes.aspx
分類判断の背景・考え方を補足する解説資料。第8部の加工度判断で特に重要。
CITES(ワシントン条約・規制確認)
・CITES|公式サイト
https://cites.org/
毛皮・皮革製品が規制対象動物に該当するかを確認するための一次情報源。
・環境省|ワシントン条約(CITES)関連情報
https://www.env.go.jp/nature/cites/
日本国内での輸出入規制、許可・証明書手続きの確認用。