11月中旬のUSD/JPYは154円台で推移しています。米国の追加利下げ観測と日銀の口先介入が交錯しており、方向感は出にくい展開です。一方で155円前後では当局の警戒感が強く、158円台は伸び悩みやすい状況にあります。介入や米金利サプライズの有無によって、上昇・レンジ・下落の三つのシナリオを比較しました。
本稿では、USD/JPYを対象に、11月末(11月30日・土)に向けた価格推移のシナリオを検証します。2025年11月12日時点の公開情報をもとに、上昇・レンジ・下落の三つの展開を想定し、それぞれの想定レンジと確率、主な要因、監視ポイントを整理しました。
現状の整理(2025年11月12日時点)
- スポットはおおむね154円台で推移しており、155円近辺に心理的・政策的な抵抗帯が意識されています。
- 米国では追加利下げ観測と要人発言が綱引きをしており、日本側ではけん制や介入警戒が続いています。
- 材料面はやや手掛かり不足で、月末のフローやリバランスの影響を受けやすい地合いです。
テクニカルの要点
- 155円前後は上値の分水嶺であり、上抜けても158円台は伸び悩みやすいゾーンです。
- 152円台は押し目の候補で、ここを明確に割り込むには米金利の追加低下や強い介入示唆が必要になりやすいと見られます。
シナリオ別見通し(11月末まで)
| シナリオ | 想定レンジ | 確率 | 主なドライバー | 監視ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 上昇 | 155.5〜157.5 | 35% | タカ派寄りの要人発言、利下げ織り込み後退、実弾介入なし | 米要人発言、米金利、155円台の定着 |
| レンジ | 152.5〜155.5 | 45% | 材料難と月末フローの綱引き、当局のけん制 | DXYの方向感、当局スタンスの変化 |
| 下落 | 150.5〜152.5 | 20% | 介入発動、米景気減速ヘッドラインによる利下げ観測の強化 | 154→152割れのスピード、実弾介入の有無と規模 |
図解:11月末に向けたシナリオ別レンジ
根拠と解説
上昇シナリオ(155.5〜157.5、確率35%)
米国の要人がタカ派寄りの発言を続け、インフレの粘着性が再び意識されるようになると、12月の利下げ観測が後退しドルが底堅く推移する可能性があります。日本側が口先介入にとどまり、実弾介入を見送る場合は、155円台の滞在時間が長くなり、157円近辺を試す展開も想定されます。ただし、158円台では当局の警戒が強く、伸びは限定されやすいです。
レンジシナリオ(152.5〜155.5、確率45%)
手掛かりが乏しい中で上下に振れながらも、155円近辺の警戒感と152円台の押し目意識が拮抗すると考えられます。月末の需給イベントや機関のリバランスが一時的なノイズを生みますが、方向性は出にくい見通しです。
下落シナリオ(150.5〜152.5、確率20%)
実弾介入や米景気減速を示唆する報道などで円買いが強まると、152円割れの走り込みが起きやすい局面になる可能性があります。イベント主導のスパイクでは、150円台前半まで下押しする瞬間も想定されます。
監視チェックリスト
- 米要人発言と金利先物の織り込み変化(12月利下げ確率の推移)
- 日本当局のスタンス変化(口先から実弾介入への移行)
- 月末フローと海外株式・債券のリバランス動向
- DXYの方向感と米金利の実勢(2年・10年金利)
まとめ

1. 介入リスクと金利観測の綱引きが続く
11月のドル円相場は、米国の利下げ観測と日銀による円安けん制の綱引きが中心テーマとなっています。米経済指標の一部が欠落し、方向感が出にくい中で、要人発言や介入への思惑が一時的な上下を生みやすい状況です。特に155円を超える場面では、当局の警戒感が一段と高まる可能性があります。
2. 実弾介入がなければレンジ圏の公算
足もとでは市場参加者の多くが「介入は警戒されるが実行されにくい」と見ています。そのため、実弾が伴わない限りは152〜155円台のレンジ推移にとどまる見通しが濃厚です。流動性が低下しやすい月末には一時的な上下があっても、基本的なボラティリティは落ち着いた展開が想定されます。
3. 年末相場を意識したポジション調整に注目
11月後半からは、年末のポジション調整や輸出入の実需フローが徐々に意識されます。年末を控えてリスクオフ姿勢が強まると円高方向の圧力が強まる一方、米金利が高止まりすれば円安バイアスも根強く残ります。結局は、米国の金融政策スタンスと日銀の対応次第で、155円を超えるかどうかが年末相場の焦点となりそうです。
免責と注記
本記事は2025年11月12日時点で入手可能な一般情報に基づいて作成した仮説であり、将来の為替動向を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。